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Jリース Research Memo(3):積極的な出店と地域密着戦略で高成長を実現

注目トピックス 日本株
■ジェイリース<7187>の事業概要

1. 家賃債務保証市場の概況
賃貸住宅の入居時において、連帯保証人をめぐる問題は増加の一途をたどっている。核家族化、少子高齢化、外国人の増加、無縁社会の広がり、家族関係の希薄化などが進展したために、連帯保証人を見つけられない人やできれば連帯保証人を頼みたくない人が増加した。家賃債務保証とは、住宅の賃貸において連帯保証人が果たしてきた役割を専門の保証会社が担い、入居予定者・不動産仲介会社・不動産オーナーの3者の契約関係を円滑に行うための仕組みである。入居者にとっては、連帯保証人を確保できなくても入居が可能であるとともに、万が一支払いの遅延をしてしまっても円滑な立替払いにより家主との関係を良好に維持できるメリットがある。不動産オーナーにとっては、滞納発生時の家賃保証だけでなく、従来入居が困難だった人にも賃貸が可能になるため、空室率の抑制が期待できる。さらに、不動産仲介会社にとっても仲介料の増加や事務手数料収入が期待できる。家賃債務保証は3者がWin-Winの関係を維持できる点で、時代のニーズに合致したサービスである。

家賃債務保証会社の利用率は年々高まっており、国土交通省資料によると2010年で39%、2014年で56%、2016年で69%と急速に高まっている。今後は民法改正(債権法、2020年4月1日施行)も追い風になりそうだ。この改正では、連帯保証人が保証する金額の極度額(上限)が設定されるため、連帯保証人の担保価値が低下する。結果として家賃保証会社の利用を必須とする不動産オーナーが増加することが予想される。

事業環境としては、人口は減少トレンドにあるものの、少人数世帯を中心に世帯数は増加傾向であり、定住外国人の増加や民法改正など、家賃債務保証市場には追い風が吹いている。

2. 同社ビジネスモデルの特長
同社の家賃債務保証事業におけるビジネスモデルの主な特長は、(1)店舗網と人数、(2)きめ細かな商品・サービス、(3)厳格かつ迅速な審査と高い回収率、の3点である。

(1)店舗網と人数
2018年5月時点で全国24店舗を展開しており、店舗を介した地域密着が同社の強みである。地域別には、地元の九州で9店舗、近畿・中四国で2店舗、東海で1店舗、関東甲信越で10店舗、東北北海道で2店舗である。店舗が多いということはスタッフ人数も多くなり、408人(2018年4月)が所属している。同社の店舗数とスタッフ人数の多さは、同業他社と比較すると明確になる。店舗当たり売上高では、同業A社は829百万円/店が一番高く、同社は209百万円/店と最も低い。1人当たり売上高では、同業B社が32百万円/人と最も高く、同社は12百万円/人と最も低い。同社の店舗網の緊密さと人数投入量の多さが浮き彫りになっている。同社の協定先は主に中堅・中小の不動産仲介会社であり、13千件という圧倒的多数の協定件数(不動産会社との契約)を持つことを可能にしている。

(2) きめ細かな商品・サービス
同社の強みである。利用者のニーズに応じて、一括払い、年払い、月払いなどの多様な保証料の支払い形態が選択でき、同業他社でこれらをすべてそろえる企業は少ない。また、不動産会社からのリクエストによるカスタマイズも積極的に実施し、個々の不動産会社との信頼を勝ち得るのに貢献する。

代位弁済時の支払日に関しては、同社が「3営業日後」に支払うのに対して、同業他社では「月末」や「月2回」、「退去精算後」などであり、同社の迅速対応は際立っている。

(3) 厳格かつ迅速な審査と高い回収率
改善の余地はあるものの、回収率は高い水準にある。審査の厳格さの指標の1つとして、代位弁済の発生率があるが、同社は直近6.6%(2018年3月期)であり、平均的と言われる7.1%よりも低い。前期(2017年3月期)よりも0.7ポイント上昇したが、この要因は競争の厳しい都市部に後発に参入したために、やや広い属性の保証を受け入れたためである。代位弁済の回収率は、95.3%(同)であり、前期よりも0.5ポイント上昇した。厳格かつ迅速な審査を支えるのは、専門的なデータとノウハウを持つ審査部門の存在がある。収入と賃料のバランス、転居理由などから入居者チェックをするほか、新聞記事検索、代位弁済情報データベースなどを活用して、徹底的かつ迅速に審査を行う。今後も手を緩めることなく、債権管理業務の集約化や弁護士・司法書士等との連携強化などにより更なる改善を図る。

同社のビジネスモデルは、店舗と人で都市部を中心に面展開し、顧客のニーズに徹底的に応えることで信頼を勝取り、入居者審査では科学的なアプローチも取入れて厳格にリスクを管理するという“地域密着+リスク管理徹底ビジネスモデル”である。

3. 成長性の比較
同社は、同業他社と比較して、高い成長性に特徴がある。2015年3月期から2018年3月期までの4期間の売上高上昇率で比較すると、同社が年率26.4%、同業A社が9.1%、同業B社が1.2%、同業C社が15.5%となっている。同社の成長の原動力は出店であり、出店ペースを決めるのは人材育成のスピードや黒字化までの時間である。現状、人材育成や黒字化までの時間を考慮した適切な出店ペースは、年に2〜5店舗だと考えられる。同社が進出していない大都市エリアはまだ広く残っているため、しばらくは店舗当たりのポテンシャルの大きな都市部で、着実なペースの出店が続くだろう。

一方で、経常利益で比較すると、同社351万円(2018年3月期)に対して、同業A社 1,212百万円(同)、同業B社 752百万円(同)、同業C社 160百万円(同)となっており、収益力の向上が課題となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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