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日本調剤 Research Memo(5):最新鋭のつくば第二工場の収益化が成長戦略の核

注目トピックス 日本株
■日本調剤<3341>の中長期の成長戦略:『2030年に向けた長期ビジョン』

3. 医薬品製造販売事業の成長戦略
国は2020年9月末までにジェネリック医薬品の使用数量割合を80%に高める政府目標を策定している。これによるジェネリック医薬品の需要増加を見据えた対応が、つくば第二工場の建設であった。

つくば第二工場は2018年4月の竣工予定で工事が進められてきたが、予定どおり完成した。生産設備は複数期に分けて導入予定で、今回は第1期として生産能力33億錠/年の設備が導入された。医薬品製造販売事業における成長戦略とは、つくば第二工場の新規設備をいかに収益拡大につなげるかと同義と言える。

生産面では、工場の稼働率を如何に高めるかがポイントとなる。この点について同社は、1)ジェネリック医薬品の販売品目数に占める自社製造品目数の割合の拡大と、2)最新設備を生かした受託生産事業の拡大、の2つのアプローチにより、稼働率を高めて減価償却費等の費用増加を吸収し業績拡大につなげる計画だ。

販売面では、自社内に巨大調剤薬局チェーンがある強みを生かし、内部売上高と外部売上高の両面で業容を拡大させる計画だ。内部売上高については、前述のように業界再編の本格到来により、同社はM&Aも積極的に活用しながら店舗数を拡大させていくとみられ、それが成長ドライバーとなる。一方外部売上高については、ジェネリック医薬品の使用量割合80%という政府目標が需要ドライバーだ。

業績面では、稼働初年度の2019年3月期は減価償却費やスタートアップコストで費用が増加する一方、製品の初出荷が12月に予定されているため、営業利益は51百万円(前期比95.7%減)にまで急落すると予想されている。しかしその後は、生産販売数量の順調な増大により業績のV字回復が期待されている。


医師・看護師等に取扱職種を拡大へ。薬剤師分野は日本調剤ブランドで安定成長が続く
4. 医療従事者派遣・紹介事業の成長戦略
医療従事者派遣・紹介事業の成長戦略は大きく2つだ。1つは薬剤師の派遣・紹介事業での成長であり、もう1つは取扱職種の拡大だ。

薬剤師の派遣・紹介事業は、国が推進する「患者のための薬局ビジョン」が成長ドライバーの役割を果たすと期待される。その中では、かかりつけ薬剤師・薬局の実現や、対人業務の重視の方針への対応で、薬剤師の慢性的な人手不足に拍車がかかっている状況だ。こうした状況は同社自身の求人費用増大にもつながるリスクをはらんでいるが、“日本調剤”の知名度に加え、サービスブランドである“ファルマスタッフ”の知名度も浸透していることから、順調に業容を拡大させられると期待される。

取扱職種の拡大は、医師、看護師、その他の医療従事者などへのサービス拡大だ。これらの職域についてはそれぞれ先行する事業者が存在しているが、同社は強みを持つ薬剤師の派遣・紹介事業で培ったノウハウの活用や、シナジー効果の追求によって新たな市場の開拓に臨む計画だ。目下は、医師紹介事業の拡大に向けた先行投資を実施中で、営業拠点の増設や営業部員の増員に取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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