ワコム Research Memo(7):ブランド製品の収益拡大がけん引する形で増収増益を予想
[18/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
● 2019年3月期通期見通し
2019年3月期についてワコム<6727>は、売上高85,000百万円(前期比3.3%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)、経常利益3,920百万円(同9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980百万円(同26.2%増)を予想している。
弊社では全社ベースでの売上高及び利益予想について、十分説得力があると考えている。しかしセグメント別内訳を見ると、ブランド製品事業の利益見通しが、営業利益率の大幅な改善を前提としている点で強気に過ぎるという印象だ。反対にテクノロジーソリューション事業は、同社自身が認めるように、現在見えている需要だけを織り込んだ非常に保守的な予想となっている。セグメント別内訳において会社予想からずれ込む可能性はあるが、全体として会社予想の線に落ち着くのではないかというのが現時点での弊社の見方だ。
事業セグメント別詳細は以下のとおり。
ブランド製品事業は売上高50,300百万円(前期比4.4%増)、営業利益9,700百万円(同49.9%増)が予想されている。売上高の増収をけん引するのは、主力製品のクリエイティブビジネスで前期比7.1%増を予想している。それに対してコンシューマービジネスは20.2%減を予想している。これは2018年3月期が出来過ぎだったことの反動を見込んだためとみられる。クリエイティブビジネスの中では、ペンタブレットとディスプレイが、それぞれ新興国での増収や新製品効果などで堅調な伸びを期待する一方、モバイルは前年同様、タブレットとの競合激化で減収を予想している。
営業利益について大幅増益を予想する理由は、製品ミックスの改善による粗利益率の改善と、前期において実施した既存モデルの値下げ等を今期は抑制する方針であることだ。製品ミックス改善は、前期にローンチした新製品のフル寄与と、今期ローンチ予定の新製品の貢献による。前述の販管費抑制策ともあいまって、営業利益率は19.3%に上昇する予想となっている。
テクノロジーソリューション事業は売上高34,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益2,590百万円(同54.4%減)と増収ながら大幅減益が予想されている。同社は、テクノロジーソリューション事業が持つ不確実性を考慮し、ベースライン(ここでは“達成すべき最低限の数値”の意)を設定したとしている。現実には、スマートフォン向けで大幅増収が予定されているほか、タブレット・ノートPC向けでも需要増が見込まれるため、上記の数値を上回る業績を狙っているとみられる。
向け先別では、スマートフォン向けは前期比25.1%増を予想している。昨年市場投入されたサムスン電子のGalaxy Note8向けが今期も継続して出荷されるのに加えて、今期投入される見込みの次世代モデル向けペンセンサーシステムの量産出荷が期待できると予想している。それに対して、タブレット・PC向けは前期比8.6%減の20,050百万円を予想している。これは前期末において、想定よりも前倒しで受注した分の影響を考慮したことが大きく影響している。この影響額は、売上高で15億円、営業利益で5億円だった。
営業利益が大幅減益となっている理由は、上記の前倒し受注の影響額に加え、将来に向けた技術開発投資の費用が増加することがその理由だ。同社は今期の全社ベースの研究開発費用を5,000百万円(前期は4,385百万円)としており、前期比増加分の多くがテクノロジーソリューション事業にかかるものと推察される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MH>
● 2019年3月期通期見通し
2019年3月期についてワコム<6727>は、売上高85,000百万円(前期比3.3%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)、経常利益3,920百万円(同9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980百万円(同26.2%増)を予想している。
弊社では全社ベースでの売上高及び利益予想について、十分説得力があると考えている。しかしセグメント別内訳を見ると、ブランド製品事業の利益見通しが、営業利益率の大幅な改善を前提としている点で強気に過ぎるという印象だ。反対にテクノロジーソリューション事業は、同社自身が認めるように、現在見えている需要だけを織り込んだ非常に保守的な予想となっている。セグメント別内訳において会社予想からずれ込む可能性はあるが、全体として会社予想の線に落ち着くのではないかというのが現時点での弊社の見方だ。
事業セグメント別詳細は以下のとおり。
ブランド製品事業は売上高50,300百万円(前期比4.4%増)、営業利益9,700百万円(同49.9%増)が予想されている。売上高の増収をけん引するのは、主力製品のクリエイティブビジネスで前期比7.1%増を予想している。それに対してコンシューマービジネスは20.2%減を予想している。これは2018年3月期が出来過ぎだったことの反動を見込んだためとみられる。クリエイティブビジネスの中では、ペンタブレットとディスプレイが、それぞれ新興国での増収や新製品効果などで堅調な伸びを期待する一方、モバイルは前年同様、タブレットとの競合激化で減収を予想している。
営業利益について大幅増益を予想する理由は、製品ミックスの改善による粗利益率の改善と、前期において実施した既存モデルの値下げ等を今期は抑制する方針であることだ。製品ミックス改善は、前期にローンチした新製品のフル寄与と、今期ローンチ予定の新製品の貢献による。前述の販管費抑制策ともあいまって、営業利益率は19.3%に上昇する予想となっている。
テクノロジーソリューション事業は売上高34,700百万円(前期比3.1%増)、営業利益2,590百万円(同54.4%減)と増収ながら大幅減益が予想されている。同社は、テクノロジーソリューション事業が持つ不確実性を考慮し、ベースライン(ここでは“達成すべき最低限の数値”の意)を設定したとしている。現実には、スマートフォン向けで大幅増収が予定されているほか、タブレット・ノートPC向けでも需要増が見込まれるため、上記の数値を上回る業績を狙っているとみられる。
向け先別では、スマートフォン向けは前期比25.1%増を予想している。昨年市場投入されたサムスン電子のGalaxy Note8向けが今期も継続して出荷されるのに加えて、今期投入される見込みの次世代モデル向けペンセンサーシステムの量産出荷が期待できると予想している。それに対して、タブレット・PC向けは前期比8.6%減の20,050百万円を予想している。これは前期末において、想定よりも前倒しで受注した分の影響を考慮したことが大きく影響している。この影響額は、売上高で15億円、営業利益で5億円だった。
営業利益が大幅減益となっている理由は、上記の前倒し受注の影響額に加え、将来に向けた技術開発投資の費用が増加することがその理由だ。同社は今期の全社ベースの研究開発費用を5,000百万円(前期は4,385百万円)としており、前期比増加分の多くがテクノロジーソリューション事業にかかるものと推察される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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