クオール Research Memo(1):“マンツーマン薬局”と異業種提携による新業態薬局の2本柱
[18/03/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 大手調剤薬局チェーンの一角を占め、店舗数で第2位、売上高で第3位を誇る
クオール<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。1992年の設立以来、M&Aを積極的に活用しながら店舗網を拡大し、成長を遂げてきた。調剤薬局事業の戦略面での特徴は、コアビジネスとしての“マンツーマン薬局”展開と、それを補完する異業種との事業提携に基づいた新業態薬局の2本柱体制にある。同社はまた、調剤薬局事業を補完するもう1つの事業として、BPO(Business Process Outsourcing:業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託すること)受託事業を展開している。BPO受託事業においては、製薬会社にMRを派遣するCSO(Contract Sales Organization:医薬品販売業務受託機関)事業や、薬剤師・看護師等の医療従事者の派遣紹介事業などを手掛けている。
2. M&Aを主軸として店舗網を拡大し、シェア5%・売上高3,000億円を目指す
同社が属する調剤薬局業界は国民医療費の中の「薬局調剤医療費」が市場規模の目安となる。高齢化社会の進行などを背景に、成長率は鈍化する可能性はあるものの、調剤薬局業界の市場規模は成長が続くと予想される。こうした市場環境に対して同社は、M&Aを主軸とした店舗網の積極拡大策で臨む方針だ。同社は店舗展開において“マンツーマン薬局”というコンセプトを推進しているが、これは潜在的なM&Aのターゲット企業をより幅広く取り込むうえでもプラスに働くと弊社では見ている。調剤薬局業界では中期的に業界再編が進むと見られているが、その過程で同社は勝ち組となり、1つの区切りである5%のシェアと売上高3,000億円を目指す方針だ。
3. 業績は順調に進捗中。2018年3月期通期見通しを2度目の上方修正
同社の2018年3月期第3四半期は、売上高108,471百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益6,989百万円(同54.5%増)と大幅増収増益で着地した。これを受けて同社は今通期の業績予想を上方修正し、売上高146,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益9,000百万円(同31.1%増)を予想している。好調な業績を牽引するのは主力の調剤薬局事業だ。今期は診療報酬・薬価の改定スキップ年で事業環境が比較的安定的に推移するなか、M&Aによる増収効果に加え、かかりつけ薬剤師・薬局への取り組みやジェネリック医薬品の使用促進などを通じて処方せん単価上昇に努め、業績の躍進へとつなげた。2019年3月期は改定年に当たるが、これまで同様、店舗数拡大を積極的に推し進めることで、増収増益基調を維持するものと弊社ではみている。
■Key Points
・調剤薬局事業では店舗数で第2位、売上高で第3位のポジション
・調剤薬局事業の市場規模は約8兆円。高齢化社会の進行で成長が続く見通し
・M&Aを主軸とした店舗網拡大による成長を目指す。マンツーマン薬局のコンセプトもM&Aの実現に追い風になると期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MW>
1. 大手調剤薬局チェーンの一角を占め、店舗数で第2位、売上高で第3位を誇る
クオール<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。1992年の設立以来、M&Aを積極的に活用しながら店舗網を拡大し、成長を遂げてきた。調剤薬局事業の戦略面での特徴は、コアビジネスとしての“マンツーマン薬局”展開と、それを補完する異業種との事業提携に基づいた新業態薬局の2本柱体制にある。同社はまた、調剤薬局事業を補完するもう1つの事業として、BPO(Business Process Outsourcing:業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託すること)受託事業を展開している。BPO受託事業においては、製薬会社にMRを派遣するCSO(Contract Sales Organization:医薬品販売業務受託機関)事業や、薬剤師・看護師等の医療従事者の派遣紹介事業などを手掛けている。
2. M&Aを主軸として店舗網を拡大し、シェア5%・売上高3,000億円を目指す
同社が属する調剤薬局業界は国民医療費の中の「薬局調剤医療費」が市場規模の目安となる。高齢化社会の進行などを背景に、成長率は鈍化する可能性はあるものの、調剤薬局業界の市場規模は成長が続くと予想される。こうした市場環境に対して同社は、M&Aを主軸とした店舗網の積極拡大策で臨む方針だ。同社は店舗展開において“マンツーマン薬局”というコンセプトを推進しているが、これは潜在的なM&Aのターゲット企業をより幅広く取り込むうえでもプラスに働くと弊社では見ている。調剤薬局業界では中期的に業界再編が進むと見られているが、その過程で同社は勝ち組となり、1つの区切りである5%のシェアと売上高3,000億円を目指す方針だ。
3. 業績は順調に進捗中。2018年3月期通期見通しを2度目の上方修正
同社の2018年3月期第3四半期は、売上高108,471百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益6,989百万円(同54.5%増)と大幅増収増益で着地した。これを受けて同社は今通期の業績予想を上方修正し、売上高146,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益9,000百万円(同31.1%増)を予想している。好調な業績を牽引するのは主力の調剤薬局事業だ。今期は診療報酬・薬価の改定スキップ年で事業環境が比較的安定的に推移するなか、M&Aによる増収効果に加え、かかりつけ薬剤師・薬局への取り組みやジェネリック医薬品の使用促進などを通じて処方せん単価上昇に努め、業績の躍進へとつなげた。2019年3月期は改定年に当たるが、これまで同様、店舗数拡大を積極的に推し進めることで、増収増益基調を維持するものと弊社ではみている。
■Key Points
・調剤薬局事業では店舗数で第2位、売上高で第3位のポジション
・調剤薬局事業の市場規模は約8兆円。高齢化社会の進行で成長が続く見通し
・M&Aを主軸とした店舗網拡大による成長を目指す。マンツーマン薬局のコンセプトもM&Aの実現に追い風になると期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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