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アドクリ Research Memo(5):保険契約の獲得ペースは順調で、2018年9月期は会社計画を上回る可能性が高い

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2018年9月期の業績見通し
アドバンスクリエイト<8798>の2018年9月期の連結業績は、売上高が前期比13.4%増の9,230百万円、営業利益が同21.7%増の1,270百万円、経常利益が同20.1%増の1,230百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.1%増の780百万円と期初計画を据え置いている。ただ、第2四半期までの進捗がやや想定を上回っているほか、4月の申込ANPも前年の水準が駆け込み需要の反動減で低水準だったとはいえ、前年同月比59%増と好調に推移していること、また、再保険事業やメディア事業も下期は回復に向かう見通しであることから、通期業績は売上高で11期振りに過去最高を更新し、営業利益、経常利益についても2013年9月期(営業利益1,295百万円、経常利益1,258百万円)以来の最高益を更新する可能性が高いと弊社では見ている。

事業セグメント別では、主力の保険代理店事業については引き続きSNS等を使ったWebプロモーション施策による資料請求件数の増加を背景に前期比2ケタ増収増益となる見通し。販売チャネル別で見ると、引き続き協業店向けが最も大きく伸びることになる。対面販売チャネルについては店舗数が変わらないものの、営業人員を10名程度増やしており、これら人材の戦力化による伸びが見込まれる。また、通信販売については引き続きネット生保の契約件数増加により、堅調な増加が期待される。

メディア事業については、受注契約変更の影響がほぼ一巡するため、通期では前期並みの収益水準まで回復することが予想される。また、再保険事業についても新たに生命保険会社2社と再保険契約を締結する見込みとなっていることもあり、通期では増収増益となる見通しだ。


自社開発した顧客管理システムのASPサービスを2018年9月期中に開始予定
2. 収益ポートフォリオの多様化に向けた新たな取り組み
同社では既存事業の成長に加えて、保険に関連する新たな事業を立ち上げていくことで収益ポートフォリオの多様化を図り、更なる成長を目指している。まずは2018年9月期中に社内用に開発したCRMシステムを協業代理店に対してASPサービスとして提供していく予定となっている。従来、協業代理店からは保険契約獲得時の販売手数料シェアのほか、顧客情報のデータ連携やコールセンター、ロジスティックス業務等のサービスに対して、一定の対価を得ていたが、新たにCRMシステムそのものの提供を開始する。保険業界に特化した形で開発しているため、使い勝手も良いことから需要が見込めると判断した。自社で既に利用しているため、特段の追加費用は掛からないことから高い収益性が期待できる。売上規模としては年間で数億円程度のポテンシャルがあると見ている。

また、BPOサービスでは同社の強みの1つであるコールセンター業務を、保険会社やクレジット会社向けに展開していく予定にしており、早ければ2019年9月期中にも売上げに貢献する見通しだ。保険商品等は専門的な商品知識が必要なため、一定以上のスキルが必要とされるが、最近は電話で保険契約を取ることが難しくなってきたこともあり、各社とも人材が手薄になっている領域となっている。ただ、引き合いは旺盛なため人材さえ整えば収益化できる可能性は高いと言える。現在は契約社員の増員や育成を進めており、体制が整い次第スタートする予定となっている。

そのほかにも、顧客開拓施策として2017年6月より開始したAMEXとの共同募集事業について、その成果が順調に出始めており、法人契約の増加にもつながっていることから、他の大手クレジットカード会社との協業に向けた交渉も開始している。ハイクラスの会員(ゴールドカード等)をターゲットとしてメルマガやDMなどの販促活動を行い、対面販売や協業店で成約に結び付けていくことになる。

既存事業の成長に加えて、これら新規事業が貢献してくるようになれば、同社の収益成長もさらに加速していくものと予想される。


ROE、売上高経常利益率で20%以上、自己資本比率80%以上を目標とする
3. 目標とする経営指標と事業戦略
同社は目標とする経営指標としてROE20%以上、売上高経常利益率20%以上、自己資本比率80%以上を掲げている。2017年9月期実績ではROEが16.2%、売上高経常利益率が12.6%、自己資本比率が59.3%となっており、現状からさらに収益性並びに資本効率の向上と財務体質の改善を進めていく方針となっている。成長戦略としては、圧倒的な集客力を持つ保険選びサイト「保険市場」を基盤として、保険代理店事業を着実に成長させ、再保険事業やメディア事業、さらには新規事業も含めて収益ポートフォリオの多様化を図りながら、収益基盤を一層強固なものとして成長を推進していく方針だ。

(1) 営業戦略
保険代理店事業については、AI技術等を活用した新たなマーケティング手法の開発などを進めると同時に、「保険市場」の掲載情報の充実も図りながら、集客力を強化し資料請求・問い合わせ件数を増やしていくことで保険契約獲得の機会増大を図る。また、対面販売については現在の12店舗体制を維持していくものの、来店者数が増加していることもあり、手狭となった店舗では増床も検討している。また、顧客ターゲットとしては金融リテラシーの高いアッパーミドル層が中心で、生命保険の単一商品販売から顧客のすべての保険商品を取り扱う資産管理型営業にシフトしていく方針であることに変わりないが、ここ最近では節税対策も含めた法人契約の需要が増えてきたことから、法人営業部門を新設することも検討している。

メディア事業については、顧客となる保険会社に対して自社が今まで蓄積してきたSEO対策等も含めたWebプロモーションのノウハウを提案し、「保険市場」の広告掲載収入以外のニーズを取り込むことで収益を拡大していく。また、再保険事業については既存の保険契約の積み上げと新規契約会社をあと3〜4社増やしていくことで安定した収益成長を目指していく方針だ。

(2) 投資戦略
投資戦略としては、従来と変わらずIT・システム投資と人材投資を強化していく方針となっている。IT・システム投資では、「保険市場」の利便性向上につながる投資を継続的に実施しているが、ここ最近はAI技術の導入も進めている。具体的には、チャットボットを導入し、コールセンターにおける業務負担の軽減を図っている。今後もAIと人材の相乗効果により、より高い次元でのセキュリティと環境変化へのフレキシブルな体制を構築していく考えで、「業界のイノベーター」として先進的な技術を積極的に取り込んでいく方針だ。

人材投資ではコールセンターの人材体制を強化していく方針で、特に、契約獲得率の高い土日や夜間に対応できる人材を増員していく方針となっている。また、新卒・中途社員の採用活動を強化していくほか、福利厚生制度の充実も進めている。2016年7月に東証第1部に上場したこともあり、スキルの高い人材も集まるようになってきていると言う。2018年4月の新卒社員数は18名(前年は20名)で、2019年以降も20名程度の採用を進めていく予定となっている。また、働き方改革の一環として、有給休暇の取得促進並びに残業時間の削減に取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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