ハウスドゥ Research Memo(3):事業ポートフォリオを安定・持続的成長型に転換
[18/02/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 事業ポートフォリオ
住宅の購入からリフォーム、賃貸、担保としての利用、売却/再購入、売切りなど不動産に関する顧客アクションに対して、ハウスドゥ<3457>は業界初のサービスや事業を立ち上げて対応してきた。
2018年6月期第2四半期の売上高の事業別構成比は、フランチャイズ事業が12.8%、ハウス・リースバック事業が10.6%、不動産金融事業が2.1%(以上、ストック型収益事業計:25.5%)、不動産売買事業が47.4%、不動産流通事業が10.6%、リフォーム事業が16.5%であった。調整額控除前のセグメント利益率は、フランチャイズ事業が59.5%、ハウス・リースバック事業11.5%、不動産金融事業が24.5%、不動産売買事業が10.3%、不動産流通事業が21.9%、リフォーム事業が11.1%であった。ストック型収益事業の利益構成比は50.8%と大きい。
日銀のマイナス金利政策に象徴される低金利と大規模な金融緩和及び海外からの投資を背景に、東京の不動産価格は上昇し、局所的に過熱感が現れた。また、2015年1月の相続税改正(増税)の対策として、賃貸住宅への投資が増加した。実需を反映しない不動産投資の増加、価格上昇による利回りの低下など市場リスクが高まったことから、同社は前3ヶ年中期経営計画を1年目で見直し、2017年6月期を初年度とする新中期経営計画を策定した。新たな中期経営計画では、経営資源を労働集約型ビジネスである不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業から安定的に収益を生むストック型ビジネスであるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産金融事業へシフトした。不動産市場が変調を来しても、持続的な成長を可能とする全天候型経営への移行を加速化している。
2. フランチャイズ事業
(1) フランチャイズ事業の売上構成
2018年6月期第2四半期のフランチャイズ事業の売上高構成は、加盟金が18.3%、月会費が25.8%、システム料が12.2%、広告分担金が24.5%、備品売上が7.1%、その他が12.1%となった。新規加盟契約数は63件であった。フランチャイズ事業の営業利益は前年同期比21.9%増の736百万円となり、調整額控除前の売上高営業利益率は59.5%の高水準であった。
フランチャイズ事業の売上高の約4分の1を占める広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているに過ぎない。同社は、2013年より元プロ野球選手・監督、現解説者の古田敦也(ふるたあつや)氏をイメージキャラクターに起用したブランド戦略を展開している。東証マザーズ上場により、同社に対するイメージが京都の企業から全国区へとアップした。さらに2016年12月に東証一部へ市場変更したことから、社会的信用が一層高まり、フランチャイズ加盟店募集に対する問い合わせが増えている。
(2) 加盟店の推移
2018年6月期第2四半期末の累計加盟契約数は501件と、半年で33件の純増であった。2018年6月期末の累計加盟契約数は573件を計画しており、前期比105件の増加を見込んでいる。2018年6月期第2四半期末のオープン店舗数は、半年間で37店舗増え、415店舗となった。今期末は前期末比79店舗増の457店舗が予想されている。
(3) 地域別展開
2018年6月期第2四半期末における「家・不動産買取専門店」を除く381店舗の地域別店舗数の割合は、東海地域が29.1%と最も多く、創業した近畿地域の14.7%を大きく上回っている。市場規模が近畿地区の2.5倍あるとみられる関東地区の79店舗は20.7%を占め、店舗数が近畿地区の56店舗よりも多くなった。東海地域は、同社が目標とする地域別店舗数125店舗に対して111店舗と進捗率が88.8%に到達した。同地域では、実績店舗数が目標の半分を超えたところで認知度が高まり、ブランド力が向上した。目標店舗数に対する進捗度は、関東地域が18.4%、近畿地域で32.0%にとどまる。店舗数が、それぞれ100店舗を超えたところで、東海地域で見られたような質的変化が起きることが見込まれている。同社は地域密着型営業のスタイルをとっていることから、最終目標を2025年までに全国1,000店舗としている。
(4) 不動産セクターのSPA(製造型小売業)
同社の強みは、SPAのように業界初のサービス・事業を次々と開発し、商品化する能力にある。フランチャイズ本部として、本部・直営店の実績に基づいた売上に繋がる多様な集客ノウハウや、同社グループで実際に行っている人材教育を提供しており、不動産仲介未経験の企業でも安心して参入できる。2017年6月末時点の加盟企業のうち約7割が新規参入者である。
他社に先駆けて開発したサービスや制度には、2013年10月の買取に特化したフランチャイズ事業の「家・不動産買取専門店」と住みながら家の売却を可能にした「ハウス・リースバック」、2016年7月の金融サービスとなる「不動産担保ローン」、2017年10月の「リバースモーゲージ保証事業」、2017年12月の欧米流エージェント制度などがある。2018年2月には空室・空き家の問題を解決するタイムシェアリング事業「Time Room Cloud」(タイムルームクラウド)をスタートさせた。
(5) 加盟店の変化
2018年6月期第2四半期におけるFC加盟店の内訳は、不動産売買仲介のサテライト店が369店舗、買取専門店が115店舗であった。直営店は、17店舗ある。
「家・不動産買取専門店」は不動産業者を対象としており、同業者が同社FCチェーンのバリューを新しいスキームの開発力とブランド力と評価するステージに入ってきた。業界への新規参入企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供してきたが、最近では社会的信用度や看板などのブランド価値やネットワークを必要とする中小不動産事業者が増えている。フランチャイズ事業は、知名度及び信用度のアップに複数の業態を開発したことで、地域と加盟店の対象が拡大しつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
1. 事業ポートフォリオ
住宅の購入からリフォーム、賃貸、担保としての利用、売却/再購入、売切りなど不動産に関する顧客アクションに対して、ハウスドゥ<3457>は業界初のサービスや事業を立ち上げて対応してきた。
2018年6月期第2四半期の売上高の事業別構成比は、フランチャイズ事業が12.8%、ハウス・リースバック事業が10.6%、不動産金融事業が2.1%(以上、ストック型収益事業計:25.5%)、不動産売買事業が47.4%、不動産流通事業が10.6%、リフォーム事業が16.5%であった。調整額控除前のセグメント利益率は、フランチャイズ事業が59.5%、ハウス・リースバック事業11.5%、不動産金融事業が24.5%、不動産売買事業が10.3%、不動産流通事業が21.9%、リフォーム事業が11.1%であった。ストック型収益事業の利益構成比は50.8%と大きい。
日銀のマイナス金利政策に象徴される低金利と大規模な金融緩和及び海外からの投資を背景に、東京の不動産価格は上昇し、局所的に過熱感が現れた。また、2015年1月の相続税改正(増税)の対策として、賃貸住宅への投資が増加した。実需を反映しない不動産投資の増加、価格上昇による利回りの低下など市場リスクが高まったことから、同社は前3ヶ年中期経営計画を1年目で見直し、2017年6月期を初年度とする新中期経営計画を策定した。新たな中期経営計画では、経営資源を労働集約型ビジネスである不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業から安定的に収益を生むストック型ビジネスであるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産金融事業へシフトした。不動産市場が変調を来しても、持続的な成長を可能とする全天候型経営への移行を加速化している。
2. フランチャイズ事業
(1) フランチャイズ事業の売上構成
2018年6月期第2四半期のフランチャイズ事業の売上高構成は、加盟金が18.3%、月会費が25.8%、システム料が12.2%、広告分担金が24.5%、備品売上が7.1%、その他が12.1%となった。新規加盟契約数は63件であった。フランチャイズ事業の営業利益は前年同期比21.9%増の736百万円となり、調整額控除前の売上高営業利益率は59.5%の高水準であった。
フランチャイズ事業の売上高の約4分の1を占める広告分担金は、集合的な広告宣伝に使用されるため、費用を徴収しているに過ぎない。同社は、2013年より元プロ野球選手・監督、現解説者の古田敦也(ふるたあつや)氏をイメージキャラクターに起用したブランド戦略を展開している。東証マザーズ上場により、同社に対するイメージが京都の企業から全国区へとアップした。さらに2016年12月に東証一部へ市場変更したことから、社会的信用が一層高まり、フランチャイズ加盟店募集に対する問い合わせが増えている。
(2) 加盟店の推移
2018年6月期第2四半期末の累計加盟契約数は501件と、半年で33件の純増であった。2018年6月期末の累計加盟契約数は573件を計画しており、前期比105件の増加を見込んでいる。2018年6月期第2四半期末のオープン店舗数は、半年間で37店舗増え、415店舗となった。今期末は前期末比79店舗増の457店舗が予想されている。
(3) 地域別展開
2018年6月期第2四半期末における「家・不動産買取専門店」を除く381店舗の地域別店舗数の割合は、東海地域が29.1%と最も多く、創業した近畿地域の14.7%を大きく上回っている。市場規模が近畿地区の2.5倍あるとみられる関東地区の79店舗は20.7%を占め、店舗数が近畿地区の56店舗よりも多くなった。東海地域は、同社が目標とする地域別店舗数125店舗に対して111店舗と進捗率が88.8%に到達した。同地域では、実績店舗数が目標の半分を超えたところで認知度が高まり、ブランド力が向上した。目標店舗数に対する進捗度は、関東地域が18.4%、近畿地域で32.0%にとどまる。店舗数が、それぞれ100店舗を超えたところで、東海地域で見られたような質的変化が起きることが見込まれている。同社は地域密着型営業のスタイルをとっていることから、最終目標を2025年までに全国1,000店舗としている。
(4) 不動産セクターのSPA(製造型小売業)
同社の強みは、SPAのように業界初のサービス・事業を次々と開発し、商品化する能力にある。フランチャイズ本部として、本部・直営店の実績に基づいた売上に繋がる多様な集客ノウハウや、同社グループで実際に行っている人材教育を提供しており、不動産仲介未経験の企業でも安心して参入できる。2017年6月末時点の加盟企業のうち約7割が新規参入者である。
他社に先駆けて開発したサービスや制度には、2013年10月の買取に特化したフランチャイズ事業の「家・不動産買取専門店」と住みながら家の売却を可能にした「ハウス・リースバック」、2016年7月の金融サービスとなる「不動産担保ローン」、2017年10月の「リバースモーゲージ保証事業」、2017年12月の欧米流エージェント制度などがある。2018年2月には空室・空き家の問題を解決するタイムシェアリング事業「Time Room Cloud」(タイムルームクラウド)をスタートさせた。
(5) 加盟店の変化
2018年6月期第2四半期におけるFC加盟店の内訳は、不動産売買仲介のサテライト店が369店舗、買取専門店が115店舗であった。直営店は、17店舗ある。
「家・不動産買取専門店」は不動産業者を対象としており、同業者が同社FCチェーンのバリューを新しいスキームの開発力とブランド力と評価するステージに入ってきた。業界への新規参入企業に対し、不動産売買仲介事業におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップ戦略等)を提供してきたが、最近では社会的信用度や看板などのブランド価値やネットワークを必要とする中小不動産事業者が増えている。フランチャイズ事業は、知名度及び信用度のアップに複数の業態を開発したことで、地域と加盟店の対象が拡大しつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>