アイエスビー Research Memo(5):2020年12月期に売上高200億円、営業利益10億円を目指す
[18/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■新中期経営計画の概要
1. 新中期経営計画の概要
アイ・エス・ビー<9702>は3ヶ年の中期経営計画を策定し、その着実な実行による中期的成長の実現を目指している。2017年12月期は前中期経営計画の最終年度であったが、前述のように、実態的にはほぼ期初の業績計画を達成して終了した。
2018年12月期のスタートに当たり、同社は2018年12月期−2020年12月期の新3ヶ年中期経営計画『中期経営計画2020』を策定し、公表した。新中期経営計画の基本方針を一言で言うならば、同社が次のステージにステップアップするための“橋渡し”の3年間と言える。同社は2020年に創立50年の節目を迎える。次の50年間を創っていくための基盤固めが“橋渡し”の中身となるだろう。基盤固めができたかどうかを図る1つの尺度として中期経営計画最終年の業績がある。同社は2020年12月期の業績目標として、売上高200億円、営業利益10億円、営業利益率5%を掲げている。
この業績目標の達成に向けて同社は以下の4つの重点戦略で臨む方針だ。すなわち、1)プロダクト事業の展開と拡大、2)高付加価値業務へのシフト、3)コスト競争力強化、及び4)グループ経営戦略強化、の4つだ。これら4つの重点戦略は、前中計におけるそれとほぼ重なっており、今中期経営計画は前中期経営計画を正常進化させたものということができる。以下では、各重点戦略について前中期経営計画の振り返りも含めて詳述する。
2. プロダクト事業の展開と拡大
アイ・エス・ビー<9702>は、2017年1月に子会社化したアートのセキュリティシステム事業と、従来から同社が進めてきた新事業を合わせ、プロダクト事業へと名称を変更した。同社は売上高を分野別に分類して管理しており、これはその中の1つとなる。
前中期経営計画においては新事業の売上構成比拡大を目標に掲げて取り組んできたが、アートのセキュリティシステム事業が加わったことで、2016年12月期の330百万円(売上構成比2.5%)から2017年12月期は3,640百万円(売上構成比21.7%)に一気に拡大した。今中期経営計画では、2020年12月期において、プロダクト事業の売上構成比を前期レベルである20%を維持できるよう売上高拡大に取り組んでいくとしている。プロダクト事業の売上高構成比が2017年12月期実績の21.7%から低下するのは、他の分野の成長率もプロダクト事業と同様もしくは高く想定しているためと考えられ、プロダクト事業の売上高が40億円の大台乗せを達成することが何より重要だと弊社では考えている。
プロダクト事業は現状、7つの製品・サービスで構成されている。言うまでもなく最も規模が大きいのはセキュリティシステムであり、Vectant MDM、Caretive、L-Shareと続いている。セキュリティシステムがプロダクト事業の屋台骨であり成長ドライバーであることは揺るがないが、それに加えてVectant MDM やL-Shareにも成長のけん引役としての期待が高まっている。
セキュリティシステムにおいては、2017年に「ALLIGATE(アリゲイト)」プラットフォームを開発した。これは扉の鍵だけにとどまらず様々なモノや場所をアクセスコントロールできる次世代のIoTプラットフォームだ。具体的には、スマートフォンを端末として用い、オフィス、ホテル、マンション等を初め、ロッカーや宅配ボックス、シェアサイクルに代表される各種シェアードサービスなどの利用を管理することなどが可能になる。同社は今中計においてこのプラットフォームを採用したセキュリティシステム製品を順次拡大し、成長源に育成していく方針だ。
Vectant SDMは同社が提供するモバイルデバイスマネジメント(MDM)サービスのブランドだ。MDMサービス業界においては、そのサービスの性質上、大手通信キャリア系の事業者が高シェアを握っており、独立系事業者では同社のシェアはごくわずかとみられる。しかし同社の契約者数は着実に拡大しており、2017年12月期末の契約者数は8万件となった。その結果2017年12月期の売上高も前期比約20%増加し約150百万円に達した模様だ。働き方改革の一環でIT環境の整備が求められるなか、スマートフォンやタブレット端末の法人契約における導入や個人端末を業務で使用することが増加している。こうした流れはMDMサービスにとっては追い風であり、同社は更なる契約者数の拡大を図る方針だ。
L-Shareは医療機器用画像データの伝送・共有システムで、従来からシステムの普及・販売に努めてきたが、機能性の評価は高くとも採用が進んでいない。そうしたなか2017年12月期には大きな進捗としてL-Share Viewerの「医薬品医療機器等法(薬機法)」の認可を取得した。また、旭川医科大学との産学連携によりPET-CT診断用のDICOMビューアを製品化した。同社ではこれらをてこにしてL-Shareの拡販を狙う方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 新中期経営計画の概要
アイ・エス・ビー<9702>は3ヶ年の中期経営計画を策定し、その着実な実行による中期的成長の実現を目指している。2017年12月期は前中期経営計画の最終年度であったが、前述のように、実態的にはほぼ期初の業績計画を達成して終了した。
2018年12月期のスタートに当たり、同社は2018年12月期−2020年12月期の新3ヶ年中期経営計画『中期経営計画2020』を策定し、公表した。新中期経営計画の基本方針を一言で言うならば、同社が次のステージにステップアップするための“橋渡し”の3年間と言える。同社は2020年に創立50年の節目を迎える。次の50年間を創っていくための基盤固めが“橋渡し”の中身となるだろう。基盤固めができたかどうかを図る1つの尺度として中期経営計画最終年の業績がある。同社は2020年12月期の業績目標として、売上高200億円、営業利益10億円、営業利益率5%を掲げている。
この業績目標の達成に向けて同社は以下の4つの重点戦略で臨む方針だ。すなわち、1)プロダクト事業の展開と拡大、2)高付加価値業務へのシフト、3)コスト競争力強化、及び4)グループ経営戦略強化、の4つだ。これら4つの重点戦略は、前中計におけるそれとほぼ重なっており、今中期経営計画は前中期経営計画を正常進化させたものということができる。以下では、各重点戦略について前中期経営計画の振り返りも含めて詳述する。
2. プロダクト事業の展開と拡大
アイ・エス・ビー<9702>は、2017年1月に子会社化したアートのセキュリティシステム事業と、従来から同社が進めてきた新事業を合わせ、プロダクト事業へと名称を変更した。同社は売上高を分野別に分類して管理しており、これはその中の1つとなる。
前中期経営計画においては新事業の売上構成比拡大を目標に掲げて取り組んできたが、アートのセキュリティシステム事業が加わったことで、2016年12月期の330百万円(売上構成比2.5%)から2017年12月期は3,640百万円(売上構成比21.7%)に一気に拡大した。今中期経営計画では、2020年12月期において、プロダクト事業の売上構成比を前期レベルである20%を維持できるよう売上高拡大に取り組んでいくとしている。プロダクト事業の売上高構成比が2017年12月期実績の21.7%から低下するのは、他の分野の成長率もプロダクト事業と同様もしくは高く想定しているためと考えられ、プロダクト事業の売上高が40億円の大台乗せを達成することが何より重要だと弊社では考えている。
プロダクト事業は現状、7つの製品・サービスで構成されている。言うまでもなく最も規模が大きいのはセキュリティシステムであり、Vectant MDM、Caretive、L-Shareと続いている。セキュリティシステムがプロダクト事業の屋台骨であり成長ドライバーであることは揺るがないが、それに加えてVectant MDM やL-Shareにも成長のけん引役としての期待が高まっている。
セキュリティシステムにおいては、2017年に「ALLIGATE(アリゲイト)」プラットフォームを開発した。これは扉の鍵だけにとどまらず様々なモノや場所をアクセスコントロールできる次世代のIoTプラットフォームだ。具体的には、スマートフォンを端末として用い、オフィス、ホテル、マンション等を初め、ロッカーや宅配ボックス、シェアサイクルに代表される各種シェアードサービスなどの利用を管理することなどが可能になる。同社は今中計においてこのプラットフォームを採用したセキュリティシステム製品を順次拡大し、成長源に育成していく方針だ。
Vectant SDMは同社が提供するモバイルデバイスマネジメント(MDM)サービスのブランドだ。MDMサービス業界においては、そのサービスの性質上、大手通信キャリア系の事業者が高シェアを握っており、独立系事業者では同社のシェアはごくわずかとみられる。しかし同社の契約者数は着実に拡大しており、2017年12月期末の契約者数は8万件となった。その結果2017年12月期の売上高も前期比約20%増加し約150百万円に達した模様だ。働き方改革の一環でIT環境の整備が求められるなか、スマートフォンやタブレット端末の法人契約における導入や個人端末を業務で使用することが増加している。こうした流れはMDMサービスにとっては追い風であり、同社は更なる契約者数の拡大を図る方針だ。
L-Shareは医療機器用画像データの伝送・共有システムで、従来からシステムの普及・販売に努めてきたが、機能性の評価は高くとも採用が進んでいない。そうしたなか2017年12月期には大きな進捗としてL-Share Viewerの「医薬品医療機器等法(薬機法)」の認可を取得した。また、旭川医科大学との産学連携によりPET-CT診断用のDICOMビューアを製品化した。同社ではこれらをてこにしてL-Shareの拡販を狙う方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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