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ランドコンピュ Research Memo(4):2018年3月期は、売上は横ばいだが、利益は20%前後の伸び

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
ランドコンピュータ<3924>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比0.8%増の7,267百万円、営業利益が同17.7%増の432百万円、経常利益が同19.2%増の443百万円、当期純利益が同21.8%増の295百万円であった。期初予想との比較では、売上高が3.6%減、営業利益が5.6%増、経常利益が8.7%増、当期純利益が10.1%増となった。

(1) サービスライン別動向
サービスラインごとの売上高の動向は、主力のシステムインテグレーション・サービスが5,097百万円と前期比1.7%減少した。インフラソリューション・サービスは、1,085百万円、同9.9%増と順調に伸びた。パッケージベースSI・サービスは1,084百万円と同4.8%増にとどまった。

a) システムインテグレーション・サービス
同サービスにおいて売上高構成比が44.3%と最大顧客である金融機関向けは、前期比9.0%の増収を記録した。流通系銀行の新規参画及びクレジットカードの統合案件の受注が拡大した。医療分野は、電子カルテや医療会計案件により同16.8%増加した。一方、産業・流通が10.1%減、公共が54.9%の減少であった。流通は百貨店向けが不振だった。産業分野は、電力小売り自由化案件が縮小した。公共は、システム投資の延伸などによる受注不足が響いた。

b) インフラソリューション・サービス
インフラソリューション・サービスの増収は、新規顧客の開拓と保険・証券分野及び医療分野向けネットワーク構築案件及び基盤構築案件の受注が堅調に推移したことによる。

c) パッケージベースSI・サービス
クラウドパッケージ及び会計パッケージの受注が堅調に推移した。成長ポテンシャルが大きいことから、3本目の柱として磨きをかける。他のサービスラインと比べて、プロジェクト管理の良し悪しが、収益にダイレクトに反映される。

(2) 利益改善重点項目
2018年3月期は、利益改善重点項目として、不採算プロジェクトの撲滅とプロジェクトマネージャ体制の強化と早期育成を掲げた。不採算プロジェクトの発生を防ぐために、見積精度の向上や見積前提条件の変化に対応した迅速な再見積の実施だけでなく、プロジェクト計画の策定とプロジェクト定期監視の実施などに組織的に取り組んでいる。上流設計工程での設計品質の確実な作り込みや、失敗を繰り返さないための事例のナレッジ化を進めた。

PMOは、従来プロジェクトマネジメント(PM)を支援する役割だが、現在、PM内部でプロジェクトマネージャの早期育成を図っている。そのため、2016年3月期下期と2017年3月期期首に日立グループと富士通グループから4名の超上級PMを採用し、業界トップ企業で行われているプロジェクトマネジメントの浸透に努めている。上半期は、内部管理体制を固めるための期間とし、下半期から業績拡大に重点を移した。

2017年3月期の152百万円の経常減益の要因として、当期発生の大口赤字プロジェクトの損失(-95百万円)、受注損失引当金の増加(-26百万円)、減収による売上総利益の減少(-33百万円)と販管費増(-85百万円)が挙げられた。2018年3月期は、その再発を防ぐため、一時的に新規受注を抑え、プロジェクトマネジメント(PM)の体制を強化した。経常利益は前期比71百万円増加した。その増減要因は、当期発生の大口赤字プロジェクトの損失(-81百万円)が上半期まで残り、減益要因となった。しかし、PM体制の強化の効果が表れ、不採算案件減少によるプロジェクト利益率の改善(+159百万円)と受注損失引当金の減少(+32百万円)が大きな増益要因となり、PM強化に伴う人件費増(-33百万円)と販管費増(-23百万円)を吸収した。

(3) 事業部門社員1人当たりの売上高及び営業利益の動向
労働生産性の指標となる事業部門社員1人当たり月売上高と月営業利益は、2016年3月期にそれぞれ1,624千円と122千円でピークを打ち、2017年3月期には1,584千円と81千円へ下落した。2018年3月期の上半期は、1,531千円と55千円へさらに低下した。前下半期以降に発生した不採算プロジェクトの再発を防止するため、選別受注を進めた結果、売上高が伸び悩んだ。また、不採算プロジェクトの収束を目指し、大幅な人員補強で対応した結果、多額な人件費と外注費が発生した。通期では、1,590千円と95千円へ改善した。2018年3月期下半期の改善は、正常な状態に戻りつつあったことと、売上高及び営業利益が下期に大きくなる季節的特性に起因する。

2. 財務状況と経営指標
2018年3月期末の総資産は、4,509百万円と前期末比303百万円増加した。流動資産は、売掛金が前期比107百万円増の1,937百万円であった。大型案件に進行基準を採っているため、売上債権回転期間は3.2ヵ月となっている。有利子負債はなく、自己資本比率が66.0%と財務の安全性は高い。

経営の総合指標となるROE(自己資本当期純利益率)は10.3%、ROA(総資産経常利益率)も10.2%といずれも2ケタに乗る好パフォーマンスであった。売上高経常利益率及び売上高当期純利益率の上昇が寄与した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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