神戸物産 Research Memo(4):業務スーパー事業の快走続く
[18/02/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■神戸物産<3038>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比6.6%増の217,040百万円、営業利益は同25.3%増の15,761百万円となり、営業利益率も7.3%と過去最高水準を更新した。2017年10月期末の店舗数は前期末比33店舗増(関東直轄エリア+13店舗、関西直轄エリア+8店舗、九州直轄エリア+5店舗、その他直轄(北海道)エリア+1店舗、地方エリア+6店舗)、期初計画比で3店舗増の780店舗と順調に拡大したことに加えて、既存店の売上高が前期比2.7%増と堅調に推移したことが増収要因となった。同期間における国内スーパーマーケット業界全体の売上高(食品売上高)が前期比1.2%増、既存店ベースで若干のマイナスであったことからすれば、業界平均を上回る成長を持続したと言える。
既存店売上高が伸びている要因としては、顧客ニーズに対応したPB商品の開発や自社輸入商品の増強に取り組んだことに加え、各種キャンペーンセールやテレビCMを活用した新規顧客獲得など多角的な販売施策を展開したことが挙げられる。PB商品の売れ筋としては「徳用ウインナー」「菊川うまい焼酎」「ブラジル産鶏もも肉」「ベルギー産フライドポテト」などが挙げられ、輸入商品に関しては前期比2ケタ増ペースで売上高の伸長が続いている。
利益面では、増収効果に加えて収益性の高いPB商品の出荷額構成比率が上昇したこと、グループ生産子会社の収益が全般的に改善したことなどが増益要因となっている。PB商品の出荷額は前期比10%増の620億円となり、構成比率は前期の29.8%から30.5%に上昇した。生産子会社別で見ると、冷凍うどんやポテトサラダ、ドレッシング・ソース類の製造メーカーである秦食品(株)が好調に推移した。特に、当期はポテトサラダやマカロニサラダなどが大幅増収となった。じゃがいも不足による相場高騰の影響もあって、割安感が強い同社製品の需要が伸びたものと考えられる。その他、鶏肉相場が堅調に推移したこともあり、工場火災があった朝引き若鶏も経常利益ベースでは増益となっている。まだ、赤字の子会社も数社残っているが、いずれも損益は改善基調となっている。
(2) 神戸クック事業
神戸クック事業の売上高は前期比1.7%減の1,247百万円と若干の減収となったものの、営業損失は108百万円(前期は217百万円の損失)と縮小傾向が続いた。2017年10月期末の店舗数を見ると、「神戸クック・ワールドビュッフェ」が前期末比1店舗増の16店舗、「Green's K」が同1店舗減の9店舗、「Green's K 鉄板ビュッフェ」が同1店舗減の2店舗となった。このうち、「Green's K」の退店1店舗については近隣の大学キャンパスが移転し、客数が見込めなくなったことが要因となっている。
売上高は、「Green's K」や「Green's K 鉄板ビュッフェ」の退店が影響して減収となったものの、利益面では「神戸クック・ワールドビュッフェ」の収益改善と、不採算店舗の退店効果等により損失額が縮小した。また、損失についても過去に展開していた業態における在庫処分損が主因となっており、同要因を除けば実質ベースで黒字化している。
(3) クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業の売上高は前期比3.2%減の32,427百万円、営業利益は同9.2%減の1,075百万円となった。主力の外食事業において低迷が長期化している居酒屋業態から、需要が堅調なヘルシー志向のレストラン業態や国産牛にこだわった焼肉業態等への転換を進めており、不採算店の整理を実施するなど経営の合理化に取り組んでいる段階にあり、緩やかながら減収減益基調が続いた。
(4) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前期比27.8%減の529百万円、営業利益は同80.0%減の16百万円となった。メガソーラー発電事業において、2016年10月に福岡県の発電所(2ヶ所)を売却し、総発電量が減少したことにより減収減益となった。ただ、期後半には大阪府、徳島県、茨城県で各1ヶ所発電所を稼働させており、2017年10月期末の太陽光発電能力は前期末の9.3MW(メガワット)から15.9MWへと増加し、2期前の水準まで回復している。
また、2017年7月より大分県で発電能力50kWの地熱発電設備を稼働し売電を開始したほか、北海道白糠郡白糠町では木質バイオマス発電の建設工事を進めている。木質バイオマス発電については、2018年6月に売電(初年能力6.25MW)を開始する予定となっており、投資回収期間は15年程度を想定している。
(5) その他
輸入食品店の「ガレオン」事業や温浴リゾート施設「ホットラグーン大分」などの観光事業、設備賃貸事業等をその他として2017年10月期より新たに区分している。売上高は「ガレオン」や「ホットラグーン大分」の開業(現在は一時休業中)により257百万円となったが、人件費等の固定費負担がまだ重く営業損失176百万円を計上した。
新業態として取り組んでいる「ガレオン」については、2015年12月に路地店舗として元住吉店(川崎市中原区)を出店したが、2018年1月に閉店している。そのほか、2016年3月に横浜みなとみらいのショッピングモール内にクイーンズスクエア横浜店(横浜市西区)を、同年11月に初のFC店舗となる大雄山ヴェルミ店(神奈川県南足柄市)を出店している。フォーマットの異なる店舗を出店し、価格戦略や商品の品ぞろえなどを試行錯誤している段階で、業態としてはまだ収益化前の段階にある。
一方、2016年10月に開業したリゾート温浴施設「ホットラグーン大分」については、当初想定よりも来場客数が伸び悩んだことから、2017年9月末で営業を一時休止し、現在は集客力向上施策について外部のコンサルティング会社も交えながら検討を行っている。施設の増設など新たな工事も必要となる可能性が高いことから、営業の再開は早くても2019年の春頃になる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前期比6.6%増の217,040百万円、営業利益は同25.3%増の15,761百万円となり、営業利益率も7.3%と過去最高水準を更新した。2017年10月期末の店舗数は前期末比33店舗増(関東直轄エリア+13店舗、関西直轄エリア+8店舗、九州直轄エリア+5店舗、その他直轄(北海道)エリア+1店舗、地方エリア+6店舗)、期初計画比で3店舗増の780店舗と順調に拡大したことに加えて、既存店の売上高が前期比2.7%増と堅調に推移したことが増収要因となった。同期間における国内スーパーマーケット業界全体の売上高(食品売上高)が前期比1.2%増、既存店ベースで若干のマイナスであったことからすれば、業界平均を上回る成長を持続したと言える。
既存店売上高が伸びている要因としては、顧客ニーズに対応したPB商品の開発や自社輸入商品の増強に取り組んだことに加え、各種キャンペーンセールやテレビCMを活用した新規顧客獲得など多角的な販売施策を展開したことが挙げられる。PB商品の売れ筋としては「徳用ウインナー」「菊川うまい焼酎」「ブラジル産鶏もも肉」「ベルギー産フライドポテト」などが挙げられ、輸入商品に関しては前期比2ケタ増ペースで売上高の伸長が続いている。
利益面では、増収効果に加えて収益性の高いPB商品の出荷額構成比率が上昇したこと、グループ生産子会社の収益が全般的に改善したことなどが増益要因となっている。PB商品の出荷額は前期比10%増の620億円となり、構成比率は前期の29.8%から30.5%に上昇した。生産子会社別で見ると、冷凍うどんやポテトサラダ、ドレッシング・ソース類の製造メーカーである秦食品(株)が好調に推移した。特に、当期はポテトサラダやマカロニサラダなどが大幅増収となった。じゃがいも不足による相場高騰の影響もあって、割安感が強い同社製品の需要が伸びたものと考えられる。その他、鶏肉相場が堅調に推移したこともあり、工場火災があった朝引き若鶏も経常利益ベースでは増益となっている。まだ、赤字の子会社も数社残っているが、いずれも損益は改善基調となっている。
(2) 神戸クック事業
神戸クック事業の売上高は前期比1.7%減の1,247百万円と若干の減収となったものの、営業損失は108百万円(前期は217百万円の損失)と縮小傾向が続いた。2017年10月期末の店舗数を見ると、「神戸クック・ワールドビュッフェ」が前期末比1店舗増の16店舗、「Green's K」が同1店舗減の9店舗、「Green's K 鉄板ビュッフェ」が同1店舗減の2店舗となった。このうち、「Green's K」の退店1店舗については近隣の大学キャンパスが移転し、客数が見込めなくなったことが要因となっている。
売上高は、「Green's K」や「Green's K 鉄板ビュッフェ」の退店が影響して減収となったものの、利益面では「神戸クック・ワールドビュッフェ」の収益改善と、不採算店舗の退店効果等により損失額が縮小した。また、損失についても過去に展開していた業態における在庫処分損が主因となっており、同要因を除けば実質ベースで黒字化している。
(3) クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業の売上高は前期比3.2%減の32,427百万円、営業利益は同9.2%減の1,075百万円となった。主力の外食事業において低迷が長期化している居酒屋業態から、需要が堅調なヘルシー志向のレストラン業態や国産牛にこだわった焼肉業態等への転換を進めており、不採算店の整理を実施するなど経営の合理化に取り組んでいる段階にあり、緩やかながら減収減益基調が続いた。
(4) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前期比27.8%減の529百万円、営業利益は同80.0%減の16百万円となった。メガソーラー発電事業において、2016年10月に福岡県の発電所(2ヶ所)を売却し、総発電量が減少したことにより減収減益となった。ただ、期後半には大阪府、徳島県、茨城県で各1ヶ所発電所を稼働させており、2017年10月期末の太陽光発電能力は前期末の9.3MW(メガワット)から15.9MWへと増加し、2期前の水準まで回復している。
また、2017年7月より大分県で発電能力50kWの地熱発電設備を稼働し売電を開始したほか、北海道白糠郡白糠町では木質バイオマス発電の建設工事を進めている。木質バイオマス発電については、2018年6月に売電(初年能力6.25MW)を開始する予定となっており、投資回収期間は15年程度を想定している。
(5) その他
輸入食品店の「ガレオン」事業や温浴リゾート施設「ホットラグーン大分」などの観光事業、設備賃貸事業等をその他として2017年10月期より新たに区分している。売上高は「ガレオン」や「ホットラグーン大分」の開業(現在は一時休業中)により257百万円となったが、人件費等の固定費負担がまだ重く営業損失176百万円を計上した。
新業態として取り組んでいる「ガレオン」については、2015年12月に路地店舗として元住吉店(川崎市中原区)を出店したが、2018年1月に閉店している。そのほか、2016年3月に横浜みなとみらいのショッピングモール内にクイーンズスクエア横浜店(横浜市西区)を、同年11月に初のFC店舗となる大雄山ヴェルミ店(神奈川県南足柄市)を出店している。フォーマットの異なる店舗を出店し、価格戦略や商品の品ぞろえなどを試行錯誤している段階で、業態としてはまだ収益化前の段階にある。
一方、2016年10月に開業したリゾート温浴施設「ホットラグーン大分」については、当初想定よりも来場客数が伸び悩んだことから、2017年9月末で営業を一時休止し、現在は集客力向上施策について外部のコンサルティング会社も交えながら検討を行っている。施設の増設など新たな工事も必要となる可能性が高いことから、営業の再開は早くても2019年の春頃になる見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>