Eストアー Research Memo(5):30代の若手を大幅に抜擢する大規模組織改編を断行
[18/03/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略と進捗状況
3. 若返りを主眼とする大規模組織改革
Eストアー<4304>は2017年8月末日付で、過去最大規模のリストラクチャリングを行った。ここでいうリストラは“首切り”という意味ではなく、文字どおりの事業構造の転換を意味するもので、その中心の施策はキーマン(幹部)ポジションにおける人材の大幅な若返りだ。端的に言えば、40代〜50代の社員が占めていたポジションに、30代社員を全社的に抜擢したというものだ。
同社がこうした若手の大幅抜擢を行った理由は、過去5年〜10年の時間をかけて育成してきた人材が育ち、その能力を今後10年〜15年程度にわたって存分に発揮させ、活用するためだ。別な角度から見ると、パソコン世代(40代〜50代)からスマホ世代(20代〜30代)へのシフトということもできるだろう。様々なサービスが(パソコンではなく)スマートフォンによって利用されることが主流となった今、スマホネイティブ世代でなければ対応が困難になってきたという現実への対応ということだ。今回の若手抜擢人事について、極めて合理的な経営判断であると弊社では評価している。
若手抜擢の効果は既に様々な面で効果を発揮しているもようだ。具体的には人件費の削減と、広告宣伝費の削減という形で、今第3四半期の決算に貢献した。これらは大規模人事異動に伴って人手不足が露呈したり出稿活動が一時的に停滞するなか、若手リーダーを中心に、費用投下(人員採用や広告出稿再開など)を伴わない形で、あるいは、より効率的な費用投下によって、異動前の水準に営業成績を戻したということが背景にある。言わば“けがの功名”的な効果ではあるが、この成功体験によって、現在の縮小した人員体制や広告宣伝費の水準が、来期以降も恒常化する可能性が見えてきているということが最大のポイントだと弊社では考えている。
2019年3月期は、費用のベースの引き下げという側面だけでなく、トップライングロース(売上高の成長)においても若手人材の抜擢の効果が顕在化してくるかが最大のポイントだ。前述のように、スマホネイティブ世代ならではの施策によって、トップライングロースも実現できると弊社では期待しており、今後の推移を見守りたいと考えている。
4. ストック事業の成長戦略
ストック事業収入については、いくつかのステップを経て、現在は顧客単価の上昇に取り組んでいる。顧客単価の引き上げは、顧客構成比の変化(大口顧客の割合上昇)による平均単価の上昇と、既存顧客における利用サービス拡大による月次利用料の底上げという2つのアプローチが考えられる。
Eストアー<4304>は両方の施策に取り組んでいるが、なかでも注力するのは前者だ。“良品良店へのシフト”をスローガンに掲げ、新規顧客獲得において、競争力のある商品を扱う店舗や、収益成長性の高い店舗、あるいは、売上規模が大きく、高い月額利用単価が見込める中堅企業などに重点を置くことを徹底している。
これらの施策は徐々に結果につながってきており、顧客単価は着実に上昇しつつあるが、一方で、顧客数の減少傾向が依然として続いている。ストック収入は「顧客単価×顧客数」で求められるが、顧客数減少のマイナス影響が顧客単価上昇のプラス効果を上回っているため、ストック収入は減収トレンドから脱し切れていない状況となっている。
5. フロウ事業の成長戦略
フロウ収入はASPサービスのショップサーブを経由する売上高の一定割合を、決済代行手数料の形でEストアー<4304>が受け取るものだ。フロウ収入の成長戦略は顧客の属性によって複数のアプローチがある。現在同社が主として取り組んでいるのは、1)既存顧客のマーケティングを支援し、売上高増大を実現することと、2)顧客企業の構成を変えて売上高の大きい企業の割合を増やすことの2点だ。
1)については、同社が注力するマーケティング(販促のコンサルティング、業務運営代行等)サービス提供契約をショップサーブの既存顧客と契約し、その成果として売上高が拡大させてフロウ収入の拡大につなげるというものだ。このアプローチは言わば、フロウ収入とマーケティング収入のシナジー追求型だ。
2)はストック収入の構造改革である“良品良店シフト”の推進で、ショップサーブ契約企業における企業規模別構成変化だ。こちらは、ストック収入とフロウ収入が表裏一体で改善を図ることができる取り組みと言える。
フロウ収入の総額は着実に右肩上がりを歩んでいる。その要因は、これまでは前述の2)のアプローチの効果が大きかったとみられるが、今後期待が高いのは1)のアプローチ、すなわちマーケティング収入とフロウ収入のシナジー効果だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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3. 若返りを主眼とする大規模組織改革
Eストアー<4304>は2017年8月末日付で、過去最大規模のリストラクチャリングを行った。ここでいうリストラは“首切り”という意味ではなく、文字どおりの事業構造の転換を意味するもので、その中心の施策はキーマン(幹部)ポジションにおける人材の大幅な若返りだ。端的に言えば、40代〜50代の社員が占めていたポジションに、30代社員を全社的に抜擢したというものだ。
同社がこうした若手の大幅抜擢を行った理由は、過去5年〜10年の時間をかけて育成してきた人材が育ち、その能力を今後10年〜15年程度にわたって存分に発揮させ、活用するためだ。別な角度から見ると、パソコン世代(40代〜50代)からスマホ世代(20代〜30代)へのシフトということもできるだろう。様々なサービスが(パソコンではなく)スマートフォンによって利用されることが主流となった今、スマホネイティブ世代でなければ対応が困難になってきたという現実への対応ということだ。今回の若手抜擢人事について、極めて合理的な経営判断であると弊社では評価している。
若手抜擢の効果は既に様々な面で効果を発揮しているもようだ。具体的には人件費の削減と、広告宣伝費の削減という形で、今第3四半期の決算に貢献した。これらは大規模人事異動に伴って人手不足が露呈したり出稿活動が一時的に停滞するなか、若手リーダーを中心に、費用投下(人員採用や広告出稿再開など)を伴わない形で、あるいは、より効率的な費用投下によって、異動前の水準に営業成績を戻したということが背景にある。言わば“けがの功名”的な効果ではあるが、この成功体験によって、現在の縮小した人員体制や広告宣伝費の水準が、来期以降も恒常化する可能性が見えてきているということが最大のポイントだと弊社では考えている。
2019年3月期は、費用のベースの引き下げという側面だけでなく、トップライングロース(売上高の成長)においても若手人材の抜擢の効果が顕在化してくるかが最大のポイントだ。前述のように、スマホネイティブ世代ならではの施策によって、トップライングロースも実現できると弊社では期待しており、今後の推移を見守りたいと考えている。
4. ストック事業の成長戦略
ストック事業収入については、いくつかのステップを経て、現在は顧客単価の上昇に取り組んでいる。顧客単価の引き上げは、顧客構成比の変化(大口顧客の割合上昇)による平均単価の上昇と、既存顧客における利用サービス拡大による月次利用料の底上げという2つのアプローチが考えられる。
Eストアー<4304>は両方の施策に取り組んでいるが、なかでも注力するのは前者だ。“良品良店へのシフト”をスローガンに掲げ、新規顧客獲得において、競争力のある商品を扱う店舗や、収益成長性の高い店舗、あるいは、売上規模が大きく、高い月額利用単価が見込める中堅企業などに重点を置くことを徹底している。
これらの施策は徐々に結果につながってきており、顧客単価は着実に上昇しつつあるが、一方で、顧客数の減少傾向が依然として続いている。ストック収入は「顧客単価×顧客数」で求められるが、顧客数減少のマイナス影響が顧客単価上昇のプラス効果を上回っているため、ストック収入は減収トレンドから脱し切れていない状況となっている。
5. フロウ事業の成長戦略
フロウ収入はASPサービスのショップサーブを経由する売上高の一定割合を、決済代行手数料の形でEストアー<4304>が受け取るものだ。フロウ収入の成長戦略は顧客の属性によって複数のアプローチがある。現在同社が主として取り組んでいるのは、1)既存顧客のマーケティングを支援し、売上高増大を実現することと、2)顧客企業の構成を変えて売上高の大きい企業の割合を増やすことの2点だ。
1)については、同社が注力するマーケティング(販促のコンサルティング、業務運営代行等)サービス提供契約をショップサーブの既存顧客と契約し、その成果として売上高が拡大させてフロウ収入の拡大につなげるというものだ。このアプローチは言わば、フロウ収入とマーケティング収入のシナジー追求型だ。
2)はストック収入の構造改革である“良品良店シフト”の推進で、ショップサーブ契約企業における企業規模別構成変化だ。こちらは、ストック収入とフロウ収入が表裏一体で改善を図ることができる取り組みと言える。
フロウ収入の総額は着実に右肩上がりを歩んでいる。その要因は、これまでは前述の2)のアプローチの効果が大きかったとみられるが、今後期待が高いのは1)のアプローチ、すなわちマーケティング収入とフロウ収入のシナジー効果だと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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