サイオス Research Memo(1):AI、Fintech、クラウドサービス領域での新規事業で成長スピードが加速
[18/04/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行っており、OSSの技術サポート体制では国内トップクラス。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」や、MFP(複合機)向け管理ソフトなど。2015年4月に(株)キーポート・ソリューションズ(以下、KPS)、同年10月にProfit Cube(株)(以下、PCI)と、金融業界向けのシステム開発会社を相次いで子会社化し、事業領域を拡大中。2017年10月に持株会社体制に移行している。
※ソフトウェアの設計図に当たるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
1. 2017年12月期業績は売上高で過去最高を更新
2017年12月期の連結業績は、売上高で前期比3.2%増の12,470百万円、営業利益で同32.4%減の320百万円となった。売上高は主力の「LifeKeeper」※やOSS関連商品等が順調に拡大したことにより7期連続で過去最高を更新した。一方、営業利益は商品販売の粗利率低下や広告宣伝費の増加に加えて、PCIで展開する金融機関向けアプリケーション製品の販売減少が響いて減益となった。また、PCIののれんに関して減損処理を実施したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は587百万円の損失(前期は254百万円の利益)を計上した。
※稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した場合は自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
2. 2018年12月期は増収増益を見込む
2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の13,000百万円、営業利益で同2.8%増の330百万円と増収増益を見込む。AIやFintech、クラウドサービス分野における新製品・サービスの開発に向け、研究開発費を前期比132百万円増の720百万円と積み増すものの、「LifeKeeper」やOSS関連商品・サービス、MFP向けソフトウェアなどが順調に伸びるほか、のれん等の償却額が100百万円減少することが増益要因となる。なお、PCIの業績については主要顧客である地方銀行で2019年よりIRRBB規制※に対応する必要が出てきたため、金利リスク管理商品の需要増が期待されるが、今回の業績計画では前期業績を踏まえ保守的に織込んでいる。なお、機械学習機能を使ったIT運用分析ソフトウェア「SIOS iQ」については、米国を中心に着実に実績を積み上げている状況。「LifeKeeper」に「SIOS iQ」の機能を付加する等、訴求力を高めながら拡販を進めていく方針だ。
※「銀行勘定の金利リスク(Interest Rate Risk in the Banking Book)」の略。金融庁では、金融機関に対して金利リスクの管理に関する規制強化を予定している。
3. 3ヶ年中期損益計画
同社は今後3年間を将来の成長への基盤を固める期間と位置付けており、業績目標としては2020年12月期に売上高155億円(2017年12月期比24.3%増)、EBITDA(償却前営業利益)で11億円(同121.0%増)を掲げている。引き続きAI、Fintech、クラウドサービス分野への開発を積極的に行っていく方針。新製品として「SIOS iQ」や2017年にリリースした「SIOS Coati」※の拡販を強化していくほか、Fintech分野ではAI技術を使った自動ローン審査システム等の開発に注力していく。また、AI分野ではバイオサイエンス分野での応用も視野に入れている。業績面では2017年12月期にやや足踏みする格好となったが、これら注力分野での新製品・サービスが収益に貢献し始めれば、業績は成長軌道に入るものと予想される。
※パブリッククラウド上でのシステム障害自動復旧サービス。
■Key Points
・AI、Fintech、クラウドコンピューティング領域に注力し、先進的な新製品・サービスの開発を進める
・新規事業の創出や研究開発に注力しつつ、2018年12月期は増収増益を目指す
・2020年12月期に売上高155億円、EBITDA11億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行っており、OSSの技術サポート体制では国内トップクラス。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」や、MFP(複合機)向け管理ソフトなど。2015年4月に(株)キーポート・ソリューションズ(以下、KPS)、同年10月にProfit Cube(株)(以下、PCI)と、金融業界向けのシステム開発会社を相次いで子会社化し、事業領域を拡大中。2017年10月に持株会社体制に移行している。
※ソフトウェアの設計図に当たるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
1. 2017年12月期業績は売上高で過去最高を更新
2017年12月期の連結業績は、売上高で前期比3.2%増の12,470百万円、営業利益で同32.4%減の320百万円となった。売上高は主力の「LifeKeeper」※やOSS関連商品等が順調に拡大したことにより7期連続で過去最高を更新した。一方、営業利益は商品販売の粗利率低下や広告宣伝費の増加に加えて、PCIで展開する金融機関向けアプリケーション製品の販売減少が響いて減益となった。また、PCIののれんに関して減損処理を実施したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は587百万円の損失(前期は254百万円の利益)を計上した。
※稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した場合は自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
2. 2018年12月期は増収増益を見込む
2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の13,000百万円、営業利益で同2.8%増の330百万円と増収増益を見込む。AIやFintech、クラウドサービス分野における新製品・サービスの開発に向け、研究開発費を前期比132百万円増の720百万円と積み増すものの、「LifeKeeper」やOSS関連商品・サービス、MFP向けソフトウェアなどが順調に伸びるほか、のれん等の償却額が100百万円減少することが増益要因となる。なお、PCIの業績については主要顧客である地方銀行で2019年よりIRRBB規制※に対応する必要が出てきたため、金利リスク管理商品の需要増が期待されるが、今回の業績計画では前期業績を踏まえ保守的に織込んでいる。なお、機械学習機能を使ったIT運用分析ソフトウェア「SIOS iQ」については、米国を中心に着実に実績を積み上げている状況。「LifeKeeper」に「SIOS iQ」の機能を付加する等、訴求力を高めながら拡販を進めていく方針だ。
※「銀行勘定の金利リスク(Interest Rate Risk in the Banking Book)」の略。金融庁では、金融機関に対して金利リスクの管理に関する規制強化を予定している。
3. 3ヶ年中期損益計画
同社は今後3年間を将来の成長への基盤を固める期間と位置付けており、業績目標としては2020年12月期に売上高155億円(2017年12月期比24.3%増)、EBITDA(償却前営業利益)で11億円(同121.0%増)を掲げている。引き続きAI、Fintech、クラウドサービス分野への開発を積極的に行っていく方針。新製品として「SIOS iQ」や2017年にリリースした「SIOS Coati」※の拡販を強化していくほか、Fintech分野ではAI技術を使った自動ローン審査システム等の開発に注力していく。また、AI分野ではバイオサイエンス分野での応用も視野に入れている。業績面では2017年12月期にやや足踏みする格好となったが、これら注力分野での新製品・サービスが収益に貢献し始めれば、業績は成長軌道に入るものと予想される。
※パブリッククラウド上でのシステム障害自動復旧サービス。
■Key Points
・AI、Fintech、クラウドコンピューティング領域に注力し、先進的な新製品・サービスの開発を進める
・新規事業の創出や研究開発に注力しつつ、2018年12月期は増収増益を目指す
・2020年12月期に売上高155億円、EBITDA11億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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