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キリン堂HD Research Memo(2):1955年に大阪で創業した関西地盤のドラッグストアチェーン

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 沿革
キリン堂ホールディングス<3194>の前身である株式会社キリン堂は1955年、薬局店舗営業と薬剤製造業を目的に大阪市で創業した。関西を中心に順次店舗網を拡大し、2000年代に入るとドラッグストアチェーンの(株)ドラッグエルフ、(株)ジェイドラッグ、(株)ニッショードラッグなどの買収を進めた。

ドラッグストア事業以外では、1973年に(株)健美舎を設立して健康食品のPB(プライベート・ブランド)化に乗り出したほか、2010年には(株)ソシオン ヘルスケア マネージメントを子会社化し医療・介護分野のコンサルティング事業に乗り出した。海外展開では中国をターゲットに事業展開を行っている。

2014年に株式会社キリン堂ホールディングスを設立して現在の持株会社体制に移行した。株式市場にはキリン堂時代の2000年9月に大阪証券取引所第2部に上場し、その後2004年3月に東京証券取引所第1部に上場し、現在に至っている。

2. 事業の概要
(1) 事業セグメントとグループ会社の概要
キリン堂ホールディングス<3194>の事業は小売事業とその他事業の2つのセグメントから成る。収益の圧倒的な部分はドラッグストアを中心とする小売事業だ。その他事業は子会社で行っているコンサルティング事業や海外事業がその内容となっている。

小売事業は子会社のキリン堂と2017年6月に完全子会社化したメディスンショップ・ジャパン(株)が担っている。前述のように同社は数々のドラッグストアチェーンを買収して店舗網の拡大を図ってきたが、営業政策の徹底や経営資源の効率的再配置によるシナジーの追求の観点から、それらの子会社は2012年までにすべてキリン堂に吸収合併された。2018年2月期においては(株)メディカルトラストとその子会社の(有)共進薬局及びメディスンショップ・ジャパンを完全子会社化したが、そのうちメディカルトラストと共進薬局はキリン堂に吸収合併された。

その他事業のうち国内では、健美舎が健康食品を中心とする卸売事業を、ソシオンヘルスケアマネージメントが医療コンサルティング事業を、それぞれ担っている。

海外事業は中国市場をターゲットとしているが、2017年2月期に大きな体制変更が行われた。従来は忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司とBEAUNET CORPORATION LIMITEDの2つの連結子会社でドラッグストア運営事業やEコマース(EC)事業などを展開していた。しかしBEAUNET CORPORATION LIMITEDが中国のEC第3位のビップショップホールディングスとの間で資本業務提携を行ったため、キリン堂グループの持分が50.23%から35.15%に下がり、連結子会社から持分法適用会社へと変更された。これと併せて、業務の効率化と中国市場へのアクセスの一元化を目的に、忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司の持分すべてをBEAUNET CORPORATION LIMITEDに売却した。これら一連の海外事業の整理の結果、2018年2月期におけるその他事業セグメントの収益は黒字転換を果たした。なお、同社の中国市場重視の姿勢には変化はない。

(2) 営業地域と出店戦略
同社は関西圏主体の店舗展開を行ってきており、全店舗の80%以上が関西圏に位置している。こうした地域構成となっているのは、同社の企業理念で掲げる『地域コミュニティの中核となるドラッグストアを社会的インフラとして確立する』というビジョンのもと、関西ドミナント出店を徹底してきたことが理由だ。

関西圏におけるドラッグストアの勢力分布では、同社はスギホールディングス<7649>、ココカラファイン<3098>と並んで大手3社の一角を占めている。経営理念を貫徹し、かつ、現有の関西地域における優位性を維持・発展させる目的から、同社は関西ドミナント戦略に基づいた出店を今後も継続する方針だ。

(3) 店舗戦略と販売戦略
同社の店舗は立地条件に応じて300坪型、150坪型、100坪型の3種類で展開している。2018年2月期末時点の総店舗数359店の内訳は、ドラッグストアが296店、(うち処方せん取扱店舗40店)、小型店が61店(うち処方せん取扱ドラッグストア3店、調剤薬局34店)、その他(うち処方せん取扱店舗1店)とFCが各1店となっている。

同社の基本的な出店モデルは郊外型ロードサイド店で、300坪型ドラッグストアがそれに該当する。立地条件に応じて150坪型も活用している。今後も300坪型店舗を基本としたロードサイド型店舗での出店が基本となるとみられる。

同時にまた、同社は店舗の都心回帰策も進めている。これまで、都市型店舗の店舗フォーマットや出店モデルの研究を進めつつ5店舗の都心型店舗を出店した。サイズ的には小型店舗であり、店舗賃料も郊外型に比べて割高といったマイナス面はあるが、それを吸収するだけの集客と売り上げを確保できるとの見方に基づく実験店としての役割や、フラッグシップ(旗艦)店の開設という狙いがあるとみられる。2018年2月期はこれら5店舗が通期寄与した。想定以上に苦戦した店舗もあったが、期の後半には徐々に回復し、次年度以降の収益源への成長の目途が立ったもようだ。

小売事業における商品部門別売上構成を見ると、最も多いのは42%を占める雑貨等で、化粧品(25%)と医薬品(17%)がそれに続いている。商品部門ごとの収益性については、医薬品、健康食品、化粧品のいわゆるヘルス&ビューティケア商品(HBC商品。一部トイレタリーも含まれる)調剤の粗利益率が高く、育児用品と雑貨等の粗利益率は一段低い状況となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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