ベネ・ワン Research Memo(6):脱・小口精算は、大手金融機関の導入決定により市場活性が本格化
[18/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
4. 「ガバナンス強化」への取り組み − キャッシュレス化の波に乗る
東証は、2015年6月より「コーポレートガバナンス・コード」の適用を開始した。ベネフィット・ワン<2412>は、企業のコーポレートガバナンス強化を支援する総務ソリューションを提供している。2018年7月には、法人企業の接待・会食時に、店舗予約から精算までを一括して行うサービスを開始する。従来からある小口精算と出張精算に接待交際精算が加わることで、経費の見える化とキャッシュレス化を一層推進する。社員に建て替えを強いる従来の小口精算は、事務作業が煩雑な上、コストがかかり、不正を生むもととなる。同社の予約・精算代行システムにより、人数、場所、金額を管理でき、社員による現地での精算を不要とする。記録も残り、営業レポート作成の手間も省くことができる。
同社は、今後5年内に脱・小口精算が大きく進展するとみている。2018年10月には大手金融機関の同社出張精算サービス導入が控えており、大きな市場が立ち上がることを目前に、同社は組織再編を断行し事業機会の獲得強化を図る。
5. 生産性向上に向けた働き方改革 − HRプラットフォーム(BPO)構想
今後、生産年齢人口が16.3%減少し、労働時間が22.5%を短縮することを前提とすると、1人当たり1.5倍の労働生産性の向上が必要となる。従来の長時間労働を前提としたホワイトカラーの低生産性に、働き方改革のメスを入れなければ、環境の変化に対応できない。IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットが破壊的創造をもたらす第4次産業革命は、昭和的経営から転換する経営改革を促す。バックオフィスのホワイトカラー業務は、定型業務を自動化するソフトウェアロボットであるRPA(Robotick Process Automation)、すなわちデジタルレイバーが代替することになる。RPAとは、ルールエンジンやAI、機械学習といった高性能な認知技術を用いるソフトウェアロボットで、業務の自動化や効率化を実現する。メガバンクでは、RPAの導入により、業務の抜本的効率化とコスト削減に取り組んでいる。
働き方改革による生産性の向上は、新しいルール(制度)とツール(HR Tech)の導入による。「Human Resources (HR)×Technology (Tech)」の造語である「HR Tech」は、世界で最もホットなテーマの1つとなった。人事関連業務である採用、育成、評価、配置などに、クラウド、ビッグデータ解析、人工知能(AI)など最先端IT技術を活用する。
同社が打ち出すHRプラットフォーム(BPO)構想は、クラウド上のプラットフォームを利用したHR Techによる経営の変革推進である。生産性の向上に、アウトソーシングやクラウドサービス・ツールの活用を提案する。同社が構築するHRプラットフォーム上に、外部パートナーと柔軟に連携したオープン型のデジタルマーケティング連合を組成する。人事データを核としたBPOプラットフォームを提供することで、福利厚生、報奨、教育、給与計算、出張精算、小口精算、金融、健康などに関するビッグデータを押さえていく。また、クラウドサービスの一環として、HR Tech、タレントマネジメント、グループウェア、コミュニケーション、統合基幹業務、顧客管理、レコグニション、Health Techなどの他社ソフトとの連携を可能にすることでワンストップソリューションサービスを提供していく考えだ。HR Techの利活用は、ホワイトカラーの生産性に格差を生じさせ、マネジメント力に影響を与える。
6. インターネット、クラウドとスマートフォンの普及−中小企業も利用可能に
大型コンピュータシステムを基盤とするITシステムに投資をしてきたメガバンクを主体とするファイナンシャルグループがITシステムにクラウドを採用するなど、世代交代が進んでいる。ITシステムは、「開発する」、「所有する」から「利用する」へと変遷を重ねてきた。クラウドサービスは、短期間にインフラの導入、サービスの利用ができ、冗長化によりハードウェア障害が起こりにくく、ネットワーク構成の変化やリソースの追加、変更が簡単にでき、運用管理費を低減できる。同社は、クラウドサービスを利用することで、ターゲットを大企業だけでなく中小企業にも広げることが可能になった。
インターネットの普及は、「サービスの流通創造」を進める同社にとって追い風となる。サービスの流通は、リアルタイムの空き(在庫)情報・価格と利用のマッチングとなる。サービスの需要は、季節や曜日、時間帯により大きく変動する上、販売機会が時間とともに消滅してしまうため、柔軟な価格変動が求められる。システム化で先行したホテルや航空会社は、予約がネット経由に変わり、需給バランスに応じた価格変動システムを取り入れた。インターネットを利用することで、情報のプッシュ通知から、予約・申込、決済、チケットとしての利用など完結型サービスに進化しており、他の業種にも広がる環境が整ってきた。また、個人がパソコンに加えてスマートフォンを所有するようになって、ネット予約を利用するサービスは、より日常的なメニューに拡大しつつある。同社は、個人のニーズが強いグルメ、エンタメ、ヘルスケア分野でサービスマッチングの浸透、強化を図る。サービス消費の活性化に向けた取り組みの一環として、スマートフォンのUI・UXを改善するなどして利便性を向上させている。
「いつでも、どこでも、だれとでも」のブロードバンド・ユビキタス社会が到来することで、ネット利用が当たり前の暮らしとなる。従来、サービス業では、人、費用、技術的な制約からデジタル化が進んでいなかった。同社は、オンラインビジネスに必要となる機能を、クラウド型かつオールインワンのソフトウェアを提供することによって、サービス流通市場の活性化を図る。2017年9月に、カナダのEcommEarthと合弁会社(株)ディージーワン(同社出資比率51%)を設立した。同子会社は、EcommEarthが開発した中小企業の電子商取引事業を支援する次世代型ビジネスプラットフォーム「DG1(ディージーワン)」の日本における販売を行っていく。DG1は、Webサイト構築、商品管理、顧客管理、スマートフォンアプリ構築、マーケティングオートメーション、オンライン予約の機能を網羅している。同ビジネスプラットフォームの浸透により、サービス業の生産性向上に寄与することを目指す。
同社は、自社のデジタルトランスフォーメーションを進化させるため、3〜5年かけてITシステムを刷新する。データの持ち方、活用の仕方、サービスの提供のあり方を全面的に刷新し、持続的な成長を図る。会員のサービス利用は、電話からスマートフォン経由のWebへシフトすることを促進する。また、紙媒体をベースとするガイドブックやクーポン券も電子的なものに置き換える。電子化により、利用率と収益性の向上を図る。
■株主還元策
ベネフィット・ワン<2412>の株主還元策は、年間の純資産配当率(DOE)を5%以上と配当性向50%以上を目標に、継続的かつ安定的な配当を基本方針としている。2017年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行った。2018年3月期の1株当たり配当金は、分割修正後で前期比4.5円増配の28.5円とした。配当性向は、前期の50.3%から54.9%へ上昇した。DOEは14.5%であった。2019年3月期は、1株当たり38.0円への連続増配を計画している。
また、2018年5月に自己株式の一部である9,088,000株の消却をした。償却前の発行済株式総数に対する割合は10.07%に相当する。残りの所有する自己株式は291,560株となった。
2018年5月には2019年3月期中を目標に東証2部から1部への指定替えを申請予定と発表した。東証1部への上場が実現すれば、社会的信用や国内外の知名度向上が期待され、取引先の拡大や優秀な人材の採用、ひいては同社の更なる企業価値向上にも資すると考えられる。
■情報セキュリティ
ITシステムをセキュアなクラウドサービスに転換へ
情報セキュリティ対策は、制度、人、システムの3面により構成される。外部からの不正侵入に備えて、外部専門会社から脆弱性のテストを受けている。また、内部からの情報漏洩を防ぐため、社員教育に力を入れている。現在は、守りを重視していることから、柔軟性に欠けるきらいがある。同社は、ITシステムのクラウドへの移行段階にある。セキュアなクラウド上にプラットフォームを確保することで、防御力と柔軟性を兼ね備えたシステムへの移行を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<TN>
4. 「ガバナンス強化」への取り組み − キャッシュレス化の波に乗る
東証は、2015年6月より「コーポレートガバナンス・コード」の適用を開始した。ベネフィット・ワン<2412>は、企業のコーポレートガバナンス強化を支援する総務ソリューションを提供している。2018年7月には、法人企業の接待・会食時に、店舗予約から精算までを一括して行うサービスを開始する。従来からある小口精算と出張精算に接待交際精算が加わることで、経費の見える化とキャッシュレス化を一層推進する。社員に建て替えを強いる従来の小口精算は、事務作業が煩雑な上、コストがかかり、不正を生むもととなる。同社の予約・精算代行システムにより、人数、場所、金額を管理でき、社員による現地での精算を不要とする。記録も残り、営業レポート作成の手間も省くことができる。
同社は、今後5年内に脱・小口精算が大きく進展するとみている。2018年10月には大手金融機関の同社出張精算サービス導入が控えており、大きな市場が立ち上がることを目前に、同社は組織再編を断行し事業機会の獲得強化を図る。
5. 生産性向上に向けた働き方改革 − HRプラットフォーム(BPO)構想
今後、生産年齢人口が16.3%減少し、労働時間が22.5%を短縮することを前提とすると、1人当たり1.5倍の労働生産性の向上が必要となる。従来の長時間労働を前提としたホワイトカラーの低生産性に、働き方改革のメスを入れなければ、環境の変化に対応できない。IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、ロボットが破壊的創造をもたらす第4次産業革命は、昭和的経営から転換する経営改革を促す。バックオフィスのホワイトカラー業務は、定型業務を自動化するソフトウェアロボットであるRPA(Robotick Process Automation)、すなわちデジタルレイバーが代替することになる。RPAとは、ルールエンジンやAI、機械学習といった高性能な認知技術を用いるソフトウェアロボットで、業務の自動化や効率化を実現する。メガバンクでは、RPAの導入により、業務の抜本的効率化とコスト削減に取り組んでいる。
働き方改革による生産性の向上は、新しいルール(制度)とツール(HR Tech)の導入による。「Human Resources (HR)×Technology (Tech)」の造語である「HR Tech」は、世界で最もホットなテーマの1つとなった。人事関連業務である採用、育成、評価、配置などに、クラウド、ビッグデータ解析、人工知能(AI)など最先端IT技術を活用する。
同社が打ち出すHRプラットフォーム(BPO)構想は、クラウド上のプラットフォームを利用したHR Techによる経営の変革推進である。生産性の向上に、アウトソーシングやクラウドサービス・ツールの活用を提案する。同社が構築するHRプラットフォーム上に、外部パートナーと柔軟に連携したオープン型のデジタルマーケティング連合を組成する。人事データを核としたBPOプラットフォームを提供することで、福利厚生、報奨、教育、給与計算、出張精算、小口精算、金融、健康などに関するビッグデータを押さえていく。また、クラウドサービスの一環として、HR Tech、タレントマネジメント、グループウェア、コミュニケーション、統合基幹業務、顧客管理、レコグニション、Health Techなどの他社ソフトとの連携を可能にすることでワンストップソリューションサービスを提供していく考えだ。HR Techの利活用は、ホワイトカラーの生産性に格差を生じさせ、マネジメント力に影響を与える。
6. インターネット、クラウドとスマートフォンの普及−中小企業も利用可能に
大型コンピュータシステムを基盤とするITシステムに投資をしてきたメガバンクを主体とするファイナンシャルグループがITシステムにクラウドを採用するなど、世代交代が進んでいる。ITシステムは、「開発する」、「所有する」から「利用する」へと変遷を重ねてきた。クラウドサービスは、短期間にインフラの導入、サービスの利用ができ、冗長化によりハードウェア障害が起こりにくく、ネットワーク構成の変化やリソースの追加、変更が簡単にでき、運用管理費を低減できる。同社は、クラウドサービスを利用することで、ターゲットを大企業だけでなく中小企業にも広げることが可能になった。
インターネットの普及は、「サービスの流通創造」を進める同社にとって追い風となる。サービスの流通は、リアルタイムの空き(在庫)情報・価格と利用のマッチングとなる。サービスの需要は、季節や曜日、時間帯により大きく変動する上、販売機会が時間とともに消滅してしまうため、柔軟な価格変動が求められる。システム化で先行したホテルや航空会社は、予約がネット経由に変わり、需給バランスに応じた価格変動システムを取り入れた。インターネットを利用することで、情報のプッシュ通知から、予約・申込、決済、チケットとしての利用など完結型サービスに進化しており、他の業種にも広がる環境が整ってきた。また、個人がパソコンに加えてスマートフォンを所有するようになって、ネット予約を利用するサービスは、より日常的なメニューに拡大しつつある。同社は、個人のニーズが強いグルメ、エンタメ、ヘルスケア分野でサービスマッチングの浸透、強化を図る。サービス消費の活性化に向けた取り組みの一環として、スマートフォンのUI・UXを改善するなどして利便性を向上させている。
「いつでも、どこでも、だれとでも」のブロードバンド・ユビキタス社会が到来することで、ネット利用が当たり前の暮らしとなる。従来、サービス業では、人、費用、技術的な制約からデジタル化が進んでいなかった。同社は、オンラインビジネスに必要となる機能を、クラウド型かつオールインワンのソフトウェアを提供することによって、サービス流通市場の活性化を図る。2017年9月に、カナダのEcommEarthと合弁会社(株)ディージーワン(同社出資比率51%)を設立した。同子会社は、EcommEarthが開発した中小企業の電子商取引事業を支援する次世代型ビジネスプラットフォーム「DG1(ディージーワン)」の日本における販売を行っていく。DG1は、Webサイト構築、商品管理、顧客管理、スマートフォンアプリ構築、マーケティングオートメーション、オンライン予約の機能を網羅している。同ビジネスプラットフォームの浸透により、サービス業の生産性向上に寄与することを目指す。
同社は、自社のデジタルトランスフォーメーションを進化させるため、3〜5年かけてITシステムを刷新する。データの持ち方、活用の仕方、サービスの提供のあり方を全面的に刷新し、持続的な成長を図る。会員のサービス利用は、電話からスマートフォン経由のWebへシフトすることを促進する。また、紙媒体をベースとするガイドブックやクーポン券も電子的なものに置き換える。電子化により、利用率と収益性の向上を図る。
■株主還元策
ベネフィット・ワン<2412>の株主還元策は、年間の純資産配当率(DOE)を5%以上と配当性向50%以上を目標に、継続的かつ安定的な配当を基本方針としている。2017年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行った。2018年3月期の1株当たり配当金は、分割修正後で前期比4.5円増配の28.5円とした。配当性向は、前期の50.3%から54.9%へ上昇した。DOEは14.5%であった。2019年3月期は、1株当たり38.0円への連続増配を計画している。
また、2018年5月に自己株式の一部である9,088,000株の消却をした。償却前の発行済株式総数に対する割合は10.07%に相当する。残りの所有する自己株式は291,560株となった。
2018年5月には2019年3月期中を目標に東証2部から1部への指定替えを申請予定と発表した。東証1部への上場が実現すれば、社会的信用や国内外の知名度向上が期待され、取引先の拡大や優秀な人材の採用、ひいては同社の更なる企業価値向上にも資すると考えられる。
■情報セキュリティ
ITシステムをセキュアなクラウドサービスに転換へ
情報セキュリティ対策は、制度、人、システムの3面により構成される。外部からの不正侵入に備えて、外部専門会社から脆弱性のテストを受けている。また、内部からの情報漏洩を防ぐため、社員教育に力を入れている。現在は、守りを重視していることから、柔軟性に欠けるきらいがある。同社は、ITシステムのクラウドへの移行段階にある。セキュアなクラウド上にプラットフォームを確保することで、防御力と柔軟性を兼ね備えたシステムへの移行を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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