ソーバル Research Memo(2):デジタル機器・サービス分野への技術提供や受託開発を展開
[18/04/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社概要
ソーバル<2186>は「技術で社会に貢献する」を企業理念に掲げ、1983年に創業した国内有数の独立系組み込みシステム開発企業で、主にデジタル機器メーカーに対しファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアの開発に関する技術提供や受託開発サービスを提供している。近年では、業務システムやWeb・クラウド開発などにも事業領域を拡大しており、マルチレイヤーのシステム開発をワンストップで受注できる体制を確立していることが強みとなっている。
事業セグメントは、エンジニアリング事業の単一セグメントで開示している。連結子会社には、システム開発を行う(株)コアード(2011年3月子会社化)やアンドールシステムサポート(株)(2015年5月子会社化)がある。コアードは富士通グループ、アンドールシステムサポートはトーヨーカネツ<6369>や椿本チエイン<6371>等を主力顧客としており、新たな顧客層の拡大につながっている。また、2017年4月にはユビキタスからIoT事業を取得し、今後の戦略分野の1つとして強化していく方針を打ち出している。2018年2月期末の従業員数は、連結ベースで1,003名となっている。
2. 事業内容と開発実績
同社が得意としているファームウェアとは組込みソフトウェアとも呼ばれ、機器を動かすための専用ソフトウェアのことを指す。具体例を挙げれば、デジタルカメラでは露出補正や手振れ補正、顔認識などの高度な制御を行っており、また、プリンタでは印刷時に指示する設定(両面印刷や分割印刷、精細度など)に基づいて、モーターの回転方向や用紙の送り方等を制御するソフトウェアとなる。
ソフトウェアでは、デジタル機器のファームウェア開発のほかアプリケーションソフト、ドライバソフトの開発を行っているほか、業務系及びWeb系のアプリケーション開発にも展開している。ハードウェアにおいては、LSIやDSPの設計・開発、周辺回路設計を開発範囲としている。また、開発中の試作品の不具合や仕様誤りをプログラムレベルで評価・検証したり、量産前段階での製品の品質評価を行う「評価」サービス、機器のマニュアル制作なども行っている。ソフトウェアやハードウェアの開発から品質評価、マニュアル制作までワンストップで提供できる企業は業界でも少なく、同社の強みの1つとなっている。
開発実績には、デジタルカメラ・ビデオ、液晶テレビ、デジタルサイネージ、各種レコーダー、スキャナ、プリンタ・複合機、携帯電話、スマートフォンアプリ、液晶プロジェクタ、ハンディターミナル、通信・サービスシステム、官公庁向けシステム、流通・製造システム、医療系システム、各種業務システム、コンシューマ向けECサイト、各種シミュレータなどがあり、身近な商品に幅広く同社の技術が使われている。
なお、業務形態としては技術提供業務と受託開発業務があり、ここ数年は受託開発業務の拡大に注力している。2018年2月期における売上構成比で見ると、受託開発が50.4%、技術提供が49.6%とほぼ拮抗している。
3. 主要顧客の売上高構成比
2018年2月期における顧客別売上高構成比を見ると、キヤノングループ45.8%、ソニーグループ13.9%、富士通グループ9.6%、NTTグループ3.2%、その他27.5%となっている。ここ数年の取り組み施策として、技術提供業務から受託開発業務へのシフト、並びに取引顧客数の拡大に取り組んでおり、こうしたなかで派遣契約が中心であるキヤノングループ向けの売上構成比が低下し、逆に新規顧客の増加によりその他の売上構成比が上昇していることが、ここ数年の傾向となっている。取引顧客数については2015年2月期の119社から2018年2月期は181社となり、3年で約1.5倍に拡大している。
4. 株主構成について
2018年2月期第2四半期末時点の株主構成について見ると、創業家の資産管理会社と思われるエバーコア(株)が発行済株式総数の42.61%を占める筆頭株主であり、他の創業家と思われる持分を合計すると全体の52.86%を占め、第2位株主は、同社の従業員持株会で12.88%となっている。その他は大半が個人株主で、第2四半期末の株主数は4,322名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
1. 会社概要
ソーバル<2186>は「技術で社会に貢献する」を企業理念に掲げ、1983年に創業した国内有数の独立系組み込みシステム開発企業で、主にデジタル機器メーカーに対しファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアの開発に関する技術提供や受託開発サービスを提供している。近年では、業務システムやWeb・クラウド開発などにも事業領域を拡大しており、マルチレイヤーのシステム開発をワンストップで受注できる体制を確立していることが強みとなっている。
事業セグメントは、エンジニアリング事業の単一セグメントで開示している。連結子会社には、システム開発を行う(株)コアード(2011年3月子会社化)やアンドールシステムサポート(株)(2015年5月子会社化)がある。コアードは富士通グループ、アンドールシステムサポートはトーヨーカネツ<6369>や椿本チエイン<6371>等を主力顧客としており、新たな顧客層の拡大につながっている。また、2017年4月にはユビキタスからIoT事業を取得し、今後の戦略分野の1つとして強化していく方針を打ち出している。2018年2月期末の従業員数は、連結ベースで1,003名となっている。
2. 事業内容と開発実績
同社が得意としているファームウェアとは組込みソフトウェアとも呼ばれ、機器を動かすための専用ソフトウェアのことを指す。具体例を挙げれば、デジタルカメラでは露出補正や手振れ補正、顔認識などの高度な制御を行っており、また、プリンタでは印刷時に指示する設定(両面印刷や分割印刷、精細度など)に基づいて、モーターの回転方向や用紙の送り方等を制御するソフトウェアとなる。
ソフトウェアでは、デジタル機器のファームウェア開発のほかアプリケーションソフト、ドライバソフトの開発を行っているほか、業務系及びWeb系のアプリケーション開発にも展開している。ハードウェアにおいては、LSIやDSPの設計・開発、周辺回路設計を開発範囲としている。また、開発中の試作品の不具合や仕様誤りをプログラムレベルで評価・検証したり、量産前段階での製品の品質評価を行う「評価」サービス、機器のマニュアル制作なども行っている。ソフトウェアやハードウェアの開発から品質評価、マニュアル制作までワンストップで提供できる企業は業界でも少なく、同社の強みの1つとなっている。
開発実績には、デジタルカメラ・ビデオ、液晶テレビ、デジタルサイネージ、各種レコーダー、スキャナ、プリンタ・複合機、携帯電話、スマートフォンアプリ、液晶プロジェクタ、ハンディターミナル、通信・サービスシステム、官公庁向けシステム、流通・製造システム、医療系システム、各種業務システム、コンシューマ向けECサイト、各種シミュレータなどがあり、身近な商品に幅広く同社の技術が使われている。
なお、業務形態としては技術提供業務と受託開発業務があり、ここ数年は受託開発業務の拡大に注力している。2018年2月期における売上構成比で見ると、受託開発が50.4%、技術提供が49.6%とほぼ拮抗している。
3. 主要顧客の売上高構成比
2018年2月期における顧客別売上高構成比を見ると、キヤノングループ45.8%、ソニーグループ13.9%、富士通グループ9.6%、NTTグループ3.2%、その他27.5%となっている。ここ数年の取り組み施策として、技術提供業務から受託開発業務へのシフト、並びに取引顧客数の拡大に取り組んでおり、こうしたなかで派遣契約が中心であるキヤノングループ向けの売上構成比が低下し、逆に新規顧客の増加によりその他の売上構成比が上昇していることが、ここ数年の傾向となっている。取引顧客数については2015年2月期の119社から2018年2月期は181社となり、3年で約1.5倍に拡大している。
4. 株主構成について
2018年2月期第2四半期末時点の株主構成について見ると、創業家の資産管理会社と思われるエバーコア(株)が発行済株式総数の42.61%を占める筆頭株主であり、他の創業家と思われる持分を合計すると全体の52.86%を占め、第2位株主は、同社の従業員持株会で12.88%となっている。その他は大半が個人株主で、第2四半期末の株主数は4,322名となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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