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シノケンG Research Memo(8):2020年度に売上高1,500億円、営業利益160億円を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 3ヶ年業績見通しと成長戦略
シノケングループ<8909>は現在の事業環境を踏まえ、2018年2月に新たな3ヶ年業績見通しを発表した。不動産販売事業や不動産管理関連事業が順調に拡大していることを踏まえ、前回(2016年11月時点)の見通しを売上高、利益ともに上方修正し、新たに2020年12月期の業績見通しを売上高1,500億円、営業利益160億円、経常利益158億円、親会社株主に帰属する当期純利益110億円とした。3年間の年平均成長率は売上高で12.3%、営業利益で7.4%成長となる。

同社では目指すべき目標として、1)当期純利益100億円、2)自己資本比率40%以上、3)実質無借金経営の順序で、その早期達成を目指していくとしている。

中期計画の成長戦略としては、既存ビジネスの強化と海外事業構築及び国内外でのM&A実施による収益拡大を目指していく方針だ。

(1) 既存ビジネスの強化
既存ビジネスでは国内におけるアパート・マンション販売の更なる拡大に伴い、賃貸管理、分譲マンション管理、家賃等の債務保証、LPガス・電力の小売販売の積み上げを図り、収益成長と同時に収益基盤の安定化を進めていく。また、ゼネコン事業については、ホテルや公共施設、民間ビルやマンションなどグループ外の受注も拡大していきながら2020年12月期に総売上高で300億円を目標として掲げている。

介護事業に関しては、サ高住やグループホーム、訪問介護サービスなど多様なサービスをワンストップで提供できる強みを生かし、今後はグループ会社間の連携を図りながらシナジーを高めていく戦略だ。国内の高齢者(65歳以上)人口は2015年の3,387万人から2040年に3,900万人を超える水準まで増加し、人口比率では2050年に37.7%まで上昇すると予測されるなど、介護市場の拡大が見込まれている。同社においてもこうした需要を確実に取り込みながら、安定成長を目指していくことになる。

(2) 新規事業の育成
同社は新規事業の育成にも今後3年間で注力していく方針となっている。2017年より取り組みを開始した、ブロックチェーンを活用したサービスの開発、「リノベ×投資用マンション」事業、2018年から開始する不動産投資ファンド事業が挙げられる。

ブロックチェーンを活用したサービスの開発については、スマートロックやデジタル通貨「シノケンコイン」による電子決済サービス等を開発、導入することで利便性の向上を図り、差別化していく戦略となっている。同社が販売するアパートやマンションでもオーナーの了解が得られれば、導入していく予定にしている。同サービスを導入することによって、入居率が向上するのであれば、オーナーにとってもメリットとなるためだ。

「リノベ×投資用マンション」事業は2017年10月に開始した。都心の中古マンションを戸当たりで仕入れ、フルリノベーションを施し、投資用マンションとして販売していく事業となる。2018年1月までの4ヶ月で10戸を仕入れており、2018年は100戸の販売を目標としている。新築物件の東京一等地での開発が厳しい環境の中で、中古マンションをリノベーションすることで一等地希望の顧客ニーズに応え販売戸数を伸ばしていく。

また、前述したようにアパートの不動産投資ファンド事業も2018年より開始する。投資対象は、安定した利回りが期待できる都心のアパート物件で、複数棟をまとめてファンド組成し、機関投資家等に販売していく。また、投資家層の拡大を目的に小口投資ファンドや不動産担保型ローンファンド等、順次、新たなファンド組成を企画し、多様なニーズを取り込んでいく戦略となっている。従来はアパート経営を始めるのに頭金ゼロとはいえ、50百万円以上の資金をローンを組んで支払っていく必要があったが、小口投資ファンドであれば1口100万円からでも投資が可能となるため、不動産投資の経験がない個人でも手軽に投資できることになり、投資家層の更なる拡大が期待できることになる。不動産ファンド事業で運用するアパート物件については、同社の賃貸管理や各種保証サービス、LPガス・電力などの販売による収益が従来同様に積み上がるビジネスモデルとなっている。同社では毎年30〜50億円規模のファンドを組成し、幅広い投資家層に販売していく計画となっている。

(3) 海外事業の構築
海外事業では、2020年度までにインドネシアにおける不動産開発販売事業の売上高を100億円規模に拡大していくことを目標としている。インドネシアの人口は約2.6億人と世界第4位で、うちジャカルタは約1,017万人の都市となっている。周辺の郊外都市も含めた都市圏人口では約3千万人となり、これは東京に次ぐ世界第2位の規模で20年後には東京を抜いて世界1位の巨大都市に成長するとも言われている。このため、賃貸住宅等の不動産市場も今後高成長が期待できると見ているためだ。また、アジア開発銀行のレポートに基づく推計によると、2016年から2030年までの15年間におけるインドネシアでの必要インフラ投資額は1兆2千億ドルとされ、今後、土木工事・建設工事等の建設投資が拡大することが見込まれている。

こうしたなかで、同社は2018年3月に地場ゼネコンのムスティカの子会社化を発表した。ムスティカの子会社化により安定した施工能力が確保され、今後のアパート販売を積極的に推進していく体制が構築されたと言える。ムスティカは高速道路工事や大規模発電工事などを受注するだけの技術力や人的リソースも整っていることから、今後インドネシアではアパートの開発販売だけでなく総合不動産事業として展開していくものと予想される。なお、今回の3ヶ年業績見通しのなかにはムスティカの子会社化による影響は織り込んでおらず、上乗せ要因となる可能性が大きい。

(4) M&Aの取り組み
M&Aの取り組みでは、国内ではエネルギー事業拡大施策の1つとして、2017年5月に再生可能エネルギーであるバイオマス発電の企画開発等を行う新電力開発(株)の株式を50%取得し、関連会社とした(出資額は数千万円程度)。新電力開発は2017年に設立されたベンチャーだが、既にFIT(固定買取価格制度)認定を受けた第1号案件※を抱えており、当該案件は2018年に鳥取県境港市に発電出力で28MWの発電施設を建設し、2019年からの稼働を計画している。同社は東南アジアにあるグループのネットワークを活用してバイオマス発電の材料調達をサポートしていく。

※1kWh当たり24円で20年間販売できる契約となっている。


また、2017年8月に「MYU」ブランドで不動産賃貸仲介業を展開する(株)アーウェイ・ミュウコーポ?レーション(以下、ミュウ)に出資し、グループ会社化したことを発表した。「MYU」は福岡市内を中心に12店舗を展開しており、従来から同社の物件に関しても賃貸仲介を行うなど取引関係のあった会社だが、今回、グループ会社化することで更なる関係強化を進め、仕入・売買やマーケティング等でのシナジーを創出していく考えだ。

M&A戦略については、今後も事業基盤と領域の拡大につながる案件については国内外問わず、積極的に検討していく方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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