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翻訳センター Research Memo(1):2018年3月期は翻訳事業、派遣事業、通訳事業が好調に推移し増収増益

注目トピックス 日本株
■要約

翻訳センター<2483>は、翻訳業界の国内最大手。医薬分野の専門翻訳会社として創業し、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務など専門性の高い産業翻訳分野で領域を拡大してきた。現在は翻訳だけでなく通訳、派遣、国際会議運営(コンベンション)、通訳者・翻訳者教育などに多角化し、顧客企業のグローバル展開における幅広い外国語ニーズに対応する。多数の中小プレーヤーがひしめく分散業界において、組織化・システム化された営業・制作機能を整備し、品質・スピード・コストのバランス、大規模案件対応などで他社の一歩先を行く。国内翻訳業界1位はもちろん、アジアで6年連続1位、世界の語学サービス企業でも上位のポジションである。

1. 事業内容
主力の翻訳事業では、分野特化戦略を推進しており、「医薬」、「工業・ローカライゼーション」、「特許」、「金融・法務」の4分野毎に組織が分かれ、専門化してノウハウを蓄積している。グループネットワークを活かしたサービスの提案、ICTによる登録者マッチングシステムも強みである。現場で制作を担当するのは4,000名を超える登録者であり、翻訳支援ツールを使い効率的かつ品質の高い翻訳サービスの提供を行っている。連結子会社(株)アイ・エス・エスが行う、コンベンション事業、派遣事業、通訳事業はそれぞれの分野でポジションを築いているが、相互に関連しており翻訳事業を含めたクロスセリングが行われている。

2. 業績動向
2018年3月期通期の連結業績は、売上高が前年同期比3.9%増の10,618百万円、営業利益が同15.0%増の802百万円、経常利益が同16.1%増の812百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.5%増の566百万円と4年連続の増益を達成した。主力の翻訳事業で特に医薬分野及び工業・ローカライゼーション分野が伸び順調に推移した(前期比7.9%増)。さらに派遣事業(前期比25.1%増)と通訳事業(前期比19.2%増)も増加したため、コンベンション事業の減収(前期比55.1%減)をカバーした。

2019年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比13.0%増の12,000百万円、営業利益が同12.2%増の900百万円、経常利益が同10.8%増の900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.8%増の600百万円と3年連続の増収増益を予想する。主力の翻訳事業において主要4分野の分野特化戦略を進めることによるシェア拡大が基本となる。AI・ICTを活用した施策も今期から着手する計画であり期待が持てる。また、派遣事業、通訳事業なども足元好調を維持しており成長する見込みだ。利益に関しては、業務プロセスの標準化と自動化による生産性の向上がどの程度進捗するかがカギとなるだろう。

3. 成長戦略
同社は、2019年3月期を初年度、2021年3月期を最終年度とする第四次中期経営計画を発表した。最終年度の業績目標としては、売上高で13,600百万円(年平均成長率8.6%)、営業利益で1,300百万円(年平均成長率17.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益で850百万円(年平均成長率14.5%)としっかり収益力を高めながら成長しようという計画だ。

中期経営計画のポイントは、機械翻訳(NMT)に本格的に取り組む事業モデルへの転換だ。基本方針としては、「日本を代表する言語サービスのコンサルティング企業を目指し、最新のテクノロジーを活用したソリューションビジネスへの転換を図り、翻訳事業の高付加価値化を実現する。」である。重点施策の1つである「ソリューション提案力の強化」では、専門分野特化型で翻訳業務を受注する従来のビジネスモデルは維持しつつ、出資する(株)みらい翻訳の機械翻訳(NMT)を取り入れたサービスで顧客社内の翻訳業務の効率化提案を行っていく。

4. 株主還元策
同社は、企業の利益成長に応じた継続的な還元を行うことを方針としている。2018年3月期の1株当たり配当金は年間29円(4年連続の増配)、配当性向は17.2%だった。2019年3月期は、配当金年間35円(5年連続増配)、配当性向19.6%を予想する。なお、流動性の向上を目的に、2018年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っている。

■Key Points
・翻訳業界国内最大手、医薬・工業・特許など専門性の高い産業翻訳分野に強み
・2018年3月期は主力の翻訳事業、派遣事業、通訳事業が好調に推移し増収増益
・第四次中期経営計画をスタート。機械翻訳(NMT)に本格的に取り組む事業モデルに転換
・2018年3月期は4年連続増配、株式分割を実施

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)


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