ケネディクス Research Memo(1):受託資産残高の拡大により前期業績は好調に推移
[18/03/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。J-REIT(リート)の5銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、受託資産残高は2.0兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金、個人投資家など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。2008年のリーマン・ショックによる金融引締めや不動産市況の悪化の影響を受けたが、アセットマネジメント業務への回帰、バランスシートの再構築を経て、いよいよ同社が目指してきた「ケネディクスモデル」※の本格稼働フェーズに入ってきた。最近では、太陽光発電所等を対象としたインフラファンドや生活密着型商業施設の開発ファンドなど、将来を見据えた新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。また、新たな不動産投資の仕組みである不動産クラウドファンディング事業の立ち上げも進めている。
※ 不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する独自の収益モデル。
同社は、2015年12月期から3ヶ年の中期経営計画を推進。アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求の3項目を重点施策とし、「ベース利益」※40億円、ROE(3年平均)8%以上を目標に掲げてきた。
※ 同社の安定した収益力を示す指標。
その結果、最終年度である2017年12月期の業績は、営業収益が前期比15.8%増の26,349百万円、営業利益が同28.9%増の12,285百万円、経常利益が同7.7%増の11,455百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%増の10,516百万円と受託資産残高の拡大等に伴って好調に推移。「ベース利益」は67億円、ROEも3年間にわたって12%前後を維持し、中期経営計画を大幅に達成することができた。また、ブリッジやコアを始め、新たな成長分野への開発や海外案件など、顧客投資家との共同投資により、分散された投資エクスポージャーを構築したところは、今後の成長に向けても大きな成果を残すことができたと評価できる。
新たな中期経営計画は、前中期経営計画の方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。また、引き続き、2025年の長期ビジョンとして、受託資産残高4兆円、ROE 15%を目指す。
2018年12月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比115.2%増の56,700百万円、営業利益を同0.1%増の12,300百万円、経常利益を同2.1%増の11,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同0.8%増の10,600百万円と引き続き増収増益を見込む。営業収益の伸びが大きいのは会計技術的な要因であるが、営業総利益が前期比18.2%増の19,193百万円と堅調に推移することや、総合的な収益力を示す最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)についても、法人税等の増加(税務上の繰越損失解消に伴うもの)が見込まれるなかで、しっかりと増益を確保するところは評価すべきだろう。
弊社では、「ケネディクスモデル」を確立してきた同社にとって、好調な外部環境(投資対象としての不動産への注目度の高まり等)を追い風としながら、持続的な成長を実現することは可能であると評価している。注目すべきは、「ケネディクスモデル」をさらに発展させるための具体的な施策とその成果にあると言える。独自のポジショニングやビジネスモデルを展開する同社ならではの価値創造に期待したい。
■Key Points
・受託資産の拡大により、2017年12月期業績は好調に推移
・2015年から推進してきた中期経営計画も定量・定性ともに大きな成果を残す
・新たな中期経営計画は、前中期経営計画を継承し、「ケネディクスモデル」の更なる発展に取り組む
・また、2025年の長期ビジョンとして、引き続き、受託資産残高4兆円、ROE 15%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>
ケネディクス<4321>は、国内最大の独立系不動産アセットマネジメント会社である。1995年の設立以降、日本の不動産証券化ビジネスの勃興期から活躍するとともに、不動産アセットマネジメント会社の草分けとして業容を拡大してきた。J-REIT(リート)の5銘柄や私募REITのほか、多数の私募ファンドを運用しており、受託資産残高は2.0兆円を超える。国内外の機関投資家や年金基金、個人投資家など幅広い投資家層を顧客基盤に持つ。2008年のリーマン・ショックによる金融引締めや不動産市況の悪化の影響を受けたが、アセットマネジメント業務への回帰、バランスシートの再構築を経て、いよいよ同社が目指してきた「ケネディクスモデル」※の本格稼働フェーズに入ってきた。最近では、太陽光発電所等を対象としたインフラファンドや生活密着型商業施設の開発ファンドなど、将来を見据えた新規分野の拡大にも積極的に取り組んでいる。また、新たな不動産投資の仕組みである不動産クラウドファンディング事業の立ち上げも進めている。
※ 不動産を自ら保有せず、グループで組成・運用するファンドが保有することにより、安定的な収益力を追求する独自の収益モデル。
同社は、2015年12月期から3ヶ年の中期経営計画を推進。アセットマネジメント事業を中心とする安定収益の成長、共同投資を中心とする不動産投資事業の推進、財務の健全性と株主還元の最適なバランスの追求の3項目を重点施策とし、「ベース利益」※40億円、ROE(3年平均)8%以上を目標に掲げてきた。
※ 同社の安定した収益力を示す指標。
その結果、最終年度である2017年12月期の業績は、営業収益が前期比15.8%増の26,349百万円、営業利益が同28.9%増の12,285百万円、経常利益が同7.7%増の11,455百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%増の10,516百万円と受託資産残高の拡大等に伴って好調に推移。「ベース利益」は67億円、ROEも3年間にわたって12%前後を維持し、中期経営計画を大幅に達成することができた。また、ブリッジやコアを始め、新たな成長分野への開発や海外案件など、顧客投資家との共同投資により、分散された投資エクスポージャーを構築したところは、今後の成長に向けても大きな成果を残すことができたと評価できる。
新たな中期経営計画は、前中期経営計画の方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。また、引き続き、2025年の長期ビジョンとして、受託資産残高4兆円、ROE 15%を目指す。
2018年12月期の業績予想について同社は、営業収益を前期比115.2%増の56,700百万円、営業利益を同0.1%増の12,300百万円、経常利益を同2.1%増の11,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同0.8%増の10,600百万円と引き続き増収増益を見込む。営業収益の伸びが大きいのは会計技術的な要因であるが、営業総利益が前期比18.2%増の19,193百万円と堅調に推移することや、総合的な収益力を示す最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)についても、法人税等の増加(税務上の繰越損失解消に伴うもの)が見込まれるなかで、しっかりと増益を確保するところは評価すべきだろう。
弊社では、「ケネディクスモデル」を確立してきた同社にとって、好調な外部環境(投資対象としての不動産への注目度の高まり等)を追い風としながら、持続的な成長を実現することは可能であると評価している。注目すべきは、「ケネディクスモデル」をさらに発展させるための具体的な施策とその成果にあると言える。独自のポジショニングやビジネスモデルを展開する同社ならではの価値創造に期待したい。
■Key Points
・受託資産の拡大により、2017年12月期業績は好調に推移
・2015年から推進してきた中期経営計画も定量・定性ともに大きな成果を残す
・新たな中期経営計画は、前中期経営計画を継承し、「ケネディクスモデル」の更なる発展に取り組む
・また、2025年の長期ビジョンとして、引き続き、受託資産残高4兆円、ROE 15%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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