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アクロディア Research Memo(2):携帯電話向けミドルウェアの開発からスタートした技術開発型企業

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 会社沿革
アクロディア<3823>は携帯電話用ミドルウェア開発を目的に2004年7月に設立され、2006年10月に東証マザーズに上場した(現在は東証第2部に上場)。携帯端末向け電子メール用ソフトウェア「VIVID Message」をメガチップス<6875>と共同開発したことを皮切りに、テキストを絵文字に自動変換するソフトなど各種ミドルウェアを相次いで開発し、端末の販売台数に応じて使用許諾料を得るビジネスモデルで成長を続けていった。一時はフィンランドや韓国、米国にも子会社を展開していたが、携帯電話市場でスマートフォンが新たに台頭し始めた2008年をピークに、国内ではiPhoneのシェアが拡大、同社がミドルウェアを提供していたガラケーと呼ばれる携帯電話の市場が縮小し、業績も下降線をたどり始めた。

同社は2010年以降、スマートフォンを中心としたサービス提供会社として、M&Aも活用しながらゲーム事業やEC事業等の新規事業を展開し収益の立て直しを模索したが、2017年8月期まで9期連続で経常損失を強いられるなど厳しい経営状況が続いてきた。同社はこうした状況を打開すべく、2017年9月以降に抜本的な収益構造改革に取り組み、不採算事業を売却すると同時に安定した収益を獲得できる事業をM&Aで獲得し、再成長に向けた取り組みを進めている。

ここ最近の事業売却・買収の動きを見ると、2016年3月に取得したゲームの受託開発事業については、収益変動リスクが大きかったことから2017年9月に事業譲渡した。また、2016年6月に子会社化したセキュリティ製品の販売会社であるネクスト・セキュリティ(株)についても、官公庁向けが主体で季節変動が大きく、収益的にも厳しい状況が続いたことから2017年10月に売却している。一方で、収益基盤の強化を図るため、2017年3月に渋谷肉横丁を子会社化し、サブリース事業を開始したほか、同年9月にはITエンジニアの育成を行う(有)インタープランを子会社化し、教育事業を開始した。さらには、同年10月にグアム政府公認のゲーミング(カジノ)として定着しているビンゴ向けのシステムを提供しているGUAM ENTERTAINMENT SYSTEMS, LLCを所有する(株)エンターテイメントシステムズを子会社化している。


IoTソリューション及びスマートフォン向けプラットフォームシステムが主力事業
2. 事業内容
同社の事業セグメントは2018年8月期より、ソリューション事業、サブリース事業、教育関連事業とその他(物販事業等)に区分して開示しており、主力のソリューション事業が売上高の90.3%、セグメント利益の89.0%を占めている。

ソリューション事業のうち約43%はプラットフォームソリューション(IoT、スマートフォン向けプラットフォームソリューション、グアム向けビンゴシステム等)となり、約39%がコンテンツサービス(ソーシャルゲームを中心としたアプリ関連)、残りは受託開発案件やその他新規プロジェクトとなる。

プラットフォームソリューションの約5割はスマートフォン向けプラットフォームで占められており、主な製品としては「Multi-package Installer for Android(以下、MPI)」や「きせかえtouch」などがある。MPIとは携帯電話ショップで陳列されているデモ用のAndroid端末向けに、複数のアプリをパッケージにして一括してインストールできるようしたソフト。NTTドコモ<9437>やauのショップを中心に幅広く導入されている。「きせかえtouch」はAndroid端末の画面の背景等のデザインを一括で変更できるホームアプリとなる。スマートフォン向けプラットフォームに関しては、国内市場が飽和していることもあり売上高の成長は見込めないものの、収益性が高いため同社にとっては安定収益事業の位置付けとなっている。また、プラットフォームソリューションの約4割を占めるIoTソリューションでは現在、IoT野球ボール、IoTインターホンを商品化しているが、現段階では大半がIoT野球ボールの売上となっている。残り約1割はグアムのビンゴ向けシステム利用料の売上げとなっている。

コンテンツサービスでは、ソーシャルゲームやアプリのサービスを展開している。その大半は「サッカー日本代表2020ヒーローズ」によるゲーム課金収入で占められる。同ゲームはJFAオフィシャルライセンスを得ている唯一のゲームアプリで、リリースして約6年が経過しているが根強い人気を博している。ARPPUは2万円台となっている。

サブリース事業は、子会社である渋谷肉横丁の事業となる。現在、旗艦店となる「渋谷肉横丁」を含め、首都圏で6店舗を展開しており、サブリースによる安定した収益を獲得している。また、収益拡大を図るため、2018年6月6日付で「渋谷肉横丁」で運営されている飲食店3店舗を譲受け、飲食店事業も開始している。譲受けした3店舗直前事業年度の売上高は71百万円となっている。今後は飲食店事業においてもIoTソリューションを展開し、店舗の付加価値を高めることで収益を拡大していく戦略となっている。

教育関連事業は子会社のインタープランの事業で、主に求職者支援訓練事業を展開している。同事業は厚生労働省認定の訓練となっており、受講希望者はハローワークからの紹介により助成金を活用して無料で受講できるようになっている。主にWebデザインやWebプログラムの技術習得をメインにした教育サービスを行っているが、今後はブロックチェーンに関する技術者の養成セミナーもスタートする予定となっている。また、2017年8月には労働者派遣事業の認可を得ており、受講生の中から希望する人材を活用して、ITエンジニア派遣事業へと展開していく準備も進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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