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ケネディクス Research Memo(7):2018年12月期も増収増益を見込む

注目トピックス 日本株
■業績見通し

新中期経営計画の初年度となる2018年12月期の業績予想についてケネディクス<4321>は、営業収益を前期比115.2%増の56,700百万円、営業利益を同0.1%増の12,300百万円、経常利益を同2.1%増の11,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同0.8%増の10,600百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。

営業収益の伸びが大きいのは会計技術的な要因※1が影響していることに注意する必要があるものの、同社本来の業績の伸びを示す営業総利益が前期比1.1%増の19,40百万円と堅調に推移することや、総合的な収益力を示す最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)も法人税等が増加する(通常水準に戻る)なか※2で、しっかりと増益を確保するところは評価すべきだろう。

※1 投資案件の計上区分の変更に伴い、売却損益を営業収益(グロス)に計上する物件が増加することによる。この背景には、これまで有形固定資産として計上していた物件を棚卸資産に振り替えた(投資目的に即した区分に見直した)ことがある。有形固定資産からの売却は、売却損益を特別損益(ネット)に計上するが、棚卸資産からの売却の場合は、売却高を営業収益(グロス)として計上するためであり、最終利益にはどちらで処理しても影響はない。
※2 税務上の繰越損失の解消によるもの。


事業別の営業総利益では、「アセットマネジメント事業」が、前期の特殊要因(不動産売却損益として見込んでいたものがフィーとして計上)の反動により減益となるものの、その影響を除けば、受託資産残高の伸びに伴って堅調に推移する見通しである。また、「不動産関連事業」は民泊による上乗せを見込む一方、「不動産投資事業」も不動産売却損益により増益を確保する想定となっている。

また、「ベース利益」は、前述した特殊要因の反動により前期比16.4%減の56億円に縮小する一方、その分、「不動産投資損益」が同75.5%増の86億円と拡大する見通しであり、実態としては両方ともに過去からのトレンドに従ってバランスよく伸びる想定と言える。



■業界環境

(株)三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、2017年6月末のJ-REIT、私募ファンドを合わせた市場規模(運用資産額ベース)は約32.0兆円(前年末比2,200億円増)と若干増加した。過去からの推移を見ると、J-REITはリーマン・ショック以降、伸び悩みが見られたものの、2013年から拡大基調で推移している。J-REITの銘柄数も順調に増えており、2017年12月末では59銘柄となっている。一方、私募ファンドについても保有物件の売却を進めたことなどから縮小傾向をたどってきたが、2016年6月末からは4年ぶりに増加に転じている。物件売却の一巡やマイナス金利政策によりエクイティ投資家の不動産への投資意欲が高まったことが要因として挙げられる。もっとも、足元では、都内を中心に物件取得が困難な状況が続いているほか、銀行借入による調達環境も少しずつ変調している可能性にも注意する必要がある。また、東証REIT指数については、2017年10月頃までの動きを見ると、長期金利の上昇や一時的な需給バランスの崩れによりやや軟調に推移する局面もあった。ただ、日銀の金利上昇を抑制する動きや海外投資家からの積極的な買いなどにより年後半は持ち直し、堅調に推移していると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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