イグニス Research Memo(4):2本目の収益の柱として「with」を伸ばす計画
[18/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
2018年9月期の売上高予想についてイグニス<3689>は、新作ゲーム「メガスマッシュ」の不振(及びサービス停止の決定)のほか、子会社mellowの持分法適用関連会社への移行やVR事業最大プロジェクトのローンチタイミング調整などを理由として減額修正を行った。修正後の売上高予想は前期比21.1%減の4,400百万円(修正幅:△2,600百万円)と見込んでいる。なお、利益予想については、現時点で開示はない。
売上高は、「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が逓減傾向で推移するものの、2本目の収益の柱となってきた「with」(コミュニティ)を大きく伸ばす計画である。一方、子会社mellowの持分法適用関連会社への移行に伴い、「TLUNCH」(その他)による売上高は連結からはずれることに注意が必要である。また、VR事業による業績寄与についても慎重に見ているようだ。
損益面では、引き続き、今後の成長に向けた事業基盤の構築を優先すべきフェーズにあり、継続的な事業投資(テレビCMを視野に入れた広告宣伝費などを含む)を想定しているが、その規模やタイミングについて現時点では合理的な見積りが困難であることから利益予想を開示していない。
売上高予想の達成のためには、下期の売上高1,929百万円(前年同期比29.8%減、上期比21.9%減)が必要となる。これは、仮に「with」が上期と横ばい(上期売上高は726百万円)にとどまったとしても、「ぼくとドラゴン」で1,203百万円(上期売上高は1,545百万円)を確保すれば到達できる水準である。弊社では、「with」が足元で順調に伸びていることや、逓減傾向にある「ぼくとドラゴン」も急速に落ち込む可能性が少ないことから、修正後の売上高予想は最低ラインとみている。また、VR事業についても、「INSPIX」を活用したIP創出プロジェクト(第1弾)によるマネタイズ(例えば、音楽やグッズ販売など)が想定よりも早く開始されることになれば、業績の上振れ要因となる可能性も否定できない。一方、損益面については、「with」が単月黒字化したことはプラスの材料と言える。ただ、新作ゲームにかかる開発費用が一巡したものの、その分の人的リソースは他のプロジェクト(ゲーム事業やVR事業等)へシフトされる予定であるため、費用は高水準のままで推移するものと考えられる。また、勝負どころとなっている「with」やVR事業等への戦略投資の可能性についても念頭に置く必要があるだろう。
■今後の方向性
イグニス<3689>は、前期(2017年9月期)より、2020年9月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、ミッションである「次のあたりまえを創る。何度でも」に基づき、「創造力と技術力が高い次元で融合した組織」を目指すことを基本方針としている。既存3事業である「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他」について、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに「ライフハック」「VR」「新規(現時点で詳細は未定)」等の複数の事業を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。また、事業ポートフォリオの充実を図ることにより、キャッシュフローのエコシステムを創り出すとともに、様々な環境変化にも対応できる事業構造へと進化を図る。「ぼくとドラゴン」を中心とした「ネイティブゲーム」依存から脱却しつつ、「with」などストック型事業により強固な事業基盤を確立する一方、爆発力のある新規プロダクトによる成長加速を目指す。
最終年度である2020年9月期の目標として、売上高150億円、営業利益60億円(営業利益率40%)を掲げている。特に、市場が拡大している「with」とVR事業(海外展開を含めたIP創出によるマネタイズ)を大きく伸ばす計画となっているようだ。
■株主還元
配当による株主還元はしばらく見送りとなる公算
同社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実を図ることが重要であると考え、過去において配当の実績はない。2018年9月期も無配を予定している。弊社では、これから本格的な成長ステージに入っていくとする同社の成長戦略から見て、配当による株主還元はしばらく見送られる公算が大きいとみている。
なお、投資しやすい環境の整備、投資家層の拡大、流動性の向上等を目的として、2017年11月30日を基準日、効力発生日を2017年12月1日とする株式分割(1:2)を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<TN>
2018年9月期の売上高予想についてイグニス<3689>は、新作ゲーム「メガスマッシュ」の不振(及びサービス停止の決定)のほか、子会社mellowの持分法適用関連会社への移行やVR事業最大プロジェクトのローンチタイミング調整などを理由として減額修正を行った。修正後の売上高予想は前期比21.1%減の4,400百万円(修正幅:△2,600百万円)と見込んでいる。なお、利益予想については、現時点で開示はない。
売上高は、「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が逓減傾向で推移するものの、2本目の収益の柱となってきた「with」(コミュニティ)を大きく伸ばす計画である。一方、子会社mellowの持分法適用関連会社への移行に伴い、「TLUNCH」(その他)による売上高は連結からはずれることに注意が必要である。また、VR事業による業績寄与についても慎重に見ているようだ。
損益面では、引き続き、今後の成長に向けた事業基盤の構築を優先すべきフェーズにあり、継続的な事業投資(テレビCMを視野に入れた広告宣伝費などを含む)を想定しているが、その規模やタイミングについて現時点では合理的な見積りが困難であることから利益予想を開示していない。
売上高予想の達成のためには、下期の売上高1,929百万円(前年同期比29.8%減、上期比21.9%減)が必要となる。これは、仮に「with」が上期と横ばい(上期売上高は726百万円)にとどまったとしても、「ぼくとドラゴン」で1,203百万円(上期売上高は1,545百万円)を確保すれば到達できる水準である。弊社では、「with」が足元で順調に伸びていることや、逓減傾向にある「ぼくとドラゴン」も急速に落ち込む可能性が少ないことから、修正後の売上高予想は最低ラインとみている。また、VR事業についても、「INSPIX」を活用したIP創出プロジェクト(第1弾)によるマネタイズ(例えば、音楽やグッズ販売など)が想定よりも早く開始されることになれば、業績の上振れ要因となる可能性も否定できない。一方、損益面については、「with」が単月黒字化したことはプラスの材料と言える。ただ、新作ゲームにかかる開発費用が一巡したものの、その分の人的リソースは他のプロジェクト(ゲーム事業やVR事業等)へシフトされる予定であるため、費用は高水準のままで推移するものと考えられる。また、勝負どころとなっている「with」やVR事業等への戦略投資の可能性についても念頭に置く必要があるだろう。
■今後の方向性
イグニス<3689>は、前期(2017年9月期)より、2020年9月期を最終年度とする中期経営計画を推進しており、ミッションである「次のあたりまえを創る。何度でも」に基づき、「創造力と技術力が高い次元で融合した組織」を目指すことを基本方針としている。既存3事業である「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他」について、それぞれの維持・強化を図る一方、新たに「ライフハック」「VR」「新規(現時点で詳細は未定)」等の複数の事業を順次立ち上げ、2020年にはすべて収益事業化することを目指している。また、事業ポートフォリオの充実を図ることにより、キャッシュフローのエコシステムを創り出すとともに、様々な環境変化にも対応できる事業構造へと進化を図る。「ぼくとドラゴン」を中心とした「ネイティブゲーム」依存から脱却しつつ、「with」などストック型事業により強固な事業基盤を確立する一方、爆発力のある新規プロダクトによる成長加速を目指す。
最終年度である2020年9月期の目標として、売上高150億円、営業利益60億円(営業利益率40%)を掲げている。特に、市場が拡大している「with」とVR事業(海外展開を含めたIP創出によるマネタイズ)を大きく伸ばす計画となっているようだ。
■株主還元
配当による株主還元はしばらく見送りとなる公算
同社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実を図ることが重要であると考え、過去において配当の実績はない。2018年9月期も無配を予定している。弊社では、これから本格的な成長ステージに入っていくとする同社の成長戦略から見て、配当による株主還元はしばらく見送られる公算が大きいとみている。
なお、投資しやすい環境の整備、投資家層の拡大、流動性の向上等を目的として、2017年11月30日を基準日、効力発生日を2017年12月1日とする株式分割(1:2)を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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