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キリン堂HD Research Memo(6):今期は新型POSの全店導入とパートナー社員の戦力化が2大テーマ

注目トピックス 日本株
■キリン堂ホールディングス<3194>の中期経営計画と進捗状況

4. 作業システム改革
作業システム改革については、新型POSレジの導入とパートナー社員(パート・アルバイト社員)の戦力化が2019年2月期の中心的取り組みとなる。

新型POSレジについては全店導入を進めており、残りは約60店程度とみられる。新型POSレジ導入の効果としてはPOSレジ自体の作業量の簡素化によるレジでの清算業務のスピードアップがまず挙げられる。さらに、需要予測の精度向上が図られ、その結果発注効率のアップ(売れ筋商品の品ぞろえ強化、在庫切れ防止などを含む)につながることが期待されている。これによって浮いた時間を接客に充当することで販売増につなげる狙いだ。

パートナー社員は各店舗の商圏地域の居住者であることが多いため、接客業務で大きな戦力となるポテンシャルがある。そのため同社は、パートナー社員の登録販売者の資格取得を推進するほか、パートナー社員の評価制度を導入してモチベーションアップを図り、店舗の収益拡大につなげる方針だ。


安定成長市場と認識のもと店舗網拡大を中心とする積極策を継続。今期は薬価・診療報酬の改定の影響に注意
5. 調剤事業の拡大
調剤事業は処方せんを取扱う調剤併設型ドラッグストアと調剤薬局の2つの業態の計78店舗(2018年2月末現在)で行っている。高齢化社会の進行などもあって調剤薬局の市場は着実な拡大ペースが続いており、同社の商品部門別内訳の中で2018年2月期の調剤売上高は前期比15.2%増と最も高い伸びを示した。

前述のように2018年2月期は自社出店(純増分)で10店舗、M&Aで6店舗の合計16店舗増加した。2019年2月期は自社出店7店舗(ドラッグストアの調剤併設4店舗、調剤薬局3店舗)、M&A 1店舗の合計8店舗の増加を計画している。

一方で調剤事業は国の健康保険制度に組み込まれているため、診療報酬の改定を初めとする制度変更の影響を受けることになる。2018年4月は薬価・診療報酬の改定が実施され、調剤薬局の調剤報酬も改定された。今回の改定では、調剤基本料で特例除外規定が廃止されたほか、基準調剤加算の廃止、後発医薬品調剤体制加算の厳格化などが行われた。薬価引き下げも加わるため、処方せん単価の大幅な低下が懸念される。同社は2017年2月期実績との比較で6.4%のマイナス影響と想定している。

このマイナス影響を、新店効果も含めて処方せん枚数増(すなわち数量増)でカバーするほか、処方せん単価についてもかかりつけ薬剤師指導料や後発医薬品調剤体制加算、新たに導入された地域支援体制加算などの上積みで押し戻して単価の下落幅を最小限にとどめ、調剤事業の減収幅を最小限にとどめることを目指す方針だ。

弊社では、2018年の改定は大手調剤薬局チェーンにより厳しく、同社の業態(ドラッグストア併設型と調剤薬局の併用)や店舗数、立地(門前型は少ない)などに照らすと、相対的にはマイナス影響は小さいとみている。出店において、自社出店に加えてM&Aによる店舗取得が上乗せとなれば、改定の影響を吸収して前期比増収を達成することも十分可能だと弊社ではみている。


関西ドミナント戦略を堅持し関西圏での事業基盤の一段の強化を目指す
6. 関西ドミナントの推進
同社はその出店戦略において、関西ドミナント戦略を徹底していく方針だ。関西における“大手3社の一角”を抜け出し、トップシェア奪回を目指している。ポイントは収益力を伴った形での成長、換言すれば事業基盤の強化と成長の両立だ。

2019年2月期はドラッグストア11店舗、調剤薬局3店舗の出店と、M&Aによる1店舗の取得を計画している。他方、不採算店舗について10店の閉店を計画しているため、純増数は5店舗となる。ドラッグストアの11店は1店を除き大型店となる計画だ。そのうち4店舗には調剤を併設し、調剤事業強化も同時に図る方針だ。調剤でのM&A取得数については、調剤薬局業界全体が業界再編の機運に満ちているため、期中に上積みとなる可能性もあると弊社ではみている。

同社は関西ドミナント戦略と並行して、ドラッグストアの都市型フォーマットの開発を進めてきている。これまで大阪と京都に5店舗を出したが、2019年2月期は新規出店を計画していない。既存の5店舗について売上増と利益黒字化を完遂し、都市型フォーマットのビジネスモデルの確立に注力する方針とみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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