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ワコム Research Memo(3):現地法人を通じて世界中に販売。海外売上高比率は約90%

注目トピックス 日本株
■会社概要

3. 販売の状況
ワコム<6727>は1988年のワコムコンピュータシステムズ(現ワコムヨーロッパ)に始まり、2010年のワコムインディアまで世界各地に子会社を設立してきた。それら子会社を通じてブランド製品をワールドワイドで販売している。

同社は内部管理上、テクノロジーソリューション事業の売上高を日本に集計して所在地別売上高を公表している。したがって、国・地域別の数値はブランド製品事業についての内訳となっており、これについては、4地域のバランスがうまく取れていると言える。一方、テクノロジーソリューション事業の実態はほぼ海外売上高とみて差し支えない状況だ。したがって全社ベースで見た場合、同社の海外売上高比率が90%と非常に高くなり、為替レート変動の影響を受けやすい構造であることがわかる。

為替レートの影響については、売上高と営業利益とで、また通貨別(対米ドルと対ユーロ)で、影響の出方が異なる点に注意が必要だ。売上高は対ドルでも対ユーロでも円安メリットだ。一方、利益(営業利益)については、対米ドルでは、海外生産比率が98%と高くその生産コストは米ドル建てであるため、円高メリット(円安デメリット)となる。対ユーロでは売上同様、円安メリットという構造だ。同社はアジア地域でも生産・販売活動をしているが、アジア諸国の通貨は基本的には米ドルにリンクするため、米ドルの変動を適用して考えて良いと言える。収益への影響は売上高、利益ともに円安メリットだ。


98%を海外工場に生産委託。製造設備の自社供給で技術・ノウハウの流出防止を徹底
4. 生産体制
同社は埼玉県加須市の本社所在地に本社工場(豊野台工場)を有しているが、基本的にはファブレス企業だ。同社自身は製品やコンポーネントの企画・開発・設計を行い、生産は内外のOEM/ODM企業に委託している。工場自体は中国本土に存在することが多いが、カントリーリスクの観点から、台湾や日本資本中心のEMS(電子機器受託生産事業者)を活用している。国内、海外の比率では海外が約98%と圧倒的に多く、残りを本社工場と国内委託先で生産している状況だ。

同社は、ファブレス企業ではあるが、生産ラインで使用する製造機器については自社で開発、設計等を行い、自社の管理下で製造装置をつくり、それを委託先の工場に設置して生産を任せるというやり方を行っている。こうした手法により、海外生産による安い労働コストの活用と、ブラックボックス化による技術・ノウハウの社外流出防止の両立を図っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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