NSW Research Memo(3):期初計画を大きく上回る好決算
[18/06/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■日本システムウエア<9739>の業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
情報サービス産業界においては、企業のIT投資は堅調に推移しており、デジタルトランスフォーメーションの実現を加速するIoT、ビッグデータ、AIの活用拡大を始め、働き方改革の推進と人手不足を補うと期待されるRPA(Robotic Process Automation)など新たな分野への展開も本格化している。
このような状況のもと、同社グループは、中期経営計画(2016年4月−2019年3月)において事業変革を加速する「Drive Innovation」をスローガンに掲げ、「IoT分野の事業拡大」、「コア事業の顧客基盤強化と高付加価値化」に取り組んでいる。グループの総合力と技術融合により、顧客のビジネスにイノベーションをもたらす価値創造パートナーとして持続的成長を遂げる企業を目指してきた。
こうした取り組みの結果、2018年3月期の業績については、売上高33,502百万円(前期比9.2%増)、営業利益2,940百万円(同23.0%増)、経常利益2,975百万円(同21.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,065百万円(同21.3%増)と大幅な増収増益決算となった。売上高は期初計画を4.7%上回り、また各段階の利益も同じく2割強上回る好決算で、2期連続で最高益を更新し、中期経営計画目標の営業利益25億円以上を、1年前倒しで達成した。売上総利益が前期比11.5%増となり、売上総利益率が17.6%から17.9%に向上する一方、販管費が同2.2%増にとどまったことが、好決算につながった。
セグメント別の業績を見ると、ITソリューション事業では、全体の6割を占めるソリューション事業の売上高は、金融・保険業向け、製造業向け、サービス業向け、小売業向けなどが堅調に推移し、前期比6.9%の増収であった。また、システム運用事業はデータ連携サービスなど、対応領域を拡大したことで同5.5%増、データセンター事業は業務アウトソーシングサービスどの増加により同6.1%増、システム機器販売も小売業を中心に増加したことで同2.2%増となった。以上から、ITソリューション事業の売上高は前期比6.2%増の19,678百万円に、営業利益も同5.5%増の1,125百万円となった。営業利益率は5.7%で、前期の5.8%からほぼ横ばいであった。前期は製造業向けで収益性の高い大型案件がありその反動と考えられる。
一方、プロダクトソリューション事業では、組込みソフトウェア開発事業の売上高は、オートモーティブ、設備機器、モバイル分野を中心に増加し、前期比10.2%の増収であった。また、デバイス開発事業の売上高も、画像処理、MCU(メモリー制御装置の略で、コンピュータに内蔵されているメモリーの管理や制御に必要な機構)等の得意分野を中心に伸長し、同17.0%増と好調であった。以上から、プロダクトソリューション事業の売上高は前年同期比13.9%増の13,824百万円に、営業利益も同37.2%増の1,815百万円となった。営業利益率は13.1%で、前期の10.9%から大きく上昇したのは、案件の引き合いが多かったことや、同社が取引先企業で開発する従来のケースから、前期はセキュリティを確保しながら自社において開発する案件が増えたことによる生産性向上などが影響しているようだ。また、プロダクトソリューション事業の利益率が相対的に高いのは、技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。
財務の健全性が極めて高い
2. 財務状況と経営指標
財務状況を見ると、2018年3月期末における総資産は、前期末比2,695百万円増加の25,369百万円となった。これは主に、有形固定資産の減少(242百万円)があったものの、現金及び預金の増加(1,749百万円)並びに受取手形及び売掛金の増加(1,260百万円)があったことによる。総負債は、同930百万円増加の8,056百万円となった。これは主に、買掛金の増加(174百万円)、未払消費税等の増加(190百万円)、その他の流動負債に含まれる前受金の増加(187百万円)、及び退職給付に係る負債の増加(132百万円)があったことによるものである。純資産は、17,312百万円で、利益剰余金の増加に伴い同1,764百万円の増加となった。
以上の結果、流動比率(流動資産/流動負債)は前期末比4.3ポイント低下したものの287.4%で、短期的な支払い能力は極めて高い。また、固定比率(固定資産/自己資本)は同6.8ポイント低下の48.3%であり、固定資産(設備投資等)の調達は、返済期限のない株主資本で十分に賄われており、同社グループでは借入金のない、無借金経営を続けている。自己資本比率は68.2%と高く、東証1部の情報・通信業の平均(2016年度実績41.0%)を大きく上回り、財務の健全性は極めて高いと評価できる。
2018年3月期末における現金及び現金同等物の残高は、配当金の支払及び有形固定資産の取得などの支出を営業活動の結果得られた資金により賄い、前期末比1,741百万円増加し6,593百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、2,289百万円の収入(前期比379百万円の収入の増加)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益3,010百万円増加、減価償却費496百万円増加、役員退職慰労引当金308百万円減少などによるものである。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、253百万円の支出(同20百万円の支出の増加)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出156百万円によるものである。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローは、298百万円の支出(同73百万円の支出の減少)となった。これは、配当金の支払額297百万円によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2018年3月期の業績概要
情報サービス産業界においては、企業のIT投資は堅調に推移しており、デジタルトランスフォーメーションの実現を加速するIoT、ビッグデータ、AIの活用拡大を始め、働き方改革の推進と人手不足を補うと期待されるRPA(Robotic Process Automation)など新たな分野への展開も本格化している。
このような状況のもと、同社グループは、中期経営計画(2016年4月−2019年3月)において事業変革を加速する「Drive Innovation」をスローガンに掲げ、「IoT分野の事業拡大」、「コア事業の顧客基盤強化と高付加価値化」に取り組んでいる。グループの総合力と技術融合により、顧客のビジネスにイノベーションをもたらす価値創造パートナーとして持続的成長を遂げる企業を目指してきた。
こうした取り組みの結果、2018年3月期の業績については、売上高33,502百万円(前期比9.2%増)、営業利益2,940百万円(同23.0%増)、経常利益2,975百万円(同21.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,065百万円(同21.3%増)と大幅な増収増益決算となった。売上高は期初計画を4.7%上回り、また各段階の利益も同じく2割強上回る好決算で、2期連続で最高益を更新し、中期経営計画目標の営業利益25億円以上を、1年前倒しで達成した。売上総利益が前期比11.5%増となり、売上総利益率が17.6%から17.9%に向上する一方、販管費が同2.2%増にとどまったことが、好決算につながった。
セグメント別の業績を見ると、ITソリューション事業では、全体の6割を占めるソリューション事業の売上高は、金融・保険業向け、製造業向け、サービス業向け、小売業向けなどが堅調に推移し、前期比6.9%の増収であった。また、システム運用事業はデータ連携サービスなど、対応領域を拡大したことで同5.5%増、データセンター事業は業務アウトソーシングサービスどの増加により同6.1%増、システム機器販売も小売業を中心に増加したことで同2.2%増となった。以上から、ITソリューション事業の売上高は前期比6.2%増の19,678百万円に、営業利益も同5.5%増の1,125百万円となった。営業利益率は5.7%で、前期の5.8%からほぼ横ばいであった。前期は製造業向けで収益性の高い大型案件がありその反動と考えられる。
一方、プロダクトソリューション事業では、組込みソフトウェア開発事業の売上高は、オートモーティブ、設備機器、モバイル分野を中心に増加し、前期比10.2%の増収であった。また、デバイス開発事業の売上高も、画像処理、MCU(メモリー制御装置の略で、コンピュータに内蔵されているメモリーの管理や制御に必要な機構)等の得意分野を中心に伸長し、同17.0%増と好調であった。以上から、プロダクトソリューション事業の売上高は前年同期比13.9%増の13,824百万円に、営業利益も同37.2%増の1,815百万円となった。営業利益率は13.1%で、前期の10.9%から大きく上昇したのは、案件の引き合いが多かったことや、同社が取引先企業で開発する従来のケースから、前期はセキュリティを確保しながら自社において開発する案件が増えたことによる生産性向上などが影響しているようだ。また、プロダクトソリューション事業の利益率が相対的に高いのは、技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。
財務の健全性が極めて高い
2. 財務状況と経営指標
財務状況を見ると、2018年3月期末における総資産は、前期末比2,695百万円増加の25,369百万円となった。これは主に、有形固定資産の減少(242百万円)があったものの、現金及び預金の増加(1,749百万円)並びに受取手形及び売掛金の増加(1,260百万円)があったことによる。総負債は、同930百万円増加の8,056百万円となった。これは主に、買掛金の増加(174百万円)、未払消費税等の増加(190百万円)、その他の流動負債に含まれる前受金の増加(187百万円)、及び退職給付に係る負債の増加(132百万円)があったことによるものである。純資産は、17,312百万円で、利益剰余金の増加に伴い同1,764百万円の増加となった。
以上の結果、流動比率(流動資産/流動負債)は前期末比4.3ポイント低下したものの287.4%で、短期的な支払い能力は極めて高い。また、固定比率(固定資産/自己資本)は同6.8ポイント低下の48.3%であり、固定資産(設備投資等)の調達は、返済期限のない株主資本で十分に賄われており、同社グループでは借入金のない、無借金経営を続けている。自己資本比率は68.2%と高く、東証1部の情報・通信業の平均(2016年度実績41.0%)を大きく上回り、財務の健全性は極めて高いと評価できる。
2018年3月期末における現金及び現金同等物の残高は、配当金の支払及び有形固定資産の取得などの支出を営業活動の結果得られた資金により賄い、前期末比1,741百万円増加し6,593百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、2,289百万円の収入(前期比379百万円の収入の増加)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益3,010百万円増加、減価償却費496百万円増加、役員退職慰労引当金308百万円減少などによるものである。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、253百万円の支出(同20百万円の支出の増加)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出156百万円によるものである。さらに、財務活動によるキャッシュ・フローは、298百万円の支出(同73百万円の支出の減少)となった。これは、配当金の支払額297百万円によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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