アップル Research Memo(6):国内外で、ネットを活用した事業の展開を図る(1)
[18/06/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■アップルインターナショナル<2788>の中長期の成長戦略
1. 海外事業
「距離の超越」「時間の超越」「情報量無制限」を特徴とするインターネットをベースとしたeコマースは、拡大の一途をたどっている。距離を超えて海外から、日本のオートオークションを閲覧することが可能である。車両の画像とデータをベースに売買するTVオークションは、車両情報の正確性と査定の客観性が担保されていなければならない。日本式査定システムが長期にわたり広く運用されてきたことから、車両データと画像により価格が容易に推測レベル達している。
(1) タイでのオークション事業
日本式査定システムが海外でも運用されれば、オートオークションが発展し、中古車輸出事業の拡大に結び付く。同社は、既にタイにおいてオークション事業を展開しているが、メイン会場を2倍の大きさに拡大し、主要国道沿いの12ヶ所に設置している地方オークション会場の倍増も計画している。
(2) タイ製中古車の輸出
2017年11月に、タイ製の中古小型商用車(Light commercial vehicle:LCV)を輸出する子会社、APPLE INTERNATIONAL (THAILAND) Co., Ltd.を設立した。タイは、小型商用車の世界的な生産拠点となっている。2017年の主要な右ハンドル国における自動車生産は、日本の9,694千台は別格として、インドの4,783千台に次ぎ、タイは1,989千台で3番目に大きい。特に、LCVに限定するとタイの生産台数は1,148千台と日本の818千台を上回り最大となる。トヨタ自動車<7203>は、新興国戦略車であるピックアップトラック「ハイラックス」の日本国内販売を終了していたが、2017年に13年ぶりにタイ製車両を輸入することで再開した。右ハンドルの商用車に関しては、タイの重要度が高い。
2017年における右ハンドル国別自動車登録・販売台数は、日本の5,239千台に、インドが4,018千台、イギリスが2,955千台、オーストラリアが1,189千台、インドネシアが1,061千台、マレーシアが591千台と続く。同社は、タイにおける日本式査定の浸透とオートオークションを拡大することで、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を活発させる意向だ。
ASEAN自由貿易地域(ASEAN Free Trade Area:AFTA)は、2015年12月にASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community:AEC)に高度化し、2016年から加盟国間の関税が撤廃された。加盟国は、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアである。右ハンドル国であるマレーシア、インドネシア、ブルネイなどへの輸出がしやすくなった。
(3) いすゞ自動車との資本業務提携
2017年5月に、いすゞ自動車と資本業務提携を結んだ。いすゞ自動車を割当先として新株138万株(発行済株式総数の9.97%に相当、1株当たり発行価格291円)の発行を伴う第三者割当増資を行った。
いすゞ自動車との資本業務提携により、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を加速させる。自動車メーカーにとって、中古車の輸出が拡大すれば、タイ国内の中古車が品薄状況となり中古市場価格が安定する。下取り価格を高めに設定でき、新車販売を促進することになる。同社にとっては、商材を安定的に確保できることになる。
タイが右ハンドル国ということもあり、日系メーカーが市場を席巻している。2017年のメーカー/ブランド別販売台数シェアは、トップのトヨタ自動車が27.5%、続くいすゞ自動車が18.4%、3位の本田技研工業<7267>が14.7%であった。以下、三菱自動車工業<7211>が8.0%、日産自動車<7201>が6.9%、フォード(米フォード・モーター)が6.4%、マツダ<7261>が5.9%、スズキ<7269>が2.9%、Chevrolet(米ゼネラル・モーターズ)が2.2%、メルセデスベンツが1.6%、その他が5.6%であった。日系の合計シェアは、84.3%に達した。
2017年のタイにおける自動車販売台数は前年比13.4%増の871千台、うち乗用車が346千台、商用車が525千台であった。軽量商用車である1トンピックアップトラックは、424千台と全体の48.7%を占めた。
2017年に、いすゞのタイにおける1トンピックアップの販売台数は146千台であった。乗用車の販売をしていないため、同車種のいすゞの総販売台数に占める割合は91.0%と極めて高い。乗用車でトップシェアを持つトヨタの1トンピックアップへの依存度は55.7%であった。
いすゞは、2017年に1トンピックアップ販売台数でトヨタ抜きトップに躍り出た。いすゞのシェアが34.4%、トヨタは31.5%と二大勢力を築いている。3位のフォードは、シェアを継続的に高め、2017年は2ケタの12.4%まで引き上げた。フォードの1トンピックアップへの依存度は93.8%と高い。
(4) ASEAN諸国への事業展開
同社は、日本式査定をベースに中古車の買取販売事業、中古車輸出事業、オークション会場の運営を行ってきた。今後、タイの近隣諸国にタイで実現した成功モデルを水平展開する。ITシステムを利活用したオートオークション事業が確立されていない国では、早期の進出により同社の査定基準を業界のデファクトスタンダードとし、ITシステムをベースとしたオートオークションの運営の浸透を目指す。
現在、マレーシアでオートオークション事業に関連する子会社の設立を進めている。タイではオークションに出品される車両の8割以上が金融機関によるため、タナチャート銀行グループを同国におけるパートナーとした。マレーシアでは、現地の既存オートオークション会場企業と組むことを検討している。この方式では、現地でオークション会場設置のために用地買収や新たに施設建設の手間が省け、短期間の事業立上げが可能となる。また、同社の強みとする査定標準化などのオペレーションとITシステムの運用に特化できる。オークション会場に足を運ばなくて済む、ネット経由による入札機能のニーズは高い。ITシステムに関しては、タイの設備を利活用できる。このため、少ない資本と低いリスクにより、オークション手数料やシステム利用料などの安定した収益を得ることができると目論んでいる。マレーシアの展開次第で、インドやインドネシアなどの右ハンドル国への進出が検討されることになるだろう。2018年5月に、独立以来の61年間で初めて政権交代が実現したマレーシアの今後の発展に期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<MW>
1. 海外事業
「距離の超越」「時間の超越」「情報量無制限」を特徴とするインターネットをベースとしたeコマースは、拡大の一途をたどっている。距離を超えて海外から、日本のオートオークションを閲覧することが可能である。車両の画像とデータをベースに売買するTVオークションは、車両情報の正確性と査定の客観性が担保されていなければならない。日本式査定システムが長期にわたり広く運用されてきたことから、車両データと画像により価格が容易に推測レベル達している。
(1) タイでのオークション事業
日本式査定システムが海外でも運用されれば、オートオークションが発展し、中古車輸出事業の拡大に結び付く。同社は、既にタイにおいてオークション事業を展開しているが、メイン会場を2倍の大きさに拡大し、主要国道沿いの12ヶ所に設置している地方オークション会場の倍増も計画している。
(2) タイ製中古車の輸出
2017年11月に、タイ製の中古小型商用車(Light commercial vehicle:LCV)を輸出する子会社、APPLE INTERNATIONAL (THAILAND) Co., Ltd.を設立した。タイは、小型商用車の世界的な生産拠点となっている。2017年の主要な右ハンドル国における自動車生産は、日本の9,694千台は別格として、インドの4,783千台に次ぎ、タイは1,989千台で3番目に大きい。特に、LCVに限定するとタイの生産台数は1,148千台と日本の818千台を上回り最大となる。トヨタ自動車<7203>は、新興国戦略車であるピックアップトラック「ハイラックス」の日本国内販売を終了していたが、2017年に13年ぶりにタイ製車両を輸入することで再開した。右ハンドルの商用車に関しては、タイの重要度が高い。
2017年における右ハンドル国別自動車登録・販売台数は、日本の5,239千台に、インドが4,018千台、イギリスが2,955千台、オーストラリアが1,189千台、インドネシアが1,061千台、マレーシアが591千台と続く。同社は、タイにおける日本式査定の浸透とオートオークションを拡大することで、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を活発させる意向だ。
ASEAN自由貿易地域(ASEAN Free Trade Area:AFTA)は、2015年12月にASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community:AEC)に高度化し、2016年から加盟国間の関税が撤廃された。加盟国は、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアである。右ハンドル国であるマレーシア、インドネシア、ブルネイなどへの輸出がしやすくなった。
(3) いすゞ自動車との資本業務提携
2017年5月に、いすゞ自動車と資本業務提携を結んだ。いすゞ自動車を割当先として新株138万株(発行済株式総数の9.97%に相当、1株当たり発行価格291円)の発行を伴う第三者割当増資を行った。
いすゞ自動車との資本業務提携により、タイ製中古車のASEAN諸国への輸出を加速させる。自動車メーカーにとって、中古車の輸出が拡大すれば、タイ国内の中古車が品薄状況となり中古市場価格が安定する。下取り価格を高めに設定でき、新車販売を促進することになる。同社にとっては、商材を安定的に確保できることになる。
タイが右ハンドル国ということもあり、日系メーカーが市場を席巻している。2017年のメーカー/ブランド別販売台数シェアは、トップのトヨタ自動車が27.5%、続くいすゞ自動車が18.4%、3位の本田技研工業<7267>が14.7%であった。以下、三菱自動車工業<7211>が8.0%、日産自動車<7201>が6.9%、フォード(米フォード・モーター
2017年のタイにおける自動車販売台数は前年比13.4%増の871千台、うち乗用車が346千台、商用車が525千台であった。軽量商用車である1トンピックアップトラックは、424千台と全体の48.7%を占めた。
2017年に、いすゞのタイにおける1トンピックアップの販売台数は146千台であった。乗用車の販売をしていないため、同車種のいすゞの総販売台数に占める割合は91.0%と極めて高い。乗用車でトップシェアを持つトヨタの1トンピックアップへの依存度は55.7%であった。
いすゞは、2017年に1トンピックアップ販売台数でトヨタ抜きトップに躍り出た。いすゞのシェアが34.4%、トヨタは31.5%と二大勢力を築いている。3位のフォードは、シェアを継続的に高め、2017年は2ケタの12.4%まで引き上げた。フォードの1トンピックアップへの依存度は93.8%と高い。
(4) ASEAN諸国への事業展開
同社は、日本式査定をベースに中古車の買取販売事業、中古車輸出事業、オークション会場の運営を行ってきた。今後、タイの近隣諸国にタイで実現した成功モデルを水平展開する。ITシステムを利活用したオートオークション事業が確立されていない国では、早期の進出により同社の査定基準を業界のデファクトスタンダードとし、ITシステムをベースとしたオートオークションの運営の浸透を目指す。
現在、マレーシアでオートオークション事業に関連する子会社の設立を進めている。タイではオークションに出品される車両の8割以上が金融機関によるため、タナチャート銀行グループを同国におけるパートナーとした。マレーシアでは、現地の既存オートオークション会場企業と組むことを検討している。この方式では、現地でオークション会場設置のために用地買収や新たに施設建設の手間が省け、短期間の事業立上げが可能となる。また、同社の強みとする査定標準化などのオペレーションとITシステムの運用に特化できる。オークション会場に足を運ばなくて済む、ネット経由による入札機能のニーズは高い。ITシステムに関しては、タイの設備を利活用できる。このため、少ない資本と低いリスクにより、オークション手数料やシステム利用料などの安定した収益を得ることができると目論んでいる。マレーシアの展開次第で、インドやインドネシアなどの右ハンドル国への進出が検討されることになるだろう。2018年5月に、独立以来の61年間で初めて政権交代が実現したマレーシアの今後の発展に期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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