三機工 Research Memo(4):2018年3月期は営業利益が前期比9.7%の営業増益(1)
[18/06/20]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業<1961>の2018年3月期の業績は、受注高191,113百万円(前期比2.8%増)、売上高170,157百万円(同1.0%増)、売上総利益25,060百万円(同11.2%増)、営業利益6,593百万円(同9.7%増)、経常利益7,434百万円(同8.1%増)となった。売上高はビル空調衛生やプラント設備で増加したことから全体でも増収となり、利益面に関しても、現場サポート体制の強化をはじめとする取組みを一層進めた結果、売上総利益、営業利益、経常利益で増益となった。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、大和地区再開発計画に伴う固定資産除却損等を特別損失に計上したことから、3,906百万円(同16.9%減)にとどまった。
受注高については、ビル空調衛生は大型物件受注が一巡したことなどから前期比で減少したが、産業空調・電気は堅調に推移し、建築設備全体の受注高は前期比4.7%増加した。一方で、環境システムの受注は前期の水準が高かったこともあり同20.8%減となったが、機械システムは大型物件を受注したこと等から同48.8%増となり、プラント設備全体の受注高は同6.2%減となった。不動産やその他を含めた全体受注額は前期を2.8%上回り、2018年3月期末の次期繰越高は前期末比16.9%増と高水準となった。
同社では売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。
a) 原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これに加え下記取り組みにより作業効率が大きく改善したことにより、利益率が向上した。
b) 利益率マイナス要因の減少:業界環境の好転により受注環境が改善し、コストと品質のバランスがとれた受注実態となっている。さらに工程管理を徹底したことから進捗遅れが減少し、特に大型案件での採算性(利益率)が改善した。
c) 現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、同じくサイト業務支援センター(2018年4月からは各支社支店業務として移管し、発展的に収束)による現場業務支援、2016年4月から設計支援センターによる設計業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が表れてきている(作業効率の向上)。
その一方で販管費は実額で1,940百万円増加し、対売上高比率も前期の9.8%から10.8%へ上昇した。主な要因は人件費、研究開発費、広告宣伝費などの増加であるが、いずれも想定の範囲内である。売上総利益の増加によってこれを吸収し、営業利益は増益となった。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は139,688百万円(前期比1.3%減)となった。サブセグメント別では、期首繰越高が豊富であったビル空調衛生は前期比5.6%増の63,782百万円となったが、一部の案件が当初計画に対して後ずれしているため、想定していた伸び率よりはやや低かったようだ。産業空調は受注が好調であったことから足元の売上高は46,556百万円(同5.8%減)となったが、想定の範囲内であり懸念される結果ではなかった。電気も同4.1%減の20,653百万円ではあったが、20,000百万円台の売上高をキープしており、悪い内容ではなかった。ファシリティシステムは同14.8%減の8,695百万円となったが、これも前年度、前々年度の水準が高かったことによるもので、懸念される結果ではない。
機械システム事業の売上高は9,254百万円(前期比13.0%増)、環境システム事業の売上高は19,909百万円(同9.0%増)となり、プラント設備合計売上高も前期比10.2%増となった。おおむね計画どおり好調な結果であった。これら設備工事以外では、三機大和ビルの賃料収入が増加したことなどから、不動産事業の売上高が同10.3%増の1,755百万円となった。
またセグメント別の経常損益は、建築設備事業が6,010百万円の利益(前期比6.2%減)、機械システムが40百万円の損失(前期は138百万円の損失)、環境システムが575百万円の利益(前期比14.3%減)となった。この結果、設備工事全体の経常損益は6,545百万円の利益(同5.7%減)となった。また不動産事業及びその他事業の経常利益は、各々476百万円(同151.7%増)、49百万円(同121.7%増)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は153,443百万円(前期比4.7%増)であった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は前期に比べてオフィスビル関連の大型物件受注が一巡化(減少)したことなどから62,274百万円(同5.3%減)と前期比で減少した。産業空調は大型案件を受注したことなどから58,907百万円(同18.2%増)となった。電気は22,675百万円(同5.1%増)となり、大型案件の受注もあり比較的好調と言える。ファシリティシステムは9,585百万円(同1.4%増)と堅調に推移した。
プラント設備事業では、機械システムの受注高は今期大型案件を獲得したことなどから12,100百万円(同48.8%増)と大幅増となった。一方で環境システムの受注高は、前期比20.8%減の24,247百万円となったが、2017年3月期の水準が大型DBO※案件の受注などで通常より高かったことなどから前期比では減少しているが、2016年3月期の19,610百万円に比べても依然として高い水準であり、懸念される受注状況ではなかった。この結果、プラント設備事業全体の受注高は36,347百万円(同6.2%減)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
大型案件(10億円以上)の受注は、計20件、40,822百万円(前期は15件、40,057百万円、前々期は19件、31,476百万円)であった。建物用途別でみると、工場が6件で1番多く、産業空調の大幅受注増につながっている。
このような状況から、2018年3月期の全受注高は191,113百万円(前期比2.8%増)と堅調に推移し、期末の次期繰越高は144,712百万円(前期末比16.9%増)と高水準を維持した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<MH>
1. 2018年3月期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業<1961>の2018年3月期の業績は、受注高191,113百万円(前期比2.8%増)、売上高170,157百万円(同1.0%増)、売上総利益25,060百万円(同11.2%増)、営業利益6,593百万円(同9.7%増)、経常利益7,434百万円(同8.1%増)となった。売上高はビル空調衛生やプラント設備で増加したことから全体でも増収となり、利益面に関しても、現場サポート体制の強化をはじめとする取組みを一層進めた結果、売上総利益、営業利益、経常利益で増益となった。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、大和地区再開発計画に伴う固定資産除却損等を特別損失に計上したことから、3,906百万円(同16.9%減)にとどまった。
受注高については、ビル空調衛生は大型物件受注が一巡したことなどから前期比で減少したが、産業空調・電気は堅調に推移し、建築設備全体の受注高は前期比4.7%増加した。一方で、環境システムの受注は前期の水準が高かったこともあり同20.8%減となったが、機械システムは大型物件を受注したこと等から同48.8%増となり、プラント設備全体の受注高は同6.2%減となった。不動産やその他を含めた全体受注額は前期を2.8%上回り、2018年3月期末の次期繰越高は前期末比16.9%増と高水準となった。
同社では売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。
a) 原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これに加え下記取り組みにより作業効率が大きく改善したことにより、利益率が向上した。
b) 利益率マイナス要因の減少:業界環境の好転により受注環境が改善し、コストと品質のバランスがとれた受注実態となっている。さらに工程管理を徹底したことから進捗遅れが減少し、特に大型案件での採算性(利益率)が改善した。
c) 現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、同じくサイト業務支援センター(2018年4月からは各支社支店業務として移管し、発展的に収束)による現場業務支援、2016年4月から設計支援センターによる設計業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が表れてきている(作業効率の向上)。
その一方で販管費は実額で1,940百万円増加し、対売上高比率も前期の9.8%から10.8%へ上昇した。主な要因は人件費、研究開発費、広告宣伝費などの増加であるが、いずれも想定の範囲内である。売上総利益の増加によってこれを吸収し、営業利益は増益となった。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は139,688百万円(前期比1.3%減)となった。サブセグメント別では、期首繰越高が豊富であったビル空調衛生は前期比5.6%増の63,782百万円となったが、一部の案件が当初計画に対して後ずれしているため、想定していた伸び率よりはやや低かったようだ。産業空調は受注が好調であったことから足元の売上高は46,556百万円(同5.8%減)となったが、想定の範囲内であり懸念される結果ではなかった。電気も同4.1%減の20,653百万円ではあったが、20,000百万円台の売上高をキープしており、悪い内容ではなかった。ファシリティシステムは同14.8%減の8,695百万円となったが、これも前年度、前々年度の水準が高かったことによるもので、懸念される結果ではない。
機械システム事業の売上高は9,254百万円(前期比13.0%増)、環境システム事業の売上高は19,909百万円(同9.0%増)となり、プラント設備合計売上高も前期比10.2%増となった。おおむね計画どおり好調な結果であった。これら設備工事以外では、三機大和ビルの賃料収入が増加したことなどから、不動産事業の売上高が同10.3%増の1,755百万円となった。
またセグメント別の経常損益は、建築設備事業が6,010百万円の利益(前期比6.2%減)、機械システムが40百万円の損失(前期は138百万円の損失)、環境システムが575百万円の利益(前期比14.3%減)となった。この結果、設備工事全体の経常損益は6,545百万円の利益(同5.7%減)となった。また不動産事業及びその他事業の経常利益は、各々476百万円(同151.7%増)、49百万円(同121.7%増)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は153,443百万円(前期比4.7%増)であった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は前期に比べてオフィスビル関連の大型物件受注が一巡化(減少)したことなどから62,274百万円(同5.3%減)と前期比で減少した。産業空調は大型案件を受注したことなどから58,907百万円(同18.2%増)となった。電気は22,675百万円(同5.1%増)となり、大型案件の受注もあり比較的好調と言える。ファシリティシステムは9,585百万円(同1.4%増)と堅調に推移した。
プラント設備事業では、機械システムの受注高は今期大型案件を獲得したことなどから12,100百万円(同48.8%増)と大幅増となった。一方で環境システムの受注高は、前期比20.8%減の24,247百万円となったが、2017年3月期の水準が大型DBO※案件の受注などで通常より高かったことなどから前期比では減少しているが、2016年3月期の19,610百万円に比べても依然として高い水準であり、懸念される受注状況ではなかった。この結果、プラント設備事業全体の受注高は36,347百万円(同6.2%減)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
大型案件(10億円以上)の受注は、計20件、40,822百万円(前期は15件、40,057百万円、前々期は19件、31,476百万円)であった。建物用途別でみると、工場が6件で1番多く、産業空調の大幅受注増につながっている。
このような状況から、2018年3月期の全受注高は191,113百万円(前期比2.8%増)と堅調に推移し、期末の次期繰越高は144,712百万円(前期末比16.9%増)と高水準を維持した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<MH>