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日ダイナミク Research Memo(5):業務プロセス改善などで収益性・企業競争力向上目指す

注目トピックス 日本株
■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の中長期成長戦略

1. 基本コンセプト
2017年5月に策定した中期経営計画「Vision2020」(2018年3月期−2020年3月期)では、基本コンセプトを「お客さまの「ありがとう」のために価値あるサービスを」としている。また基本方針を「(1)収益性の高い企業になる、(2)NCDブランドを高めて世の中に認知される企業になる、(3)社員が仕事に誇りとやりがいを持った活力ある企業になる」としている。

そして新たなライフスタイルや技術環境の変化に迅速かつ適切に対応できる企業を目指し、収益力向上に向けた中期成長戦略を推進している。

重点施策としては、グループ全体で業務プロセス改善による収益性の向上、働き方改革による企業競争力の向上を推進している。事業別には、IT関連事業(システム開発事業、サポート&サービス事業)ではオリジナル技術・サービスの開発、課金型ビジネスの拡大、パーキングシステム事業では月極め駐輪場ECOPOOLの拡大、電磁ロック式駐輪場管理台数50万台の達成を目指し、諸施策を推進している。

2. 営業利益目標値を上方修正
中期経営計画の数値目標については、初年度である2018年3月期の営業利益実績が783百万円と計画の600百万円を大幅に上回ったため、2018年5月15日に売上高目標値は据え置いて、2019年3月期及び2020年3月期の営業利益目標値を上方修正した。

修正後の計画は、2019年3月期の売上高17,000百万円(IT関連事業11,000百万円、パーキングシステム事業5,900百万円)、営業利益950百万円、2020年3月期の売上高18,000百万円(IT関連事業11,600百万円、パーキングシステム事業6,200百万円)、営業利益1,000百万円としている。

なお修正前の営業利益目標値は、2018年3月期600百万円、2019年3月期700百万円、2020年3月期800百万円だった。

3. パーキングシステム事業
パーキングシステム事業では月極め駐輪場ECOPOOLの拡大、電磁ロック式駐輪場管理台数50万台の達成を目指している。

首都圏中心に駅周辺の駐輪場の整備がかなり進展したとはいえ、放置自転車の問題が全面的に解決されたわけではない。また人手不足が深刻化する状況で、駐輪場の業務効率化や無人化が求められる流れも加速するだろう。さらに交通混雑緩和策としての自転車活用に対する期待は大きい。したがって自転車活用推進法や2020年東京オリンピック・パラリンピックなども追い風となる。

自転車はCO2(二酸化炭素)等を発生しないため地球環境に優しいだけでなく、交通混雑の緩和に役立ち、災害時に機動的というメリットもある。したがって自転車を積極活用して自動車依存を低減することにより、健康増進や交通混雑緩和等の経済的・社会的効果が得られる。

自転車活用推進法は、自転車の活用を総合的・計画的に推進することを目的として、2016年12月に成立(議員立法で衆・参とも全会一致)し、2017年5月に施行された。基本方針で、自転車専用道路の整備、路外駐車場の整備、シェアサイクル施設の整備、情報通信技術等の活用による管理の適正化、公共交通機関との連携の促進、災害時の有効活用体制の整備、観光来訪の促進・地域活性化の支援など、重点的に検討・実施する14項目を掲げている。そして5月5日を「自転車の日」及び5月を「自転車月間」とした。

また2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいては、公共交通機関の混雑や道路の渋滞といった交通問題が懸念されている。2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックにおいてはシェアサイクルが大活躍し、自転車革命を起こしたとも言われている。2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいても、交通問題対策の1つとして自転車の活用が期待されており、その後の自転車革命につながる可能性もあるだろう。

駅・バス停周辺における無人駐輪場の整備に加えて、コンビニエンスストアなどを拠点とする無人シェアサイクル導入の動きも広がっている。自転車活用推進法に基づいて、ITを活用した駐輪場の業務効率化や無人化、ITと自転車を活用した地域・街づくりなども進展することが期待される。さらに2020年東京オリンピック・パラリンピックの交通問題対策としての自転車の活用も、無人駐輪場・シェアサイクルにとって追い風となる。パーキングシステムの事業環境は良好であり、事業の一段の拡大が期待される。


将来に向けた新サービス・新規事業を創出
4. 新サービス・新規事業の創出
将来に向けた新サービス・新規事業創出への取り組みも強化している。

IT関連では、日本初の広告枠ショッピングサイト「Adplace(アドプレイス)」を運営し、商材に適した広告枠の選択・掲載依頼・掲載承認・支払・掲載に至るサービスを提供している。またメモリ型コンピューティング技術を活用して開発した高速データ検索基盤ソリューション「Dynamic Search Engine」は、CPUを使用せずメモリ上で検索するためスピーディにデータ検索することが可能になる。システム設計・開発・検索DB構築(データマイニング)から導入・保守・運用までのワンストップサービスを提供している。

自転車関連では2018年3月、自転車を中心とした新しいライフスタイル提案型サイクルショップ「STYLE-B(スタイルビー)」を、東京急行電鉄<9005>(東急)が開業した池上線五反田駅〜大崎広小路駅間の高架下(東京都品川区西五反田)にオープンした。日本初上陸となるカリフォルニア発の自転車「Pure Cycles(ピュアサイクル)」などを販売し、ピット、カフェ、青果店、コインランドリーなども併設している。

自転車利用のアンテナショップの位置付けで、新たなサービスの創出による事業の成長を目指してノウハウを蓄積し、地域特性や時代ニーズに合ったサービスをセレクトしながら店舗展開する計画だ。

また自転車ライフをより豊かにする商品として、骨伝導ワイヤレスヘッドホン「CODEO」、集音器付骨伝導ワイヤレスヘッドホン「DenDen」、Acer傘下のXplova社製GPSサイクルコンピュータ「Xplova X5 Evo」、自転車用盗難防止アラーム・ウインカー付テールライト「nubeam」、ソーラーパネル付バックパック「INFINITY SOLAR BACKPACK」などを、同社のWebセレクトショップ「B’s supply」や家電量販店などで販売している。

5. 社会貢献活動を積極実施
社会貢献活動も積極的に実施している。

2016年10月には骨伝導ワイヤレスヘッドホン「CODEO」を公益財団法人日本野鳥の会(本部:東京都品川区)に10台寄贈した。2017年11月には法人特別会員となった。

また認定NPO法人Homedoor(本部:大阪市北区)の、ホームレス状態から「誰もが何度でも、やり直せる社会をつくりたい。」という思いに賛同し、ミネラルウォーター寄贈などの支援を行っている。

6. 中期的に収益拡大・高収益化を期待
急激な技術革新などIT業界を取り巻く環境が大きく変化するなかで、下條治(しもじょうおさむ)代表取締役社長は「これまでの堅実経営にとどまらず、IT業界の変化に対応して、安定志向の解消、大胆な変革、新分野へのチャレンジに積極的に取り組みたい」と熱く語っている。

システム開発事業における採算性向上への取り組みの成果、サポート&サービス事業におけるストック収益型継続案件の積み上げ、高採算のパーキングシステム事業における管理現場数・管理台数の積み上げ、新規サービス・新規事業の創出、さらに業務プロセス改善による効率化の進展などにより、中期的に収益拡大・高収益化が期待される。

■日本コンピュータ・ダイナミクス<4783>の株主還元策

利益配分については、企業体質の強化と積極的な事業展開に備えて内部留保に努めるとともに、配当性向や配当利回りなどを総合的に判断し、安定的な配当を維持することを基本方針としている。配当性向の目標は設定せず、今後も経営基盤の一層の強化と積極的な事業展開を継続しつつ、適切な利益還元を実施する方針としている。また株主還元の一環として株主優待制度も実施している。

この基本方針に基づいて、2018年3月期の配当は業績や配当性向等を総合的に判断した結果、期初計画に対して期末配当を2円増額修正し、年間14円(第2四半期末6円、期末8円)とした。2017年3月期の年間12円(第2四半期末5円、期末7円)との比較でも2円増配となる。配当性向は21.1%である。

また2019年3月期の配当予想は、2018年3月期と同額の年間14円(第2四半期末7年、期末7円)としている。予想配当性向は17.4%となる。収益の拡大とともに利益還元の充実も期待したい。

株主優待制度は毎年9月30日現在の1,000株(10単元)以上保有株主を対象として実施している。保有株式数に応じて優待品を贈呈する。JCBギフトカード、宮城県産米ひとめぼれ、日本赤十字社へ寄付、の中から1点を選択。


■情報セキュリティ対策
企業に対する大規模なサイバー攻撃が増加し、企業の情報セキュリティ対策への関心が高まるなか、同社は情報セキュリティ及び情報資産の適切な保護を経営の最重要課題の1つとして認識し、いち早く個人情報保護方針、コンプライアンスプログラム及び情報セキュリティ基本方針を策定している。情報セキュリティ担当役員及び委員を置き、委員会において活動状況の報告なども行っている。

さらに、情報セキュリティマネジメントシステムのISMS(Information Security Management System)及び情報サービスマネジメントシステムのITSMS(Information Technology Service Management System)を構築・運用している。資格としてプライバシーマーク付与認定事業者、ISO9001、ISO/IEC27001、ISO/IEC20000-1の認証・認定を取得するなど、全社を挙げて情報セキュリティ対策に取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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