ピクセラ Research Memo(3):2018年9月期第2四半期は赤字計上。下期での挽回とM&Aの寄与に期待
[18/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2017年9月期通期業績
ピクセラ<6731>の2017年9月期通期(2016年10月−2017年9月)の決算は、売上高が前期比27.5%増の2,423百万円、営業利益が19百万円(前期は393百万円の営業損失)、経常利益が18百万円(前期は453百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が7百万円(前期は481百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。前期比での増収に加え、売上総利益率が前期の23.3%から33.2%へと大幅に改善し、販管費が前期比で6.1%減少したこともあり、2011年9月期(2010年10月−2011年9月)以来の通期黒字を計上した。
従来の主力であった大手事業者向けワイヤレスチューナーに代わる製品となる4K映像対応STBの開発を新たに受注し、全社業績における増収とともに売上総利益率の向上に大きく寄与した。離れた場所から家の監視や家族の見守りを手軽に導入できるサービスとして2016年9月期に開始した「Conteホームサービス」は、住宅関連メーカーや民泊事業者等からの受託開発案件が増加した。2016年9月期に販売を開始したSIMフリー対応のLTE対応USBドングルも好調に推移し、収益改善に貢献した。
2. 2018年9月期第2四半期決算
2018年9月期第2四半期(2017年10月−2018年3月)の決算は、売上高が前年同期比42.0%減の705百万円、営業損失が515百万円(前年同期は42百万円の営業利益)、経常損失が540百万円(前年同期は30百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が555百万円(前年同期は14百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)と大幅な減収減益となった。第2四半期の業績予想は開示していなかったが、期首に想定した範囲内であるもようで、第2四半期の売上高の通期業績予想に対する進捗率は20%にとどまっているものの、決算発表時点では通期業績予想は据え置かれている。
前期の黒字転換に大きく寄与した4K映像対応STB及び関連製品は、2017年10月にSTBの出荷が開始されたものの、大手事業者向け製品の製品開発期間の延伸と量産開始時期の遅れ、及びそれに伴う開発コストの増加に加え、当期末投入予定の新4K8K衛星放送に対応した製品の先行開発に伴うコストの増加があり、全社業績の大幅な減収減益の主な要因となった。
PC向けテレビキャプチャー関連製品及びビデオカメラ向け画像編集アプリケーションは、ともに市場縮小が続き減収となった。
一方、新規事業分野であるIoT関連分野、AR/VR分野は、Conteホームサービス等の受託開発の案件増加や、SIMフリー対応のLTE対応USBドングルの販売が増加し、増収となった。また、「Xit(サイト)」という一新されたブランドで販売しているモバイル向けチューナー関連製品も増収となった。これらの製品及びサービスの売上は期首の想定どおり進捗しているとのことであるが、全社業績の前年同期比減収率が42.0%であることからして、全社収益への貢献度はまだ限定的なものと考えられる。
純資産は、新株予約権の行使により486百万円の株式発行があったものの、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、前期末比50百万円減少し、2,542百万円となった。一方で、総資産が同188百万円減少したことにより、自己資本比率は前期末の82.3%から85.2%へ改善した。流動資産は、受取手形及び売掛金、並びに電子記録債権が同423百万円減少したこと等により、同203百万円減少した。固定資産は、投資その他の資産が同20百万円増加したこと等により、同13百万円増加した。流動負債は、支払手形及び買掛金の同122百万円減少等により、同138百万円減少した。
2018年9月期第2四半期のキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純損失551百万円の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローが338百万円の支出、定期預金の預入30百万円、有形固定資産の取得28百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローが90百万円の支出となった一方、新株予約権の行使に伴う株式発行による収入481百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローが496百万円の収入となった。
同社は、2017年9月期において営業活動によるキャッシュ・フローが4期連続でマイナスとなっており、2018年9月期第2四半期も営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が引き続き存在している。一方で、財務基盤の安定性は確保されているため、同社は継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。
3. 2018年9月期通期業績予想
2018年9月期通期業績の会社予想は、売上高が前期比44.9%増の3,512百万円となっている。増収の主な要因としては、4K映像対応STB及びテレビの販売開始が挙げられている。通期利益予想は、量産化に伴う初期費用や一般顧客向け市場開拓のための販売促進・広告宣伝等の費用負担が見込まれ、営業利益は同200.0%増の57百万円、経常利益は同50.0%増の27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同100.0%増の14百万円としている。
4K映像対応STBの本格出荷は、当初より下期(2018年4月−9月)に予定されている。Google(グーグル)が提供するプラットフォームであるAndroidTVを搭載したSTB「PIXELA Smart Box(KSTB5043)」を2017年10月に発売し、スマートホームハブ向け新ブランド「PIXELA」の第1弾製品となる24型液晶テレビ、第2弾製品となる4K液晶ディスプレイ2機種、STBに接続するハードディスクレコーダーを、いずれも2018年3月に発売したが、これらの製品によって一般コンシューマからの売上げを拡大するには時間を要するため、今期の4K映像対応STB及び関連製品の売上は、大手事業者向け製品の出荷にかかっている。
Conteホームサービスは、楽天コミュニケーションズ(株)が提供する民泊運営支援サービス「あんしんステイIoT」の「IoTプラットフォーム」部分で採用されたことが、2018年4月に発表された。IoTプラットフォームは2017年7月に同社が開発を受注したもので、今回の採用により、今後はライセンス収入と保守サービス収入が期待される。
2018年5月17日に、A-Stageを買収して連結子会社した。A-Stageの2018年3月末の純資産は851百万円、同社による株式取得総額が900百万円であることから、本件買収に伴うのれんは約50百万円と推定され、今後発生する毎期ののれん償却額は抑えられていると言える。通期業績予想に与える影響等は精査中であるが、A-Stageの2018年3月期の年商は20億円で、直近では月商2億円ペースで推移していることからして、通期業績予想は修正される可能性が高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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1. 2017年9月期通期業績
ピクセラ<6731>の2017年9月期通期(2016年10月−2017年9月)の決算は、売上高が前期比27.5%増の2,423百万円、営業利益が19百万円(前期は393百万円の営業損失)、経常利益が18百万円(前期は453百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が7百万円(前期は481百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。前期比での増収に加え、売上総利益率が前期の23.3%から33.2%へと大幅に改善し、販管費が前期比で6.1%減少したこともあり、2011年9月期(2010年10月−2011年9月)以来の通期黒字を計上した。
従来の主力であった大手事業者向けワイヤレスチューナーに代わる製品となる4K映像対応STBの開発を新たに受注し、全社業績における増収とともに売上総利益率の向上に大きく寄与した。離れた場所から家の監視や家族の見守りを手軽に導入できるサービスとして2016年9月期に開始した「Conteホームサービス」は、住宅関連メーカーや民泊事業者等からの受託開発案件が増加した。2016年9月期に販売を開始したSIMフリー対応のLTE対応USBドングルも好調に推移し、収益改善に貢献した。
2. 2018年9月期第2四半期決算
2018年9月期第2四半期(2017年10月−2018年3月)の決算は、売上高が前年同期比42.0%減の705百万円、営業損失が515百万円(前年同期は42百万円の営業利益)、経常損失が540百万円(前年同期は30百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が555百万円(前年同期は14百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)と大幅な減収減益となった。第2四半期の業績予想は開示していなかったが、期首に想定した範囲内であるもようで、第2四半期の売上高の通期業績予想に対する進捗率は20%にとどまっているものの、決算発表時点では通期業績予想は据え置かれている。
前期の黒字転換に大きく寄与した4K映像対応STB及び関連製品は、2017年10月にSTBの出荷が開始されたものの、大手事業者向け製品の製品開発期間の延伸と量産開始時期の遅れ、及びそれに伴う開発コストの増加に加え、当期末投入予定の新4K8K衛星放送に対応した製品の先行開発に伴うコストの増加があり、全社業績の大幅な減収減益の主な要因となった。
PC向けテレビキャプチャー関連製品及びビデオカメラ向け画像編集アプリケーションは、ともに市場縮小が続き減収となった。
一方、新規事業分野であるIoT関連分野、AR/VR分野は、Conteホームサービス等の受託開発の案件増加や、SIMフリー対応のLTE対応USBドングルの販売が増加し、増収となった。また、「Xit(サイト)」という一新されたブランドで販売しているモバイル向けチューナー関連製品も増収となった。これらの製品及びサービスの売上は期首の想定どおり進捗しているとのことであるが、全社業績の前年同期比減収率が42.0%であることからして、全社収益への貢献度はまだ限定的なものと考えられる。
純資産は、新株予約権の行使により486百万円の株式発行があったものの、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により、前期末比50百万円減少し、2,542百万円となった。一方で、総資産が同188百万円減少したことにより、自己資本比率は前期末の82.3%から85.2%へ改善した。流動資産は、受取手形及び売掛金、並びに電子記録債権が同423百万円減少したこと等により、同203百万円減少した。固定資産は、投資その他の資産が同20百万円増加したこと等により、同13百万円増加した。流動負債は、支払手形及び買掛金の同122百万円減少等により、同138百万円減少した。
2018年9月期第2四半期のキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純損失551百万円の計上等により、営業活動によるキャッシュ・フローが338百万円の支出、定期預金の預入30百万円、有形固定資産の取得28百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローが90百万円の支出となった一方、新株予約権の行使に伴う株式発行による収入481百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローが496百万円の収入となった。
同社は、2017年9月期において営業活動によるキャッシュ・フローが4期連続でマイナスとなっており、2018年9月期第2四半期も営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が引き続き存在している。一方で、財務基盤の安定性は確保されているため、同社は継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。
3. 2018年9月期通期業績予想
2018年9月期通期業績の会社予想は、売上高が前期比44.9%増の3,512百万円となっている。増収の主な要因としては、4K映像対応STB及びテレビの販売開始が挙げられている。通期利益予想は、量産化に伴う初期費用や一般顧客向け市場開拓のための販売促進・広告宣伝等の費用負担が見込まれ、営業利益は同200.0%増の57百万円、経常利益は同50.0%増の27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同100.0%増の14百万円としている。
4K映像対応STBの本格出荷は、当初より下期(2018年4月−9月)に予定されている。Google(グーグル
Conteホームサービスは、楽天コミュニケーションズ(株)が提供する民泊運営支援サービス「あんしんステイIoT」の「IoTプラットフォーム」部分で採用されたことが、2018年4月に発表された。IoTプラットフォームは2017年7月に同社が開発を受注したもので、今回の採用により、今後はライセンス収入と保守サービス収入が期待される。
2018年5月17日に、A-Stageを買収して連結子会社した。A-Stageの2018年3月末の純資産は851百万円、同社による株式取得総額が900百万円であることから、本件買収に伴うのれんは約50百万円と推定され、今後発生する毎期ののれん償却額は抑えられていると言える。通期業績予想に与える影響等は精査中であるが、A-Stageの2018年3月期の年商は20億円で、直近では月商2億円ペースで推移していることからして、通期業績予想は修正される可能性が高い。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
<MH>