カンロ Research Memo(1):中期経営計画で大きな飛躍を期す老舗のキャンディメーカー
[18/05/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
カンロ<2216>は100年を超える歴史を有する老舗のキャンディメーカーである。キャンディ市場でシェア2位を誇る。強みは、100年以上蓄積してきたノウハウと技術力、技術に対する生真面目な姿勢、マーケットインもプロダクトアウトも可能なマーケティング力。加えて、営業や商品開発、マーケティングが連動して取引先に同行するリテールサポートも強みとなってきた。一方、飴に比較してシェアが取り切れていないグミ、市場拡大中なのに未参入の錠菓、ドラッグストアや地方スーパーといった販路での出遅れなど、中長期的に解消すべき課題(のびしろ)も多い。
2017年に同社は40年ぶりにCI(コーポレート・アイデンティティ)を全面的に見直した。40年前に比べると環境が劇的に変化して消費者嗜好が多様化するなか、ヒット商品やロングセラー商品が生まれにくい時代となり、人口減少・少子高齢化などキャンディを取り巻く環境が非常に厳しくなった。こうした事業環境の変化に対して、自らの価値(強み)を再認識し、その価値を基盤に未来のビジョンに向かうため、新CIを導入したのである。併せて、同社は長期ビジョンと長期ビジョンの実現に向けた事業戦略を定めた。健康に対する意識の向上などから、甘い菓子はどこか悪者のように扱われるようになった。だからこそ同社は、糖に対する理解ある環境をつくり、同社の基盤である糖の持つ可能性を、キャンディを通して提供していこうと考えている。
2017年12月期の業績は売上高21,303百万円(前期比8.0%増)、営業利益935百万円(同58.1%増)となった。2017年のキャンディ市場は、グミが前年比4.4%増※と好調に推移したが、飴は同2.5%減※と依然として縮小傾向にあり、キャンディ市場全体で微減となる厳しい状況だった。同社は、既存主力ブランドが伸長したほか新製品が想定以上に好調だったこともあって、飴の市場販売金額が前期比7.7%増※、グミが同9.6%増※と市場を大きく上回った。原価低減や業務の効率化に加え、リテールサポート体制、エリア・取引先ごとのきめ細かな提案営業などが功を奏したと言える。
※出所:インテージSRIデータ
同社は2018年12月期業績予想を売上高21,500百万円(実質前期比0.9%増※)、営業利益620百万円(同33.7%減)と見込んでいる。2017年12月期に売上高が計画を3億円以上上回ったこと、グミの生産キャパシティが飽和状態で飴の伸長に頼らなければならないことから、同社は売上高を横ばい圏と考えている。一方、利益面では工場の集約などにより1ポイントの原価率改善を見込むものの、主力ブランドなどの訴求、本社オフィス移転、新CI導入、工場集約などに伴って費用が増加、営業減益を予想している。ただし、工場集約など一過性費用を除けば、実質的には増益予想となっている。
※2018年12月期第3四半期決算より、単体決算へ移行予定
2016年に策定した中期経営計画「NewKANRO 2021」で、同社は2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円を目指している。その上で、2018年12月期を中期経営計画後半に向けて「殻を破る年」と位置付け、本社移転、生産効率化のための子会社吸収、新CI戦略に基づく商品の発売など様々な施策をローンチする計画である。なかでもグミについては、市場拡大余地があると考えられることから、27億円を投じて製造ラインを新設する計画である。2018年着工、2019年稼働の予定で、生産能力の倍増と原価低減が見込まれる。グミが中期経営計画後半の成長をけん引すると期待されている。
■Key Points
・老舗キャンディメーカー。ノウハウや技術力、営業と商品開発が一体になった営業に強み
・2018年12月期は営業減益予想だが、ライン投資など中期経営計画後半に向けた費用先行期でもある
・中期経営計画「NewKANRO 2021」で2021年12月期売上高260億円、経常利益26億円を狙う
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
カンロ<2216>は100年を超える歴史を有する老舗のキャンディメーカーである。キャンディ市場でシェア2位を誇る。強みは、100年以上蓄積してきたノウハウと技術力、技術に対する生真面目な姿勢、マーケットインもプロダクトアウトも可能なマーケティング力。加えて、営業や商品開発、マーケティングが連動して取引先に同行するリテールサポートも強みとなってきた。一方、飴に比較してシェアが取り切れていないグミ、市場拡大中なのに未参入の錠菓、ドラッグストアや地方スーパーといった販路での出遅れなど、中長期的に解消すべき課題(のびしろ)も多い。
2017年に同社は40年ぶりにCI(コーポレート・アイデンティティ)を全面的に見直した。40年前に比べると環境が劇的に変化して消費者嗜好が多様化するなか、ヒット商品やロングセラー商品が生まれにくい時代となり、人口減少・少子高齢化などキャンディを取り巻く環境が非常に厳しくなった。こうした事業環境の変化に対して、自らの価値(強み)を再認識し、その価値を基盤に未来のビジョンに向かうため、新CIを導入したのである。併せて、同社は長期ビジョンと長期ビジョンの実現に向けた事業戦略を定めた。健康に対する意識の向上などから、甘い菓子はどこか悪者のように扱われるようになった。だからこそ同社は、糖に対する理解ある環境をつくり、同社の基盤である糖の持つ可能性を、キャンディを通して提供していこうと考えている。
2017年12月期の業績は売上高21,303百万円(前期比8.0%増)、営業利益935百万円(同58.1%増)となった。2017年のキャンディ市場は、グミが前年比4.4%増※と好調に推移したが、飴は同2.5%減※と依然として縮小傾向にあり、キャンディ市場全体で微減となる厳しい状況だった。同社は、既存主力ブランドが伸長したほか新製品が想定以上に好調だったこともあって、飴の市場販売金額が前期比7.7%増※、グミが同9.6%増※と市場を大きく上回った。原価低減や業務の効率化に加え、リテールサポート体制、エリア・取引先ごとのきめ細かな提案営業などが功を奏したと言える。
※出所:インテージSRIデータ
同社は2018年12月期業績予想を売上高21,500百万円(実質前期比0.9%増※)、営業利益620百万円(同33.7%減)と見込んでいる。2017年12月期に売上高が計画を3億円以上上回ったこと、グミの生産キャパシティが飽和状態で飴の伸長に頼らなければならないことから、同社は売上高を横ばい圏と考えている。一方、利益面では工場の集約などにより1ポイントの原価率改善を見込むものの、主力ブランドなどの訴求、本社オフィス移転、新CI導入、工場集約などに伴って費用が増加、営業減益を予想している。ただし、工場集約など一過性費用を除けば、実質的には増益予想となっている。
※2018年12月期第3四半期決算より、単体決算へ移行予定
2016年に策定した中期経営計画「NewKANRO 2021」で、同社は2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円を目指している。その上で、2018年12月期を中期経営計画後半に向けて「殻を破る年」と位置付け、本社移転、生産効率化のための子会社吸収、新CI戦略に基づく商品の発売など様々な施策をローンチする計画である。なかでもグミについては、市場拡大余地があると考えられることから、27億円を投じて製造ラインを新設する計画である。2018年着工、2019年稼働の予定で、生産能力の倍増と原価低減が見込まれる。グミが中期経営計画後半の成長をけん引すると期待されている。
■Key Points
・老舗キャンディメーカー。ノウハウや技術力、営業と商品開発が一体になった営業に強み
・2018年12月期は営業減益予想だが、ライン投資など中期経営計画後半に向けた費用先行期でもある
・中期経営計画「NewKANRO 2021」で2021年12月期売上高260億円、経常利益26億円を狙う
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>