三和HD Research Memo(2):シャッターで創業後、国内では多品種展開を推進。海外展開も早期から注力
[18/06/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 沿革
三和ホールディングス<5929>は、現代表取締役会長兼CEOの高山俊隆(たかやまとしたか)氏の父・高山萬司(たかやままんじ)氏により1956年に兵庫県尼崎市に設立された。1963年に株式会社三和シヤッター製作所、三和シヤッター株式会社(1959年設立)、三和商事株式会社(1961年設立)の3社を吸収合併した。合併後は、三和シヤッター製作所の営業活動を全面的に承継し、社名を三和シヤッター工業株式会社に変更するとともに、本社を東京都新宿区に移転した。
同社は1974年に米国のOverhead Door Corporation(1996年に買収)と技術提携してオーバースライダー®(OSD)として国内販売をするなど、シャッターを中心に順調に業容を拡大した。1981年には現CEOの高山俊隆氏が代表取締役社長に就任し、今日に至る経営体制の基礎が出来上がった。
同社はシャッター事業の拡大を図る傍ら、エクステリア製品、ストアフロント、自動ドア、ステンレス製品などへと商品ラインアップの多様化にも取り組んだ。その結果、現在では“動く建材”(ドア、シャッター関連の総称の意)の領域において、国内シェア第1位を占めるに至っている(詳細は後述)。この過程では、自社による進出に加えて、M&Aの手法も積極的に活用した。
同社はまた、国内市場の成熟を見据えて、早期から海外展開に積極的に取り組んだ。1986年に香港・シンガポールに展開したのを皮切りに、欧米及びアジアで事業を拡大してきた。特に欧米では、2000年代以降、M&Aを重ねて急速に業容拡大を図った。
米国では1996年に持株会社Sanwa USA Inc.を設立してOverhead Door Corporation(ODC、現・連結子会社))を買収した。以後はODCが主体となってM&Aを進め、現在ではODCの5つの事業で北米(米国及びカナダ)における事業を展開している。
欧州では2003年にSanwa Shutter Europe Ltd.(現Novoferm Europe Ltd.)を設立し、Novoferm GmbH他9社を買収した。その後はNovofermグループとして欧州事業を展開し、米国同様、M&Aを重ねて2018年3月期末時点では地域別・事業別合わせて15の子会社を擁するに至っている。
アジアでは中国、韓国、台湾、ベトナム、香港、タイ、インドネシアに、持分法適用会社及びその他関係会社を8社(2018年3月現在)展開している。
海外事業の中で、ODCグループとNovofermグループはともに収益の柱に成長し、2018年3月期の両グループの営業利益はそれぞれ、8,778百万円、2,886百万円に達した。また、アジア事業は事業基盤を確立して黒字定着を目指してきたが、2017年3月期において主要6社合計の営業利益が水面に浮上し、2018年3月期には約1億円の営業利益を計上して2期連続の黒字を達成した。
証券市場には1963年9月に東京証券取引所市場第2部に上場したのち、1970年7月に市場第1部に指定替えとなり、現在に至っている。
“動く建材”を世界展開。主力は国内だが欧米事業も重要な柱に成長
2. 事業の概要
同社グループは同社、連結子会社89社、関連会社14社の104社(2018年3月末現在)で構成されており、ビル商業施設建材製品、住宅建材製品の建築用金属製品の製造・販売及びメンテ・サービス事業を、日本、北米、欧州及びアジアで展開している。
具体的な製品は、建材の中でもシャッターやドアなど、“動く建材”が中心となっている。これに加えて、国内では間仕切やフロント製品、エクステリア製品などを、北米では車両用ドア製品などを展開している。また取付工事やメンテンス・サービスも収益の重要な一部となっている。
主要な子会社としては、国内では三和シヤッター工業(株)を初め、昭和フロント(株)、沖縄三和シヤッター(株)、三和タジマ(株)、三和エクステリア新潟工場(株)、ベニックス(株)、及び三和システムウォール(株)(2018年4月に三和スピンドル建材(株)から社名変更)の連結子会社7社が挙げられる。海外では、前述のように、北米ではOverhead Door Corporation(ODC)グループが、欧州ではNovofermグループが、それぞれの地域の事業を担っており、傘下に多数の事業会社や地域販売会社を抱え、製品や事業領域によって複数のブランドで展開している。
同社は上記のようなグローバルの事業展開を反映して、情報開示においては、三和シヤッター工業、国内子会社、北米事業(ODC)、及び欧州事業(Novofermグループ、NFと略すこともある)の4つのセクターに分類して売上高及び営業利益以下の主要利益項目を開示している。アジア事業についても、域内の持分法適用会社・その他関係会社系8社合計の売上高と営業利益を開示している。
2018年3月期実績ベースでは、国内の三和シヤッター工業が売上高の48.6%、営業利益の60.4%を占めて収益の中核を形成している。それに続くのが米国のODCグループで、売上高29.3%営業利益31.0%を占めている。欧州のNovofermグループは売上高の16.8%、営業利益の10.2%を占め、存在感を増してきている状況だ。
※各セグメントの売上高および営業利益は内部売上高および内部利益を含みます
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MW>
1. 沿革
三和ホールディングス<5929>は、現代表取締役会長兼CEOの高山俊隆(たかやまとしたか)氏の父・高山萬司(たかやままんじ)氏により1956年に兵庫県尼崎市に設立された。1963年に株式会社三和シヤッター製作所、三和シヤッター株式会社(1959年設立)、三和商事株式会社(1961年設立)の3社を吸収合併した。合併後は、三和シヤッター製作所の営業活動を全面的に承継し、社名を三和シヤッター工業株式会社に変更するとともに、本社を東京都新宿区に移転した。
同社は1974年に米国のOverhead Door Corporation(1996年に買収)と技術提携してオーバースライダー®(OSD)として国内販売をするなど、シャッターを中心に順調に業容を拡大した。1981年には現CEOの高山俊隆氏が代表取締役社長に就任し、今日に至る経営体制の基礎が出来上がった。
同社はシャッター事業の拡大を図る傍ら、エクステリア製品、ストアフロント、自動ドア、ステンレス製品などへと商品ラインアップの多様化にも取り組んだ。その結果、現在では“動く建材”(ドア、シャッター関連の総称の意)の領域において、国内シェア第1位を占めるに至っている(詳細は後述)。この過程では、自社による進出に加えて、M&Aの手法も積極的に活用した。
同社はまた、国内市場の成熟を見据えて、早期から海外展開に積極的に取り組んだ。1986年に香港・シンガポールに展開したのを皮切りに、欧米及びアジアで事業を拡大してきた。特に欧米では、2000年代以降、M&Aを重ねて急速に業容拡大を図った。
米国では1996年に持株会社Sanwa USA Inc.を設立してOverhead Door Corporation(ODC、現・連結子会社))を買収した。以後はODCが主体となってM&Aを進め、現在ではODCの5つの事業で北米(米国及びカナダ)における事業を展開している。
欧州では2003年にSanwa Shutter Europe Ltd.(現Novoferm Europe Ltd.)を設立し、Novoferm GmbH他9社を買収した。その後はNovofermグループとして欧州事業を展開し、米国同様、M&Aを重ねて2018年3月期末時点では地域別・事業別合わせて15の子会社を擁するに至っている。
アジアでは中国、韓国、台湾、ベトナム、香港、タイ、インドネシアに、持分法適用会社及びその他関係会社を8社(2018年3月現在)展開している。
海外事業の中で、ODCグループとNovofermグループはともに収益の柱に成長し、2018年3月期の両グループの営業利益はそれぞれ、8,778百万円、2,886百万円に達した。また、アジア事業は事業基盤を確立して黒字定着を目指してきたが、2017年3月期において主要6社合計の営業利益が水面に浮上し、2018年3月期には約1億円の営業利益を計上して2期連続の黒字を達成した。
証券市場には1963年9月に東京証券取引所市場第2部に上場したのち、1970年7月に市場第1部に指定替えとなり、現在に至っている。
“動く建材”を世界展開。主力は国内だが欧米事業も重要な柱に成長
2. 事業の概要
同社グループは同社、連結子会社89社、関連会社14社の104社(2018年3月末現在)で構成されており、ビル商業施設建材製品、住宅建材製品の建築用金属製品の製造・販売及びメンテ・サービス事業を、日本、北米、欧州及びアジアで展開している。
具体的な製品は、建材の中でもシャッターやドアなど、“動く建材”が中心となっている。これに加えて、国内では間仕切やフロント製品、エクステリア製品などを、北米では車両用ドア製品などを展開している。また取付工事やメンテンス・サービスも収益の重要な一部となっている。
主要な子会社としては、国内では三和シヤッター工業(株)を初め、昭和フロント(株)、沖縄三和シヤッター(株)、三和タジマ(株)、三和エクステリア新潟工場(株)、ベニックス(株)、及び三和システムウォール(株)(2018年4月に三和スピンドル建材(株)から社名変更)の連結子会社7社が挙げられる。海外では、前述のように、北米ではOverhead Door Corporation(ODC)グループが、欧州ではNovofermグループが、それぞれの地域の事業を担っており、傘下に多数の事業会社や地域販売会社を抱え、製品や事業領域によって複数のブランドで展開している。
同社は上記のようなグローバルの事業展開を反映して、情報開示においては、三和シヤッター工業、国内子会社、北米事業(ODC)、及び欧州事業(Novofermグループ、NFと略すこともある)の4つのセクターに分類して売上高及び営業利益以下の主要利益項目を開示している。アジア事業についても、域内の持分法適用会社・その他関係会社系8社合計の売上高と営業利益を開示している。
2018年3月期実績ベースでは、国内の三和シヤッター工業が売上高の48.6%、営業利益の60.4%を占めて収益の中核を形成している。それに続くのが米国のODCグループで、売上高29.3%営業利益31.0%を占めている。欧州のNovofermグループは売上高の16.8%、営業利益の10.2%を占め、存在感を増してきている状況だ。
※各セグメントの売上高および営業利益は内部売上高および内部利益を含みます
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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