アーバネット Research Memo(1):足元業績は減収減益となるがおおむね計画どおりの進捗
[18/03/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区内で駅から徒歩10分以内の投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からマンション開発、そしてマンション販売会社等への1棟販売を手掛けており、設計・開発に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、機能性やデザイン性に優れた「ものづくり」や、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産投資市況にはやや過熱感がみられるものの、従来の不動産投資家に加え、老後の生活に不安を抱える新たな若年層の個人投資家や海外投資家の参入、相続税の実質増税に対応する富裕層など、いくつもの追い風により業績は好調に推移している。また、自社保有の収益物件によるストックビジネスの強化に取り組んでいるが、新たにロードサイド型のホテル事業にも参入した。持続的な成長に向けて、安定収益源の確保や事業ポートフォリオの拡充を狙っている。
2. 2018年6月期上期の業績
2018年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比17.4%減の8,834百万円、営業利益が同30.8%減の1,218百万円と減収減益となったがおおむね計画どおりの進捗である。自社開発による投資用マンションの販売戸数は微増したものの、前期の特殊要因(大型事業用地の転売)の剥落による反動減のほか、販売時期の遅れ(期ずれ)により減収となった。利益面でも、減収による収益の押し下げに加えて、1棟一括直接販売※が少なかったことにより売上総利益率が低下(常態化)したものの想定内。むしろ、仲介手数料(支払手数料)等の減少を含めて販管費の削減を図ったことから、計画を上回る利益水準を確保した。
※同社は、提携する販売会社への1棟販売を基本とするが、ここ数年は、引き合いの強い海外投資家や事業会社等への1棟一括直接販売にも注力し、それが売上総利益率を押し上げる要因となってきた。
3. 業績見通し
2018年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比10.1%減の16,000百万円、営業利益を同38.0%減の1,500百万円と減収減益を見込んでいる。業績が一旦後退するのは、販売戸数が前期を下回る想定となっていることや、前期の利益率を高める要因となった1棟一括直接販売がなくなることが理由である。もっとも、販売戸数自体は高い水準を維持(過去3番目の水準)する想定であり、1棟一括直接販売による影響を除けば、依然として好調な業績が継続するものと評価しても良いだろう。また、来期(2019年6月期)以降については、再び販売戸数の拡大により、増収増益へと向かう見通しである。弊社では、計画の前提となっている販売戸数が既にほぼ契約済であることから会社予想の達成は可能であるとみている。むしろ、期初予想に入っていない取引の積み上げにより上振れとなる可能性にも注意する必要がある。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件やホテル事業など) や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸事業等)の強化により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、アパートなど新しい分野への挑戦や東京23 区内での開発エリアの見直しのほか、シニア向けマンションなど新たな需要の取り込み等により、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す戦略と言える。弊社でも、当面の業績の伸びに結び付くパイプライン(用地仕入れ)の進捗はもちろん、ホテル事業の本格展開に向けた道筋など、次の成長ステージに向けた施策の成果に注目している。
■Key Points
・2018年6月期上期業績は減収減益なるがおおむね計画どおりの進捗
・2018年6月期の業績は一旦後退するものの、依然として高い水準を維持する見込み
・来期(2019年6月期)以降は、販売戸数の拡大により再び増収増益へ向かう見通し
・既存事業を軸とした事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す方針
・ポイントによる株主優待制度を新設(2018年6月30日基準の株主より開始)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区内で駅から徒歩10分以内の投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からマンション開発、そしてマンション販売会社等への1棟販売を手掛けており、設計・開発に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、機能性やデザイン性に優れた「ものづくり」や、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産投資市況にはやや過熱感がみられるものの、従来の不動産投資家に加え、老後の生活に不安を抱える新たな若年層の個人投資家や海外投資家の参入、相続税の実質増税に対応する富裕層など、いくつもの追い風により業績は好調に推移している。また、自社保有の収益物件によるストックビジネスの強化に取り組んでいるが、新たにロードサイド型のホテル事業にも参入した。持続的な成長に向けて、安定収益源の確保や事業ポートフォリオの拡充を狙っている。
2. 2018年6月期上期の業績
2018年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比17.4%減の8,834百万円、営業利益が同30.8%減の1,218百万円と減収減益となったがおおむね計画どおりの進捗である。自社開発による投資用マンションの販売戸数は微増したものの、前期の特殊要因(大型事業用地の転売)の剥落による反動減のほか、販売時期の遅れ(期ずれ)により減収となった。利益面でも、減収による収益の押し下げに加えて、1棟一括直接販売※が少なかったことにより売上総利益率が低下(常態化)したものの想定内。むしろ、仲介手数料(支払手数料)等の減少を含めて販管費の削減を図ったことから、計画を上回る利益水準を確保した。
※同社は、提携する販売会社への1棟販売を基本とするが、ここ数年は、引き合いの強い海外投資家や事業会社等への1棟一括直接販売にも注力し、それが売上総利益率を押し上げる要因となってきた。
3. 業績見通し
2018年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比10.1%減の16,000百万円、営業利益を同38.0%減の1,500百万円と減収減益を見込んでいる。業績が一旦後退するのは、販売戸数が前期を下回る想定となっていることや、前期の利益率を高める要因となった1棟一括直接販売がなくなることが理由である。もっとも、販売戸数自体は高い水準を維持(過去3番目の水準)する想定であり、1棟一括直接販売による影響を除けば、依然として好調な業績が継続するものと評価しても良いだろう。また、来期(2019年6月期)以降については、再び販売戸数の拡大により、増収増益へと向かう見通しである。弊社では、計画の前提となっている販売戸数が既にほぼ契約済であることから会社予想の達成は可能であるとみている。むしろ、期初予想に入っていない取引の積み上げにより上振れとなる可能性にも注意する必要がある。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件やホテル事業など) や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸事業等)の強化により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、アパートなど新しい分野への挑戦や東京23 区内での開発エリアの見直しのほか、シニア向けマンションなど新たな需要の取り込み等により、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す戦略と言える。弊社でも、当面の業績の伸びに結び付くパイプライン(用地仕入れ)の進捗はもちろん、ホテル事業の本格展開に向けた道筋など、次の成長ステージに向けた施策の成果に注目している。
■Key Points
・2018年6月期上期業績は減収減益なるがおおむね計画どおりの進捗
・2018年6月期の業績は一旦後退するものの、依然として高い水準を維持する見込み
・来期(2019年6月期)以降は、販売戸数の拡大により再び増収増益へ向かう見通し
・既存事業を軸とした事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す方針
・ポイントによる株主優待制度を新設(2018年6月30日基準の株主より開始)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>