フェローテク Research Memo(6):半導体製造装置業界向けを中心に需要は堅調で連続増益予想。設備投資は高水準
[18/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2019年3月期の業績見通し
フェローテックホールディングス<6890>の2019年3月期の業績は、売上高98,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益9,800百万円(同16.2%増)、経常利益8,500百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,300百万円(同97.9%増)が見込まれている。当分は世界的に半導体不足が続くと予想されていることから、デバイスメーカーの投資が活発であり製造装置メーカーも活況を呈している。したがって、これら半導体製造装置メーカーを主要顧客とする同社の業績も好調が続くと予想され、この通期予想が達成される可能性は高いだろう。むしろ今後の動向次第では、上方修正もありそうだ。
さらに2020年3月期以降の業績拡大に向けて、今期は40,000百万円の大型設備投資を行う計画だ。
2. セグメント別見通し
セグメント別売上高、サブセグメント別売上高の予想は以下のようになっている。
(1) 半導体等装置関連:売上高58,710百万円(前期比33.0%増)
a) 真空シール関連事業の売上高は15,000百万円(前期比27.5%増)が予想されている。引続き半導体製造装置の真空プロセス向け需要が好調に推移する見通し。一方で、FPD市場での有機EL需要は大手パネルメーカーの投資延期の影響により下期より若干調整が入る見込み。受託加工の需要は、中国市場を中心に堅調に推移する見通しだ。
主な施策は、半導体製造装置メーカーとの共同開発を継続、大型加工機の設備投資を継続、同社グループ間の関係を強化してシナジー効果を得る、アジア圏での営業を強化するなど。
b) 石英製品の売上高は13,640百万円(前期比18.4%増)が予想されている。引き続き半導体関連の投資は高水準の見込みで、石英製品の供給を上回る需要が見込める。メモリー系(D-RAM、3D-NAND)、IoT、パワー半導体、車載向けICへの投資が旺盛。また中国FABの本格投資で、デバイスメーカーからの石英スペアパーツ需要が増加する見通し。国内大手OEM先、米国大手OEM先からの需要も強い。さらに国内大手OEM先へのSiパーツ供給を開始、こちらも拡大予想。
主な施策としては、大手OEM需要に対応するため設備を大幅に増設する。(中国常山工場、東台工場の2拠点工場着工)さらに次世代、次々世代用の開発案件への取り組みを強化。
c) セラミックス製品の売上高は11,500百万円(前期比31.7%増)が予想されている。マシナブルセラミックスでは、国内は半導体メモリー用検査治具は低調だが、Logic用は好調が見込まれる。国内一般産機用、海外医療関係部品はともに堅調の見込み。ファインセラミックスでは、国内はFPD装置部品の需要は低迷予想だが、半導体装置部品は好調を予想。海外では、成膜装置用、エッチング装置向け部品はさらに需要増が期待され2017年以上の販売を計画している。
継続販売方針としては、マシナブルセラミックスでは車載向けなど高精度、高付加価値製品の拡販に取り組む。従来品に加え、耐熱、電気絶縁部品への拡販展開を図る。ファインセラミックスでは、世界的な半導体製造装置需要の拡大に伴い、さらに生産設備を強化して販売増加を目指す。
d) CVD-SiC製品の売上高は3,000百万円(前期比1.3%減)とほぼ横はいが予想されている。中国の新規投資に伴う国内・海外半導体製造装置向け部材は堅調予想だが、量産済み新装置部品は代替材の採用で一部需要鈍化の見込み。大型部品の量産化を開始、さらにグループ内向けコーティング製品への対応を開始する。
施策としては、半導体製造装置メーカーからの部品需要に対応するため生産体制を強化する。韓国に半導体製造装置部品の製造会社を設立、量産化を開始。一方で引き続き非半導体分野への積極参入を図る。
e) EBガン・蒸着装置の売上高は4,270百万円(前期比8.5%増)が予想されている。IoT用途を中心に引き続き通信・フィルター向け需要に対応し前年比で増収を見込む。主な施策としては、将来に向けて5G通信基地局向け各種アプリケーション(化合物半導体向け蒸着装置)の開発を促進していく。
f) 半導体ウェーハ加工の売上高は7,500百万円(前期比45.3%増)と大幅増が予想されている。6インチは既に36万枚/月の生産を行っているが、2018年内には40万枚へ増産の予定。また8インチについては、既に上海工場に10万枚体制が整っているが、現在は環境対策のために一時停止状態。2018年6月から再開の見通し。さらに今後は、後述するように杭州に新工場を建設し、2021年3月期までに月産45万枚体制にする計画だ。
g) 装置部品洗浄:「その他」セグメントから分離し、2019年3月期から半導体等装置関連事業の新しいサブセグメントとして開示する予定で、今期の売上高は3,800百万円が予想されている。
(2) 電子デバイス:12,930百万円(前期比1.8%増)
a) サーモモジュール製品の売上高は11,880百万円(前期比2.1%増)と微増収が予想されている。自動車向けでは、温調シートは引き続き低調の見込み。その他の産業用では、半導体製造装置、バイオ・医療検査装置、民生等は堅調に推移する見込み。
施策としては、サブアッシー品を増やし、営業を強化(特に半導体、医療)、新型モジュール製品・組込製品のラインナップを拡充する。増産および自動化に対応した設備投資を継続する。パワー半導体用基板の量産投資を継続する。
b) 磁性流体・その他の売上高は1,050百万円(前期比1.6%減)が予想されている。
(3) 太陽電池:16,207百万円(前期比22.6%減)
a) 石英坩堝の売上高は2,000百万円(前期比8.1%増)と予想されている。
半導体向け坩堝の需要増が予想され、単結晶坩堝が増加する見通し。なかでも半導体中口径坩堝の増加が期待されるが、中国各社の立ち上がりはやや遅延傾向にある。太陽電池向け大型坩堝は28インチ大型化に集中する。
施策としては、半導体向けに注力し、拡販を目指す。半導体坩堝専用の工場(クリーン化、自動化後工程)の新棟が2018年9月完成予定。近い将来32インチ化に備え大型溶解炉の開発に取り組む。
b) 太陽電池用シリコンの売上高は8,317百万円(前期比36.3%減)と大幅減収予想。N型ウェーハは評価認定の拡大で増量見込み。多結晶はOEMに集中し、稼働率と採算性の確保に注力する。2019年3月期も全世界的に数量は拡大基調となる見込みだが、価格低迷が懸念される。
c) シリコン結晶製造装置の売上高は120百万円(前期比23.6%減)の見込みで、引き続き縮小が予想される。
d) セル・その他の売上高は5,770百万円(前期比1.6%減)とほぼ前年並みの予想。市場環境がより厳しくなる見込みだが、中国内の単結晶・PERCのOEMで稼動・採算の確保を目指す。全世界的には数量増の見込みであることから、PERC技術の高変換優位性で価格維持を図る。
(4) その他:10,153百万円(前期比20.7%減)
2019年3月期から半導体製造装置の部品洗浄事業が半導体等装置関連に分離されるため、セグメントとしては減収予想となっているが※、それ以外はほぼ横ばいの予想。
※セグメント別利益予想は開示されていない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2019年3月期の業績見通し
フェローテックホールディングス<6890>の2019年3月期の業績は、売上高98,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益9,800百万円(同16.2%増)、経常利益8,500百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,300百万円(同97.9%増)が見込まれている。当分は世界的に半導体不足が続くと予想されていることから、デバイスメーカーの投資が活発であり製造装置メーカーも活況を呈している。したがって、これら半導体製造装置メーカーを主要顧客とする同社の業績も好調が続くと予想され、この通期予想が達成される可能性は高いだろう。むしろ今後の動向次第では、上方修正もありそうだ。
さらに2020年3月期以降の業績拡大に向けて、今期は40,000百万円の大型設備投資を行う計画だ。
2. セグメント別見通し
セグメント別売上高、サブセグメント別売上高の予想は以下のようになっている。
(1) 半導体等装置関連:売上高58,710百万円(前期比33.0%増)
a) 真空シール関連事業の売上高は15,000百万円(前期比27.5%増)が予想されている。引続き半導体製造装置の真空プロセス向け需要が好調に推移する見通し。一方で、FPD市場での有機EL需要は大手パネルメーカーの投資延期の影響により下期より若干調整が入る見込み。受託加工の需要は、中国市場を中心に堅調に推移する見通しだ。
主な施策は、半導体製造装置メーカーとの共同開発を継続、大型加工機の設備投資を継続、同社グループ間の関係を強化してシナジー効果を得る、アジア圏での営業を強化するなど。
b) 石英製品の売上高は13,640百万円(前期比18.4%増)が予想されている。引き続き半導体関連の投資は高水準の見込みで、石英製品の供給を上回る需要が見込める。メモリー系(D-RAM、3D-NAND)、IoT、パワー半導体、車載向けICへの投資が旺盛。また中国FABの本格投資で、デバイスメーカーからの石英スペアパーツ需要が増加する見通し。国内大手OEM先、米国大手OEM先からの需要も強い。さらに国内大手OEM先へのSiパーツ供給を開始、こちらも拡大予想。
主な施策としては、大手OEM需要に対応するため設備を大幅に増設する。(中国常山工場、東台工場の2拠点工場着工)さらに次世代、次々世代用の開発案件への取り組みを強化。
c) セラミックス製品の売上高は11,500百万円(前期比31.7%増)が予想されている。マシナブルセラミックスでは、国内は半導体メモリー用検査治具は低調だが、Logic用は好調が見込まれる。国内一般産機用、海外医療関係部品はともに堅調の見込み。ファインセラミックスでは、国内はFPD装置部品の需要は低迷予想だが、半導体装置部品は好調を予想。海外では、成膜装置用、エッチング装置向け部品はさらに需要増が期待され2017年以上の販売を計画している。
継続販売方針としては、マシナブルセラミックスでは車載向けなど高精度、高付加価値製品の拡販に取り組む。従来品に加え、耐熱、電気絶縁部品への拡販展開を図る。ファインセラミックスでは、世界的な半導体製造装置需要の拡大に伴い、さらに生産設備を強化して販売増加を目指す。
d) CVD-SiC製品の売上高は3,000百万円(前期比1.3%減)とほぼ横はいが予想されている。中国の新規投資に伴う国内・海外半導体製造装置向け部材は堅調予想だが、量産済み新装置部品は代替材の採用で一部需要鈍化の見込み。大型部品の量産化を開始、さらにグループ内向けコーティング製品への対応を開始する。
施策としては、半導体製造装置メーカーからの部品需要に対応するため生産体制を強化する。韓国に半導体製造装置部品の製造会社を設立、量産化を開始。一方で引き続き非半導体分野への積極参入を図る。
e) EBガン・蒸着装置の売上高は4,270百万円(前期比8.5%増)が予想されている。IoT用途を中心に引き続き通信・フィルター向け需要に対応し前年比で増収を見込む。主な施策としては、将来に向けて5G通信基地局向け各種アプリケーション(化合物半導体向け蒸着装置)の開発を促進していく。
f) 半導体ウェーハ加工の売上高は7,500百万円(前期比45.3%増)と大幅増が予想されている。6インチは既に36万枚/月の生産を行っているが、2018年内には40万枚へ増産の予定。また8インチについては、既に上海工場に10万枚体制が整っているが、現在は環境対策のために一時停止状態。2018年6月から再開の見通し。さらに今後は、後述するように杭州に新工場を建設し、2021年3月期までに月産45万枚体制にする計画だ。
g) 装置部品洗浄:「その他」セグメントから分離し、2019年3月期から半導体等装置関連事業の新しいサブセグメントとして開示する予定で、今期の売上高は3,800百万円が予想されている。
(2) 電子デバイス:12,930百万円(前期比1.8%増)
a) サーモモジュール製品の売上高は11,880百万円(前期比2.1%増)と微増収が予想されている。自動車向けでは、温調シートは引き続き低調の見込み。その他の産業用では、半導体製造装置、バイオ・医療検査装置、民生等は堅調に推移する見込み。
施策としては、サブアッシー品を増やし、営業を強化(特に半導体、医療)、新型モジュール製品・組込製品のラインナップを拡充する。増産および自動化に対応した設備投資を継続する。パワー半導体用基板の量産投資を継続する。
b) 磁性流体・その他の売上高は1,050百万円(前期比1.6%減)が予想されている。
(3) 太陽電池:16,207百万円(前期比22.6%減)
a) 石英坩堝の売上高は2,000百万円(前期比8.1%増)と予想されている。
半導体向け坩堝の需要増が予想され、単結晶坩堝が増加する見通し。なかでも半導体中口径坩堝の増加が期待されるが、中国各社の立ち上がりはやや遅延傾向にある。太陽電池向け大型坩堝は28インチ大型化に集中する。
施策としては、半導体向けに注力し、拡販を目指す。半導体坩堝専用の工場(クリーン化、自動化後工程)の新棟が2018年9月完成予定。近い将来32インチ化に備え大型溶解炉の開発に取り組む。
b) 太陽電池用シリコンの売上高は8,317百万円(前期比36.3%減)と大幅減収予想。N型ウェーハは評価認定の拡大で増量見込み。多結晶はOEMに集中し、稼働率と採算性の確保に注力する。2019年3月期も全世界的に数量は拡大基調となる見込みだが、価格低迷が懸念される。
c) シリコン結晶製造装置の売上高は120百万円(前期比23.6%減)の見込みで、引き続き縮小が予想される。
d) セル・その他の売上高は5,770百万円(前期比1.6%減)とほぼ前年並みの予想。市場環境がより厳しくなる見込みだが、中国内の単結晶・PERCのOEMで稼動・採算の確保を目指す。全世界的には数量増の見込みであることから、PERC技術の高変換優位性で価格維持を図る。
(4) その他:10,153百万円(前期比20.7%減)
2019年3月期から半導体製造装置の部品洗浄事業が半導体等装置関連に分離されるため、セグメントとしては減収予想となっているが※、それ以外はほぼ横ばいの予想。
※セグメント別利益予想は開示されていない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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