Eストアー Research Memo(4):ストック、フロウ、マーケティングの3事業の収入増により成長を目指す
[18/03/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略と進捗状況
1. 成長戦略の全体像
Eストアー<4304>の収入は事業別・タイプ別にストック、フロウ、マーケティング及びメディアの4つの事業・収入に分類されているのは前述のとおりだ。これらのうち、注力事業であるストック、フロウ、及びマーケティングの3つの事業について、その収入をそれぞれ拡大させることが同社の成長戦略の骨格となっている。言うまでもなく、それぞれの事業ごとに具体的な成長戦略の具体的内容は異なる。
前述のように、同社は収益の軸となる事業をおよそ7年単位で移行しながら成長を遂げてきた。2012年ごろからマーケティング事業の育成に注力しており、2018年3月期中の現在はその折り返し地点にいるということだ。
今2018年3月期の大きな進捗、変化としては、1)マーケティング事業において、マーケティングシステム事業(販促システム事業)がスタートして、具体的商品が2本ローンチされたこと、2)“若返り”を主眼とする、全社的な大規模組織改革が断行されたこと、の2つが挙げられる。
ストック事業、フロウ事業については、従来からの成長戦略に基づき、粛々とその進捗に努めている状況にある。また、メディア事業は非注力事業と位置付けられて投資が抑制されており、縮小方向にあるのも従来から変化はない。
2. マーケティング事業の成長戦略
マーケティング事業は顧客に対して販売促進(マーケティング)のためのコンサルティングや業務運営代行といった役務を提供し、それに対する対価(フィー)を得るのが事業モデルだ。対象顧客はEC支援のASPサービス『ショップサーブ』の既存顧客は言うまでもないが、マーケティング事業だけの新規顧客の開拓も進めている。
2018年3月期における大きな変化は、マーケティング事業において、“マーケティングシステム事業”を開始したことだ。マーケティングシステム事業は、広義ではマーケティング事業に含まれるが、その内容や収益モデルはこれまでのマーケティング事業のそれとは大きく異なる。以下では、従来からのコンサルティングや業務運営代行などを“マーケティングサービス事業”と称し、マーケティングサービス事業とマーケティングシステム事業を合わせてマーケティング事業という構成で説明する。
マーケティングシステム事業とは、販売促進支援システム、すなわちソフトウェアの開発と販売だ。目的は顧客の売上高拡大ということでマーケティング事業の中に含まれているが、収益モデルは固定の月額基本利用料とサービスの利用度数に応じた従量制課金から成り立っている。言わばストック収入とフロウ収入のハイブリッド型と言える。
同社は2017年秋までに『Estore Compare(コンペア)』、『Estore Query(クエリー)』の2つのサービスをローンチした。コンペアはECサイトについて、AB比較テストを行ってコンヴァージョン率(転換率、CVR)や成約数、LTV(生涯価値)の高い方をリアルタイムで突き止め、EC売上高の拡大につなげるツールだ。一方クエリーは、既存客を一定数有する事業者向けの、メールマーケティングツールで、顧客の属性を細分化し、パーソナライズしたメールを配信できる点に特長がある。
マーケティングサービス事業とマーケティングシステム事業は、顧客の販売促進という点では一致しているが、事業としての収益性においては大きな違いがある。マーケティングサービス事業は、コンサルティングや業務運営代行という業務の特性上、生産性の人的依存度が高く、利益率が上がりにくい収益構造となっている。それに対してマーケティングシステム事業は、人的依存度が低いため、契約顧客数が一定数を超えてくると利益率が非常に高くなることが期待できる。
現状では、マーケティングシステム事業は開始直後ということでもあり、顧客数はごく少数にとどまっている。システム自体も日々改良を重ねているステージでもあり、売上高・利益の両面で、収益には貢献できていない段階にある。しかしながら、弊社ではマーケティングシステム事業を開始した意義は非常に大きいと考えている。理由の大きな1つは、マーケティングサービス事業の低収益性を補完する商品・サービスという役割だ。また、人材不足や働き方改革という時代の流れにマッチした商品・サービスという点でも意義が大きい。さらには、マーケティングシステムの機能は、マーケティングサービスで働く同社のコンサルタントにとっても有用性が高いと考えられることだ。換言すれば、両者のシナジーを追求しやすい商品・サービスであると言える。将来的には、マーケティングサービスとマーケティングシステムとが融合することで、両者の収入が大きく伸びる可能性があるとみている。
同社は今後も、マーケティングシステム事業において新たな商品を投入予定であり、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<TN>
1. 成長戦略の全体像
Eストアー<4304>の収入は事業別・タイプ別にストック、フロウ、マーケティング及びメディアの4つの事業・収入に分類されているのは前述のとおりだ。これらのうち、注力事業であるストック、フロウ、及びマーケティングの3つの事業について、その収入をそれぞれ拡大させることが同社の成長戦略の骨格となっている。言うまでもなく、それぞれの事業ごとに具体的な成長戦略の具体的内容は異なる。
前述のように、同社は収益の軸となる事業をおよそ7年単位で移行しながら成長を遂げてきた。2012年ごろからマーケティング事業の育成に注力しており、2018年3月期中の現在はその折り返し地点にいるということだ。
今2018年3月期の大きな進捗、変化としては、1)マーケティング事業において、マーケティングシステム事業(販促システム事業)がスタートして、具体的商品が2本ローンチされたこと、2)“若返り”を主眼とする、全社的な大規模組織改革が断行されたこと、の2つが挙げられる。
ストック事業、フロウ事業については、従来からの成長戦略に基づき、粛々とその進捗に努めている状況にある。また、メディア事業は非注力事業と位置付けられて投資が抑制されており、縮小方向にあるのも従来から変化はない。
2. マーケティング事業の成長戦略
マーケティング事業は顧客に対して販売促進(マーケティング)のためのコンサルティングや業務運営代行といった役務を提供し、それに対する対価(フィー)を得るのが事業モデルだ。対象顧客はEC支援のASPサービス『ショップサーブ』の既存顧客は言うまでもないが、マーケティング事業だけの新規顧客の開拓も進めている。
2018年3月期における大きな変化は、マーケティング事業において、“マーケティングシステム事業”を開始したことだ。マーケティングシステム事業は、広義ではマーケティング事業に含まれるが、その内容や収益モデルはこれまでのマーケティング事業のそれとは大きく異なる。以下では、従来からのコンサルティングや業務運営代行などを“マーケティングサービス事業”と称し、マーケティングサービス事業とマーケティングシステム事業を合わせてマーケティング事業という構成で説明する。
マーケティングシステム事業とは、販売促進支援システム、すなわちソフトウェアの開発と販売だ。目的は顧客の売上高拡大ということでマーケティング事業の中に含まれているが、収益モデルは固定の月額基本利用料とサービスの利用度数に応じた従量制課金から成り立っている。言わばストック収入とフロウ収入のハイブリッド型と言える。
同社は2017年秋までに『Estore Compare(コンペア)』、『Estore Query(クエリー)』の2つのサービスをローンチした。コンペアはECサイトについて、AB比較テストを行ってコンヴァージョン率(転換率、CVR)や成約数、LTV(生涯価値)の高い方をリアルタイムで突き止め、EC売上高の拡大につなげるツールだ。一方クエリーは、既存客を一定数有する事業者向けの、メールマーケティングツールで、顧客の属性を細分化し、パーソナライズしたメールを配信できる点に特長がある。
マーケティングサービス事業とマーケティングシステム事業は、顧客の販売促進という点では一致しているが、事業としての収益性においては大きな違いがある。マーケティングサービス事業は、コンサルティングや業務運営代行という業務の特性上、生産性の人的依存度が高く、利益率が上がりにくい収益構造となっている。それに対してマーケティングシステム事業は、人的依存度が低いため、契約顧客数が一定数を超えてくると利益率が非常に高くなることが期待できる。
現状では、マーケティングシステム事業は開始直後ということでもあり、顧客数はごく少数にとどまっている。システム自体も日々改良を重ねているステージでもあり、売上高・利益の両面で、収益には貢献できていない段階にある。しかしながら、弊社ではマーケティングシステム事業を開始した意義は非常に大きいと考えている。理由の大きな1つは、マーケティングサービス事業の低収益性を補完する商品・サービスという役割だ。また、人材不足や働き方改革という時代の流れにマッチした商品・サービスという点でも意義が大きい。さらには、マーケティングシステムの機能は、マーケティングサービスで働く同社のコンサルタントにとっても有用性が高いと考えられることだ。換言すれば、両者のシナジーを追求しやすい商品・サービスであると言える。将来的には、マーケティングサービスとマーケティングシステムとが融合することで、両者の収入が大きく伸びる可能性があるとみている。
同社は今後も、マーケティングシステム事業において新たな商品を投入予定であり、今後の展開が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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