藤商事 Research Memo(4):2019年3月期はヒットタイトル・新ジャンルの創出に注力
[18/06/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2019年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2019年3月期の業績は、売上高が前期比27.4%減の38,000百万円、営業利益が同55.6%減の2,000百万円、経常利益が同52.8%減の2,000百万円、当期純利益が同48.5%減の1,300百万円を見込んでいる。新規則機への移行による市場への影響が見通しにくいなかで、2019年3月期はヒットタイトルや新ジャンル創出に向けた足場固めの1年と位置付けている。
パチンコ機に関しては旧規則機・新規則機合わせて5〜6機種を第2四半期以降に投入していく計画で、販売台数は前期比13.2%減の9.55万台を見込んでいる。新規則機に関しては販売実績のあるシリーズ機種(ホラー系、時代劇系、萌え系など)の投入を予定しており、新規則ならではの仕様や専用サイドユニットを使ったギミックなどの演出、ゲーム性を高めた機種を投入する予定である。
一方、パチスロ機の販売台数は前期比28.9%減の1.45万台を見込んでいる。第1四半期では販売機種の内訳としては「パチスロ FAIRY TAIL」(2018年45月発売)、「パチスロ 貞子VS伽椰子」(同年56月発売)、「パチスロ 美(チュ)ラメキ!(同年7月上旬発売予定)」の3機種である。「パチスロ FAIRY TAIL」は人気コミックをモチーフに開発した機種で、筐体上部へと液晶画面がのせり上がることにより液晶画面がを2倍に拡大、迫力の映像を映し出すギミックを業界で初めて導入している。ホールでの評価も高く、高稼働となっているようだ。また、同社では今後の市場動向をにらみながら新規則機を適時投入していくことも視野に入れている。
パチンコ・パチスロ機合計の販売台数は前期比15.7%減の11.0万台となる見込みで、販売台数の減少により売上高の減収率が大きくなるが、2019年3月期はパチンコ機においてパネル販売比率が高くなることが要因となっている。このため、売上総利益率は前期比で4.3ポイント上昇する。販管費の増減項目を見ると、研究開発費が前期比1,257百万円減の8,900百万円となるほか、販売手数料が同454百万円減、広告宣伝費が同14百万円減、その他経費が同464百万円減と全体的に減少する見込みとなっている。研究開発費については前述したとおり、設計段階からの見直しによる効果が引き続き期待できる。
なお、2019年3月期については市場動向が流動的で、機動的に開発機種を投入していく方針となっていることもあり、第2四半期累計の計画は発表していない。
開発力および利益体質の強化に継続的に取り組み、市場シェアの拡大を目指す
2. 成長戦略
同社は「変わる挑戦」をテーマとして、開発力および利益体質の強化について、2019年3月期も重点施策として継続的に取り組んでいく方針となっている。
(1) 開発力の強化
開発力の強化では、投入機種の長期稼働の実現、パチンコ・パチスロタイアップ戦略、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用、差別化された商品性の実現をテーマに今までになかったものづくりに取り組んでいる。長期稼働の実現に関しては、投入した機種の多くが会社目標の稼働週数を達成し、また、パチンコ・パチスロのタイアップ戦略も「リング」や「地獄少女」などのパチスロ市場への投入で一定の評価を獲得している。このため、今後も有力タイトルでのタイアップ戦略を継続していくものと予想される。
また、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用については従来から同社の得意とするところであったが、今回の規則改正により射幸性が一段と抑えられるなかで、今後は演出力などによっていかに楽しめる機種を開発できるかが差別化要因となってくる。パチンコ機での大当たり確率の設定機能を生かしたゲーム性や独創的な役物、サイドユニットなどを使った娯楽性の高い機種の開発が期待される。
(2) 利益体質の強化
利益体質の強化では、損益分岐点台数の低減を目標に開発から営業まですべての工程においてコスト低減に取り組んでいる。開発工程では内製化率の向上や、開発プロセスの効率化、仕様の見直しを行うことで1機種当たりの開発コスト削減を目指している。具体的には、部品や金型の共通化による設計段階からのパネル原価の低減や映像コンテンツの制作コスト低減などに取り組んでおり、まだ改善余地があると見ている。
部材調達では、発注数量の最適化や新規リユース部品の採用、複数回リユース部品の拡充、リユース対象機種の拡充と調達力の強化に取り組んでいる。特に、ホールからのリユース対象機種の回収率向上や、調達ルートの見直しも含めて今後の検討課題となっている。同社はこれらの取り組みを進めていくことで、材料費率を現状からさらに2〜4ポイント引き下げることが可能と見ている。
生産面では2017年夏にパチスロ機専用の新工場を稼働させており、新生産ラインによる生産効率向上が見込まれる。同工場では部材の自動搬入システムを導入するなど生産ラインのオートメーション化を進めており、人員を増やさずに生産能力を従来の日産400台から1,500台と3倍以上に拡大している。能力が拡大したことで急激な受注変動にも対応できる体制が整備されたことになる。
同社ではこれらの取組みにより、売上総利益率は50%程度まで引き上げていくことを目指している。また、競争力のあるパチンコ・パチスロ機を開発していくことで、パチンコ機については市場シェアで10%を当面の目標としていく。一方、パチスロ機に関しては稼働力を備えた機種を投入して市場評価を高めることにより1機種あたりの販売台数を増やし、販売シェアを拡大していく戦略となっている。
(3)デジタルコンテンツ事業の取り組み状況
同社は新たな収益源の創出に向けて、スマートフォン用ゲームアプリの市場に本格参入した。2016年3月に美少女系の本格対戦RPG「マギアコネクト」、同年7月に麻雀バトルゲーム「アドヴェントガール」をテストマーケティングも兼ねて配信し、運営ノウハウが蓄積できたことから、本格的な事業展開を進めていくこととした。
タイトル名は「23/7トゥエンティ スリー セブン」で完全オリジナルのファンタジーRPGゲームとなる。2018年3月に配信を開始し、約1ヶ月間で100万ダウンロードを達成している。今後も継続的なイベントやプロモーションを実施しながら、さらなるユーザーの獲得と定着に取り組んでいく方針となっている。
パチンコ・パチスロ機メーカーでゲームコンテンツを開発しているのは、現状ではセガサミーホールディングス<6460>やフィールズ<2767>など一部に限られているがゲームアプリでヒット作がでれば、パチンコ・パチスロ機へ転用していくことも考えられるだけに、今後の動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
1. 2019年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2019年3月期の業績は、売上高が前期比27.4%減の38,000百万円、営業利益が同55.6%減の2,000百万円、経常利益が同52.8%減の2,000百万円、当期純利益が同48.5%減の1,300百万円を見込んでいる。新規則機への移行による市場への影響が見通しにくいなかで、2019年3月期はヒットタイトルや新ジャンル創出に向けた足場固めの1年と位置付けている。
パチンコ機に関しては旧規則機・新規則機合わせて5〜6機種を第2四半期以降に投入していく計画で、販売台数は前期比13.2%減の9.55万台を見込んでいる。新規則機に関しては販売実績のあるシリーズ機種(ホラー系、時代劇系、萌え系など)の投入を予定しており、新規則ならではの仕様や専用サイドユニットを使ったギミックなどの演出、ゲーム性を高めた機種を投入する予定である。
一方、パチスロ機の販売台数は前期比28.9%減の1.45万台を見込んでいる。第1四半期では販売機種の内訳としては「パチスロ FAIRY TAIL」(2018年45月発売)、「パチスロ 貞子VS伽椰子」(同年56月発売)、「パチスロ 美(チュ)ラメキ!(同年7月上旬発売予定)」の3機種である。「パチスロ FAIRY TAIL」は人気コミックをモチーフに開発した機種で、筐体上部へと液晶画面がのせり上がることにより液晶画面がを2倍に拡大、迫力の映像を映し出すギミックを業界で初めて導入している。ホールでの評価も高く、高稼働となっているようだ。また、同社では今後の市場動向をにらみながら新規則機を適時投入していくことも視野に入れている。
パチンコ・パチスロ機合計の販売台数は前期比15.7%減の11.0万台となる見込みで、販売台数の減少により売上高の減収率が大きくなるが、2019年3月期はパチンコ機においてパネル販売比率が高くなることが要因となっている。このため、売上総利益率は前期比で4.3ポイント上昇する。販管費の増減項目を見ると、研究開発費が前期比1,257百万円減の8,900百万円となるほか、販売手数料が同454百万円減、広告宣伝費が同14百万円減、その他経費が同464百万円減と全体的に減少する見込みとなっている。研究開発費については前述したとおり、設計段階からの見直しによる効果が引き続き期待できる。
なお、2019年3月期については市場動向が流動的で、機動的に開発機種を投入していく方針となっていることもあり、第2四半期累計の計画は発表していない。
開発力および利益体質の強化に継続的に取り組み、市場シェアの拡大を目指す
2. 成長戦略
同社は「変わる挑戦」をテーマとして、開発力および利益体質の強化について、2019年3月期も重点施策として継続的に取り組んでいく方針となっている。
(1) 開発力の強化
開発力の強化では、投入機種の長期稼働の実現、パチンコ・パチスロタイアップ戦略、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用、差別化された商品性の実現をテーマに今までになかったものづくりに取り組んでいる。長期稼働の実現に関しては、投入した機種の多くが会社目標の稼働週数を達成し、また、パチンコ・パチスロのタイアップ戦略も「リング」や「地獄少女」などのパチスロ市場への投入で一定の評価を獲得している。このため、今後も有力タイトルでのタイアップ戦略を継続していくものと予想される。
また、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用については従来から同社の得意とするところであったが、今回の規則改正により射幸性が一段と抑えられるなかで、今後は演出力などによっていかに楽しめる機種を開発できるかが差別化要因となってくる。パチンコ機での大当たり確率の設定機能を生かしたゲーム性や独創的な役物、サイドユニットなどを使った娯楽性の高い機種の開発が期待される。
(2) 利益体質の強化
利益体質の強化では、損益分岐点台数の低減を目標に開発から営業まですべての工程においてコスト低減に取り組んでいる。開発工程では内製化率の向上や、開発プロセスの効率化、仕様の見直しを行うことで1機種当たりの開発コスト削減を目指している。具体的には、部品や金型の共通化による設計段階からのパネル原価の低減や映像コンテンツの制作コスト低減などに取り組んでおり、まだ改善余地があると見ている。
部材調達では、発注数量の最適化や新規リユース部品の採用、複数回リユース部品の拡充、リユース対象機種の拡充と調達力の強化に取り組んでいる。特に、ホールからのリユース対象機種の回収率向上や、調達ルートの見直しも含めて今後の検討課題となっている。同社はこれらの取り組みを進めていくことで、材料費率を現状からさらに2〜4ポイント引き下げることが可能と見ている。
生産面では2017年夏にパチスロ機専用の新工場を稼働させており、新生産ラインによる生産効率向上が見込まれる。同工場では部材の自動搬入システムを導入するなど生産ラインのオートメーション化を進めており、人員を増やさずに生産能力を従来の日産400台から1,500台と3倍以上に拡大している。能力が拡大したことで急激な受注変動にも対応できる体制が整備されたことになる。
同社ではこれらの取組みにより、売上総利益率は50%程度まで引き上げていくことを目指している。また、競争力のあるパチンコ・パチスロ機を開発していくことで、パチンコ機については市場シェアで10%を当面の目標としていく。一方、パチスロ機に関しては稼働力を備えた機種を投入して市場評価を高めることにより1機種あたりの販売台数を増やし、販売シェアを拡大していく戦略となっている。
(3)デジタルコンテンツ事業の取り組み状況
同社は新たな収益源の創出に向けて、スマートフォン用ゲームアプリの市場に本格参入した。2016年3月に美少女系の本格対戦RPG「マギアコネクト」、同年7月に麻雀バトルゲーム「アドヴェントガール」をテストマーケティングも兼ねて配信し、運営ノウハウが蓄積できたことから、本格的な事業展開を進めていくこととした。
タイトル名は「23/7トゥエンティ スリー セブン」で完全オリジナルのファンタジーRPGゲームとなる。2018年3月に配信を開始し、約1ヶ月間で100万ダウンロードを達成している。今後も継続的なイベントやプロモーションを実施しながら、さらなるユーザーの獲得と定着に取り組んでいく方針となっている。
パチンコ・パチスロ機メーカーでゲームコンテンツを開発しているのは、現状ではセガサミーホールディングス<6460>やフィールズ<2767>など一部に限られているがゲームアプリでヒット作がでれば、パチンコ・パチスロ機へ転用していくことも考えられるだけに、今後の動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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