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DEAR・L Research Memo(4):18/9期2Qは3事業とも堅調に推移、好調だった前年並みの業績

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年9月期第2四半期の業績概要
ディア・ライフ<3245>の2018年9月期第2四半期は、売上高が前期比2.2%減の4,949百万円、営業利益が同9.4%減の605百万円、経常利益が同4.5%減の612百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同7.3%減の392百万円と、減収減益ではあるが過去最高の業績だった前期に匹敵する計画通りの進捗となった。

主力のリアルエステート事業では、好調だった前年から減収となったものの、採算の良い物件の売却が進み、セグメント利益では前年を上回った。セールスプロモーション事業においては不動産営業系の人材サービス案件を中心に受注が堅調。アウトソーシングサービス事業では、滞納保証付きBPOサービスの受託が好調に推移して増収となった。全体としては3事業とも堅調に推移し売上総利益は増加したが、要員増加による人件費増やアウトソーシングサービス事業の業容拡大に伴う外部協力費などの増加により、販管費が増加し、営業利益は減益となった。


販売用不動産(仕掛含む)が約50億円増加し、資産規模が拡大
2. 財務状況と経営指標
2018年3月末の総資産残高は前期末比4,923百万円増の22,732百万円と資産規模が大きく拡大した。主な要因は、流動資産の4,906百万円増であり、販売用不動産の4,065百万円増、仕掛販売用不動産の1,074百万円増などが主な要因である。固定資産の変動額は小さい。

負債合計は前期末比4,702百万円増の14,641百万円となった。そのうち流動負債は2,682百万円増であり、短期借入金の1,512百万円増及び1年内返済予定の長期借入金1,381百万円増が主な要因である。そのうち固定負債は2,020百万円増であり、長期借入金の1,970百万円増が主な要因である。純資産合計は前期末比221百万円増の8,091百万円となった。

経営指標では、流動比率450.2%と短期の安全性は非常に高く、自己資本比率は34.0%(前期末42.3%)と前期末から下がったものの、中長期の安全性も堅持している。

■今後の見通し

1. 2018年9月期の業績目標
ディア・ライフ<3245>の2018年9月期通期の業績は、経常利益で2,270百万円(期初計画は2,500百万円)、当期純利益で1,950百万円(期初計画は1,650百万円)とパルマの株式譲渡に伴い修正された。売上高と営業利益に関しては、例年同様に業績予想を公開していない。売上高の予想をしていない理由は、リアルエステート事業において売上高をコミットすることのリスクを回避するためだ。

リアルエステート事業では、都市型マンション・収益不動産の開発・投資を継続的に拡大する方針だ。セールスプロモーション事業での人材ニーズは引き続き強く、人材サービスの質と量の拡充に取り組み、受託拡大につなげていく。アウトソーシングサービス事業においては、ビジネスソリューション・ITソリューションの受託シェア拡大に加え、下期はターンキーソリューションでの施設開発が増える見込みだ。パルマと日本郵政グループとの資本提携により、全国の郵便局の持つ経営資源(遊休の建物や土地を含む)を活用したセルフストレージ事業の展開となれば、更なる業績の上積みが期待できる。


25件の開発プロジェクトが進行中。総事業費160億円分の仕入れに成功
2. 仕入と開発プロジェクト
同社では、開発プロジェクト用地及び収益不動産の仕入れを積極的に進めている。その成果として、土地で60〜70億円、収益不動産で20〜30億円、総事業費に換算すると約160億円分の仕入れに成功している。主な物件は東京23区に集中しており、公約どおり東京圏エリアに絞った厳選した仕入れとなっている。進行中の開発プロジェクトは25件であり、プロジェクト期間が2年〜3年かかるため2018年9月期から2020年9月期までに順次竣工される予定だ。販売用不動産及び仕掛販売用不動産は、14,614百万円(前期末比5,140百万円増)と大幅に増加したことからも、開発用地を中心とした仕入れが好調に推移したことが確認できる。

■中長期の成長戦略

1. パルマと郵政グループの資本提携
2018年5月、パルマは日本郵政の100%子会社である日本郵政キャピタルを割当先とする第三者割当増資を実施した。さらに、 日本郵政キャピタルとのパートナーシップをより強固なものとすること、パルマの既存株主への希薄化の影響を最小限にとどめるために、ディア・ライフ<3245>(ディア・ライフ)から日本郵政キャピタルへパルマ株式の一部を譲渡した。この一連の資本政策により、日本郵政グループのパルマ株式所有比率は20.86%、同社の所有比率は61.12%から43.32%となる。

パルマにとっては、信用力・財務基盤が強化されるとともに、日本郵政グループの保有資産である郵便局の遊休の土地建物にセルフストレージ施設を開発するなどにより大きな成長力を手に入れることになる。日本郵政グループとしても全国24,026(2018年4月末)の郵便局の資産の収益性・ 資産効率の向上が可能となる。

同社にとっては、パルマは連結子会社から外れ、持分法適用関連会社となる。同社の2018年9月期の業績予想へのインパクトとしては、非連結になることにより経常利益予想が2,500百万円から2,270百万円に減少する一方で、譲渡益を計上することにより、当期純利益予想が1,650百万円から1,950百万円に上方修正された。

引き続きパルマの取締役には同社の阿部社長が残り、監査役は同社の清水誠一(しみずせいいち)取締役が務め、セルフストレージ開発事業を始めとした事業推進のための助言や情報共有などを行うことで、パルマの将来の東証第1部上場や事業基盤の拡大の支援を行う。

2. 機動的なエクイティファイナンス(MSWT)による資本増強
成長戦略の遂行には物件取得が不可欠であり、そのための資金需要は拡大している。同社は、過去複数回にわたり公募増資を行い、借入金に過度に依存することなく資金調達を行ってきた。2017年3月に導入した新しい資本調達スキームは、第三者割当による行使価額修正条項付新株予約権(MSWT)を活用した増資スキームで、2017年10月に終了、約15.7億円(400万株)の調達を達成した。この資本増強策が寄与し、自己資本比率は38.1%(2016年9月期末)から42.3%(2017年9月期末)へと向上させた。

MSWTの特徴は、
1)株価動向に合わせた機動的かつ柔軟な資金調達が可能
2)同社が行使株数・ 時期をコントロールできるので、急激な希薄化を回避
3)行使価格の上限がなく、常に修正されるため、安定 的な行使・調達額の最大化が期待できる
などが挙げられる。

同社は、更なる資金需要に対応するために、今年も昨年同様の手法(MSWT)でエクイティファイナンスを実施する。割当先は昨年と同じくSMBC日興証券。行使可能期間は2018年3月7日からで、資金調達の予定額は約28.3億円(当初行使価額570円で算定)と増額された。巧みなエクイティファイナンスにより、同業と比較しても健全な財務構造が維持されている。

3. 人材関連事業(セールスプロモーション事業)の新会社の設立を発表
同社は2018年6月15日に、人材派遣・紹介等の人材関連サービスを展開する新会社を設立し、同社セールスプロモーション事業を移管すること発表した。新会社設立の主な目的は、意思決定の迅速化と組織の自立性・専門性の向上である。さまざまな産業分野で人材不足が加速している一方で、働く意志がありながらも働く場所・時間による制限のため働くことができない女性が300万人以上いるとも言われている。このようなギャップの解決をビジネスチャンスと捉え、新会社設立を契機に人材関連事業を本格的に拡大させたい考えだ。

設立予定日は2018年7月。その後、労働者派遣・有料職業紹介免許を取得し、同社セールスプロモーション事業の移管を受け、同年9月には営業を開始する予定である。本件が2018年9月期の業績に与える影響は軽微である。

■株主還元策

ディア・ライフ<3245>は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、財務体質強化と内部留保の確保を図る一方、株主への利益還元を重要な経営課題としており、配当性向40%を目指して配当を実施する。また、自社株式の取得に関しても、株価の推移や財務状況等を勘案し、機動的に行う方針である。

2018年9月期は、期初予想は1株当たり配当金19円だったが、パルマの株式譲渡益により当期純利益が増加するために配当金21円に上方修正された。配当性向の予想は40.0%で変わらない。

株主優待制度も導入しており、2018年9月期はさらに拡充し制度の充実が図られた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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