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ビジョン Research Memo(3):グローバルWiFi事業と情報通信サービス事業が2本柱

注目トピックス 日本株
■ビジョン<9416>の会社概要

3. 事業内容
手掛ける事業は、国内外でWiFiルーターのレンタルサービスを行うグローバルWiFi事業と、各種通信サービスの加入取次ぎや移動体通信機器・OA機器の販売、ホームページ制作等のサービス提供を行う情報通信サービス事業の2つが主力事業となっている。また、事業セグメントではその他として、カタログ販売事業やメディア事業等が含まれている。2014年12月期以降の4期間のセグメント別売上推移を見ると、グローバルWi-Fi事業が2014年12月期の3,755百万円(売上構成比36.9%)から2017年12月期は10,392百万円(同59.2%)と年々、構成比が上昇しており、収益成長のけん引役となっていることがわかる。

(1) グローバルWiFi事業
グローバルWiFi事業は、業界最多クラスとなる世界200ヶ国以上の国と地域をサービスエリアとし、世界各国の通信キャリア(通信事業者)と直接連携することでローカルネットワーク(データ通信サービス)を仕入れ、各地域に出張や旅行などで渡航する個人や法人向けにモバイルWiFiルーター等をレンタルすることによって収益を得るサービスとなる。

販売チャネルは、Webサイトやスマートフォン用アプリ、アフィリエイト、法人セールス、パートナー企業(各代理店)等を介してレンタルの申込受付を行っているほか、空港カウンターでも直接、WiFiルーターを受取返却できるカウンターを設置しており、その数は業界最多で国内15ヶ所の空港及び1港(2017年12月現在)となっている。また、海外でも提携先拠点として中国、韓国、東南アジア等で45ヶ所の空港カウンターで取り扱っている。サポート体制についても24時間365日、世界51の拠点で対応している(国内では佐賀県にコールセンターを設置)。なお、海外ではアジア、欧州、米国など11ヶ国で子会社を展開し、現地でレンタルサービスを行っている。サービス提供エリアの違いにより海外事業と国内事業に区分しているが、事業の構造、流れは同一である。

1日当たりのWiFiルーターのレンタル料金は、各国の通信事業者から仕入れる回線使用料によって変わるほか、通信データの使用可能容量や通信スピード(3G/4G LTE)によってサービスプランが異なり、おおむね670円〜1,970円の範囲で設定されている。また、オプションサービスとして安心補償パック(200〜500円/日)のほか、モバイルバッテリー(200円/日)やマルチ変換プラグ(50円/日)等の周辺機器のレンタルも行っている。顧客平均単価は約7,000円(平均渡航日数で約7日間)とここ数年横ばいで推移している。なお、2017年5月から新たにウェアラブル翻訳デバイス「ili(イリー)」(500円/日)のレンタルサービスを開始している。現在、日本語から英語、中国語、韓国語の3ヶ国語への自動翻訳に対応している。今後の期待商材として注目される。

WiFiルーターの総利用件数(海外→日本、海外→海外含む)は2017年12月期で年間165万件、前期比44%増となり、ここ数年で急成長を遂げている。海外渡航者(日本→海外)については年間約1,700万人程度と横ばい水準で推移しているが、スマートフォンの普及により海外渡航中でもモバイルデータ通信のニーズが拡大していること、また、そのなかで手軽に申込みや返却ができ、サービス料金も国内携帯電話事業者と比較して大幅に割安※な同社サービスの利用が拡大していることが急成長の要因となっている。また、情報通信サービス事業で培ったノウハウを生かして法人顧客数の開拓を進めてきたことも高成長の要因となっている。2017年12月期における法人ユーザーの比率は件数ベースで43.6%だが、金額ベースでは50.9%となっている。金額ベースの比率が高いのは、より高額な平均利用単価(平均渡航日数、利用するプラン、オプション選択による)が個人と比較して長いことによる。

※国内携帯電話会社の定額割引サービスとの比較において、地域によっては最大89.9%のコストメリットがある。


a) 海外事業
日本から海外、及び進出国(台湾、韓国、米国ロサンゼルス)における海外から海外への渡航者に、海外の各通信キャリア等から仕入れた回線をセットしたモバイルWiFiルーター(グローバルWiFi)をレンタルしている。サービスの内容は、世界200以上の国と地域で使えるパケット定額制となり、日本と同じ高速通信規格4G-LTEに対応している国と地域の数も86エリア(2018年2月23日現在)と業界最多クラス、1日当たり500MBまたは1GBという大容量を利用できるプランの提供国も同様に業界最多となっている。

日本からの海外渡航者の場合、ルーターの受取返却場所は国内の主要空港と港の合計16ヶ所(うち、1ヶ所は返却のみ)となっている。ハワイ、韓国では現地でも受取返却できるカウンターを設けているほか、空港で受け取れない場合には宅配での受取返却も可能となっている。また、空港カウンターでの受け渡しの待ち時間を解消するサービスとして、2016年から一部の空港で「スマートピックアップ」を導入している。事前にWeb予約申込を行うことで、スマートフォンを用いて空港内に設置された無人ロッカーからWiFiルーターを利用者自身で取り出すことができるサービスとなる。ここ最近は、利用者数の増加によって空港カウンターでの待ち時間も長くなっており、同サービスは顧客満足度の向上とリピート率の上昇に寄与している。また、有人カウンター要員が当日申込者からの受注対応を増やせる狙いもある。2017年末時点で羽田空港、成田空港、大阪国際空港(伊丹空港)、関西国際空港の4ヶ所にロッカーが設置されているが、今後もほかの空港でも設置場所が確保でき次第、導入していく予定となっている。

b) 国内事業
海外から日本への渡航者である訪日外国人及び国内旅行、出張者に対して、国内の各通信キャリアから仕入れた通信回線をセットしたモバイルWiFiルーターをレンタルしている。主力サービスは2015年3月にサービスを開始した訪日外国人向けWiFiルーターレンタルサービス「NINJA WiFi®」で、グローバルWiFiで培ったノウハウを生かし、日本ならではの細やかな体制でサービスを提供する。受取返却場所はグローバルWiFiを扱う空港のほか、滞在先のホテルへの宅配サービスや新宿オフィスでの受取りも可能となっている。日本語、英語、簡体字、繁体字、韓国語の5言語に対応している。

(2) 情報通信サービス事業
同社とメンバーズネット、ベストリンクを中心に、スタートアップ、ベンチャー企業、及びその他一般企業向けに、法人需要のステージニーズに合わせて各種通信サービスの加入取次ぎ、移動体通信機器やOA機器の販売、ホームページ制作等のサービス提供を行う。

ユーザーニーズを的確に捉え、最適な製品やサービスを最適なタイミングで提供するために、独自のWebマーケティングを活用した集客を行い、コールセンターによる案内※と、情報通信サービス事業を展開している全国7ヶ所の営業所及びパートナー企業との連携による訪問営業の組み合わせにより効率的な事業運営を行っている。

※佐賀市にあるビジョン・フューチャー・ビジネスセンターの専属コールセンターCLT(カスタマー・ロイヤリティ・チーム)が顧客との契約継続をフォローするCRM活動を行っている。


顧客開拓の主要ターゲットはスタートアップ、ベンチャー企業等となり、年間約1.7万社の新設法人※をコンスタントに獲得している。年間の新設法人登記件数が11.4万件(2016年)であることから、新設法人の7社に1社は同社のユーザーになっていることがわかる。同社ではCRMの活用により常に頼れるパートナーとしてこれらの企業との関係を維持し、顧客企業の成長に合わせて電話回線の追加やコピー機といったOA機器などのアップセル、クロスセルで需要を取り込む継続型ストックビジネスモデルとして事業を展開している。

※同社と新規取引を開始した設立後6ヶ月以内の企業合計。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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