ピクセラ Research Memo(2):映像技術領域のソフトウェア開発力を生かした製品・サービス事業を展開
[18/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
ピクセラ<6731>は、1982年6月に株式会社堺システム開発として設立され、PC周辺機器にかかるハードウェア・ソフトウェア製品の受託開発から事業を開始した。1990年10月にMacintoshの周辺機器製品を発売後、自社開発製品をリテール向けにも展開している。同社は、映像技術領域(放送、画像、通信等)のソフトウェアにおける開発力と長年の開発ノウハウを有し、アプリケーションレイヤーだけでなく物理レイヤー(ハードウェア)にも強く、チップベンダー等が提供する開発キットに頼らない商品企画や、ハードウェアの性能を生かしたソフトウェア開発を強みとしている。
1997年10月、同社製品の販売を行っていた(株)ピクセラの営業の全部及び商号を譲り受け、株式会社ピクセラに商号変更。2002年12月に東証マザーズへの株式上場を果たし、2004年9月には東証1部へ市場変更した。当時の主力製品は、PC向けテレビキャプチャーボードとデジタルカメラ・ビデオカメラ向け画像編集関連ソフトウェアで、PCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの拡大や、デジタルカメラ・ビデオカメラの普及拡大に伴って業績を伸ばし、主要なPCメーカーやデジタルカメラ・ビデオカメラメーカーのほとんどに採用されていた。また、2003年12月に開始された地上デジタルテレビ放送に対応したテレビやチューナーも販売し、業績を拡大した。
その後、過去最高の売上高を計上した2011年9月期での営業黒字を最後に、コンシューマ向けPCの出荷台数の減少及びPCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの縮小、携帯電話のカメラ性能向上やスマートフォンの普及拡大に伴うデジタルカメラ・ビデオカメラの出荷台数減少、需要一巡後の地上デジタルテレビの市場縮小により、業績が下降線をたどり、2012年9月期以降、通期での営業損失を計上するに至った。2014年9月期には債務超過となり、2015年2月に東証1部から東証2部へ指定替えとなった。2014年12月及び2015年8月に行われた第三者割当増資により、2015年9月期に債務超過を解消したが、2016年9月期まで5期連続で営業損失を計上した。
2016年9月期まで5期連続となる通期での営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているが、当該状況を解消するため、新規事業の早期収益化、コスト削減の継続を実施してきたことから、2017年9月期に黒字転換し、また新株予約権の行使により資金調達したことで財務基盤の一定の安定化が図られたことから、2017年9月期においては継続企業の前提に関する注記記載を解消した。
2. 事業概要
同社は、2017年9月期まで、AV関連事業、光触媒関連事業の2つを報告セグメントとしていたが、2017年10月に光触媒関連事業から撤退し、AV関連事業のみとなったため、セグメント開示は行っていない。AV関連事業は、2015年9月期までホームAV事業、パソコン関連事業、AVソフトウェア事業の3つの報告セグメントに分かれていたが、2016年9月期以降AV関連事業に統合された。
同社は従前より、液晶テレビやデジタルチューナー等のデジタルAV家電及び関連製品、組込部材等の開発・製造・販売(2015年9月期以前の報告セグメントでは、ホームAV事業)、テレビキャプチャー及び関連製品の開発・製造・販売(同報告セグメントでは、パソコン関連事業)、デジタルビデオカメラ向け画像編集アプリケーションソフトウェアの開発・販売(同報告セグメントでは、AVソフトウェア事業)を行っている。PC向けテレビ受信機やモバイル向けテレビ受信機においては、同社製品が市場のトップシェアを占めている。テレビ視聴に関するソフトウェアは自社製品に活用するほか、組込ソフトウェア、SDK(ソフトウェア開発キット)、バンドル(同梱)ソフトウェアとして他社向けにも販売し、受託開発またはロイヤルティの形態で受注している。また、新分野として2016年9月期よりIoT事業を開始し、新ブランド「Conte」を立ち上げ、ハードウェア製品の販売にとどまらず、サービス・通信事業を展開している。これらAV関連事業の2017年9月期の売上高は2,403百万円で、全社売上高の99.1%を占めていた。販売先上位は、ソフトバンク(株)、富士通<6702>、及び卸売先であるソフトバンクコマース&サービス(株)で、2017年9月期においては、上位3社に対する売上高が全社売上高の54.5%を占めている。
2017年9月期末における連結子会社は(株)RfStreamの1社のみで、半導体、電子機器用部品等の製造販売事業を行っているが、債務超過となっており、従業員数は1名であることから、連結業績に及ぼす影響はほとんどない。
2018年5月17日に、A-Stageの全発行済株式を取得し、連結子会社とした。A-Stageは、冷蔵庫、掃除機、テレビ等の家電製品を企画製造し、大手家電量販店の一部や楽天市場等のECサイトで販売しており、2018年3月期の年商は20億円で、直近では月商2億円ペースで推移している。同社は本件買収の狙いを、A-Stageの企画力を活用した同社製品のブランド力向上及び販売力強化としている。特に、同社は従来、技術ドリブンでの製品開発を強みとしていたが、A-Stageは市場ニーズを捉えた製品開発に強みを持っており、製品企画において相互に補完し合える関係にあるとのことである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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1. 会社沿革
ピクセラ<6731>は、1982年6月に株式会社堺システム開発として設立され、PC周辺機器にかかるハードウェア・ソフトウェア製品の受託開発から事業を開始した。1990年10月にMacintoshの周辺機器製品を発売後、自社開発製品をリテール向けにも展開している。同社は、映像技術領域(放送、画像、通信等)のソフトウェアにおける開発力と長年の開発ノウハウを有し、アプリケーションレイヤーだけでなく物理レイヤー(ハードウェア)にも強く、チップベンダー等が提供する開発キットに頼らない商品企画や、ハードウェアの性能を生かしたソフトウェア開発を強みとしている。
1997年10月、同社製品の販売を行っていた(株)ピクセラの営業の全部及び商号を譲り受け、株式会社ピクセラに商号変更。2002年12月に東証マザーズへの株式上場を果たし、2004年9月には東証1部へ市場変更した。当時の主力製品は、PC向けテレビキャプチャーボードとデジタルカメラ・ビデオカメラ向け画像編集関連ソフトウェアで、PCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの拡大や、デジタルカメラ・ビデオカメラの普及拡大に伴って業績を伸ばし、主要なPCメーカーやデジタルカメラ・ビデオカメラメーカーのほとんどに採用されていた。また、2003年12月に開始された地上デジタルテレビ放送に対応したテレビやチューナーも販売し、業績を拡大した。
その後、過去最高の売上高を計上した2011年9月期での営業黒字を最後に、コンシューマ向けPCの出荷台数の減少及びPCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの縮小、携帯電話のカメラ性能向上やスマートフォンの普及拡大に伴うデジタルカメラ・ビデオカメラの出荷台数減少、需要一巡後の地上デジタルテレビの市場縮小により、業績が下降線をたどり、2012年9月期以降、通期での営業損失を計上するに至った。2014年9月期には債務超過となり、2015年2月に東証1部から東証2部へ指定替えとなった。2014年12月及び2015年8月に行われた第三者割当増資により、2015年9月期に債務超過を解消したが、2016年9月期まで5期連続で営業損失を計上した。
2016年9月期まで5期連続となる通期での営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しているが、当該状況を解消するため、新規事業の早期収益化、コスト削減の継続を実施してきたことから、2017年9月期に黒字転換し、また新株予約権の行使により資金調達したことで財務基盤の一定の安定化が図られたことから、2017年9月期においては継続企業の前提に関する注記記載を解消した。
2. 事業概要
同社は、2017年9月期まで、AV関連事業、光触媒関連事業の2つを報告セグメントとしていたが、2017年10月に光触媒関連事業から撤退し、AV関連事業のみとなったため、セグメント開示は行っていない。AV関連事業は、2015年9月期までホームAV事業、パソコン関連事業、AVソフトウェア事業の3つの報告セグメントに分かれていたが、2016年9月期以降AV関連事業に統合された。
同社は従前より、液晶テレビやデジタルチューナー等のデジタルAV家電及び関連製品、組込部材等の開発・製造・販売(2015年9月期以前の報告セグメントでは、ホームAV事業)、テレビキャプチャー及び関連製品の開発・製造・販売(同報告セグメントでは、パソコン関連事業)、デジタルビデオカメラ向け画像編集アプリケーションソフトウェアの開発・販売(同報告セグメントでは、AVソフトウェア事業)を行っている。PC向けテレビ受信機やモバイル向けテレビ受信機においては、同社製品が市場のトップシェアを占めている。テレビ視聴に関するソフトウェアは自社製品に活用するほか、組込ソフトウェア、SDK(ソフトウェア開発キット)、バンドル(同梱)ソフトウェアとして他社向けにも販売し、受託開発またはロイヤルティの形態で受注している。また、新分野として2016年9月期よりIoT事業を開始し、新ブランド「Conte」を立ち上げ、ハードウェア製品の販売にとどまらず、サービス・通信事業を展開している。これらAV関連事業の2017年9月期の売上高は2,403百万円で、全社売上高の99.1%を占めていた。販売先上位は、ソフトバンク(株)、富士通<6702>、及び卸売先であるソフトバンクコマース&サービス(株)で、2017年9月期においては、上位3社に対する売上高が全社売上高の54.5%を占めている。
2017年9月期末における連結子会社は(株)RfStreamの1社のみで、半導体、電子機器用部品等の製造販売事業を行っているが、債務超過となっており、従業員数は1名であることから、連結業績に及ぼす影響はほとんどない。
2018年5月17日に、A-Stageの全発行済株式を取得し、連結子会社とした。A-Stageは、冷蔵庫、掃除機、テレビ等の家電製品を企画製造し、大手家電量販店の一部や楽天市場等のECサイトで販売しており、2018年3月期の年商は20億円で、直近では月商2億円ペースで推移している。同社は本件買収の狙いを、A-Stageの企画力を活用した同社製品のブランド力向上及び販売力強化としている。特に、同社は従来、技術ドリブンでの製品開発を強みとしていたが、A-Stageは市場ニーズを捉えた製品開発に強みを持っており、製品企画において相互に補完し合える関係にあるとのことである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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