三和HD Research Memo(4):2018年3月期は増収増益で着地。計画に対し利益が未達ながら、過去最高を更新
[18/06/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
三和ホールディングス<5929>の2018年3月期決算は、売上高385,673百万円(前期比9.0%増)、営業利益28,322百万円(同7.1%増)、経常利益27,898百万円(同10.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18,280百万円(同7.1%増)と増収増益で着地し、売上高、利益とも、過去最高を更新した。
売上高は前期比9.0%、計画比0.2%増と順調な進捗となった。セクター別に見ても、三和シヤッター工業、国内子会社、ODC(北米)、Novoferm(欧州)の4セクターがいずれも前期比増収となった。計画対比では欧米がともに計画を上回ったのに対し、国内の2セクターはともに計画に対して未達となった。
営業利益は前期比7.1%増ながら計画に対しては6.5%(約20億円)の未達となった。セクター別では欧米の2セクターが前期比、計画比ともに上回ったのに対し、三和シヤッター工業は前期比増益を確保したものの予想比では10.0%の未達となった。国内子会社は前期比2.1%減、計画比38.6%減といずれも下回った。
全社ベースの営業利益の要因分析によると、前期比約18.8億円の増益は、数量増加(44.9億円)と販売価格の上昇(46.7億円)で、原材料価格上昇(49.5億円)とコストアップ(25.1億円)を吸収した構図となっている。
計画に対して約20億円の未達となった要因は、数量効果で-3億円、原材料価格で-4.4億円、販売価格上昇で-5.2億円、コストアップで-7.9億円、為替影響でプラス2.3億円などとなっている。
営業外収支や特別損益、税金負担等に関しては目立った動きはなく、その結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も、営業利益と同様の動き(前期比増収で過去最高更新ながら、計画に対しては未達)での着地となった。
欧米事業は堅調に推移。国内事業は原材料価格や人件費・物流費等の上昇で利益が伸び悩む展開
(1) 三和シヤッター工業
三和シヤッター工業の業績は、売上高187,388百万円(前期比6.3%増)、営業利益17,104百万円(同2.8%増)と増収増益で着地した。しかし計画対比では営業利益は10.0%(約19億円)の未達となっており、結果的には三和シヤッター工業の営業利益が未達となったことが全社ベースの営業利益の未達のほぼすべてを説明している形となっている。
売上高について主要製品別に見ると、最大売上構成比を占めるシャッター製品は、軽量、重量ともに順調に伸長し、前期比6.0%増となった。2番目に構成比が高いドア製品もビル・マンション向けが順調に伸びて同6.2%増となった。また、メンテ・サービス売上高は、法改正に伴う防火設備の法定検査需要の拡大で同12.1%増となった。
一方利益については、数量増加、販売価格上昇という増益要因と、原材料価格上昇、コストアップの減益要因がせめぎ合う構図の中で、前期比では増益を確保したが、計画に対して下回る結果となった。その理由は、1)リードタイム期間中における原材料価格変動(価格上昇)を販売価格に転嫁できなかったこと、2)人材の積極的な獲得で施工費が上昇したことや、物流費・外注加工費の想定以上の上昇により、コストアップの額が想定を上回ったこと、の2つだ。1)については商慣習が大きく影響している。2)の中の施工費は、後述する防火設備検査に関する法改正を受けた先行投資が主な内容となっている。
(2) ODC(北米事業)
ODCグループの業績は、売上高112,815百万円(前期比8.7%増)、営業利益8,778百万円(同12.1%増)で着地した。計画対比でも売上高・利益がともに上回った。
住宅・非住宅ともに業界環境が好調に推移する中、ドア、施工サービス、開閉機の主力3部門は増収を確保した。自動ドアと車両ドアは減収となったが、全社ベースでは前期比6.2%増となった(いずれも現地通貨ベース)。
営業利益段階では、鋼材価格が上昇したことで原材料価格上昇の減益要因が予想を超えて拡大したが販売価格への転嫁が進み鋼材価格上昇のマイナス影響を完全に吸収した。数量増加による増益要因がそのまま残り、為替影響も貢献して、円ベースでは2ケタ増益を達成した。計画対比では数量効果が計画を上回ったことが寄与した。
(3) Novoferm(欧州事業)
Novoferm(NF)の業績は、売上高64,962百万円(前期比21.6%増)、営業利益2,886百万円(同31.9%増)と大幅増収増益となった。持分法適用関連会社だった英国事業(Novoferm UK)の全株式を取得し新規連結としたため、増収率が押し上げられた形となっている。
欧州では全域で市場が回復・拡大基調にあり、その恩恵を受けて、ヒンジドア、ガレージドア、産業用ドアの3分野がすべて増収となった。英国事業の新規連結はガレージドアの拡大が特に貢献した。
利益面では原材料価格上昇を販売価格上昇と数量増加で吸収し、前期比増益を達成した。各増減益項目はほぼ計画どおりに推移したが、数量効果が予想以上に大きくなり、それが計画対比での利益上振れにつながった。
(4) 国内子会社
国内子会社は売上高32,464百万円(前期比6.5%増)、営業利益1,161百万円(同2.1%減)と増収減益で着地した。計画対比では売上高、利益ともに未達となった。
アルミのストアフロントを手掛ける昭和フロントは店舗建設の減少で減収となったが、それ以外は増収基調を維持したほか、三和システムウォールの新規連結もあり、増収を確保した。
利益面では原材料価格の上昇を数量増加と販売価格で補ったがコストアップやその他の減益要因があり、前期比ではわずかに減益となった。計画対比では、原材料価格上昇が想定を超える一方、数量増や販売価格上昇が想定を下回ったため、未達となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MW>
三和ホールディングス<5929>の2018年3月期決算は、売上高385,673百万円(前期比9.0%増)、営業利益28,322百万円(同7.1%増)、経常利益27,898百万円(同10.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18,280百万円(同7.1%増)と増収増益で着地し、売上高、利益とも、過去最高を更新した。
売上高は前期比9.0%、計画比0.2%増と順調な進捗となった。セクター別に見ても、三和シヤッター工業、国内子会社、ODC(北米)、Novoferm(欧州)の4セクターがいずれも前期比増収となった。計画対比では欧米がともに計画を上回ったのに対し、国内の2セクターはともに計画に対して未達となった。
営業利益は前期比7.1%増ながら計画に対しては6.5%(約20億円)の未達となった。セクター別では欧米の2セクターが前期比、計画比ともに上回ったのに対し、三和シヤッター工業は前期比増益を確保したものの予想比では10.0%の未達となった。国内子会社は前期比2.1%減、計画比38.6%減といずれも下回った。
全社ベースの営業利益の要因分析によると、前期比約18.8億円の増益は、数量増加(44.9億円)と販売価格の上昇(46.7億円)で、原材料価格上昇(49.5億円)とコストアップ(25.1億円)を吸収した構図となっている。
計画に対して約20億円の未達となった要因は、数量効果で-3億円、原材料価格で-4.4億円、販売価格上昇で-5.2億円、コストアップで-7.9億円、為替影響でプラス2.3億円などとなっている。
営業外収支や特別損益、税金負担等に関しては目立った動きはなく、その結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も、営業利益と同様の動き(前期比増収で過去最高更新ながら、計画に対しては未達)での着地となった。
欧米事業は堅調に推移。国内事業は原材料価格や人件費・物流費等の上昇で利益が伸び悩む展開
(1) 三和シヤッター工業
三和シヤッター工業の業績は、売上高187,388百万円(前期比6.3%増)、営業利益17,104百万円(同2.8%増)と増収増益で着地した。しかし計画対比では営業利益は10.0%(約19億円)の未達となっており、結果的には三和シヤッター工業の営業利益が未達となったことが全社ベースの営業利益の未達のほぼすべてを説明している形となっている。
売上高について主要製品別に見ると、最大売上構成比を占めるシャッター製品は、軽量、重量ともに順調に伸長し、前期比6.0%増となった。2番目に構成比が高いドア製品もビル・マンション向けが順調に伸びて同6.2%増となった。また、メンテ・サービス売上高は、法改正に伴う防火設備の法定検査需要の拡大で同12.1%増となった。
一方利益については、数量増加、販売価格上昇という増益要因と、原材料価格上昇、コストアップの減益要因がせめぎ合う構図の中で、前期比では増益を確保したが、計画に対して下回る結果となった。その理由は、1)リードタイム期間中における原材料価格変動(価格上昇)を販売価格に転嫁できなかったこと、2)人材の積極的な獲得で施工費が上昇したことや、物流費・外注加工費の想定以上の上昇により、コストアップの額が想定を上回ったこと、の2つだ。1)については商慣習が大きく影響している。2)の中の施工費は、後述する防火設備検査に関する法改正を受けた先行投資が主な内容となっている。
(2) ODC(北米事業)
ODCグループの業績は、売上高112,815百万円(前期比8.7%増)、営業利益8,778百万円(同12.1%増)で着地した。計画対比でも売上高・利益がともに上回った。
住宅・非住宅ともに業界環境が好調に推移する中、ドア、施工サービス、開閉機の主力3部門は増収を確保した。自動ドアと車両ドアは減収となったが、全社ベースでは前期比6.2%増となった(いずれも現地通貨ベース)。
営業利益段階では、鋼材価格が上昇したことで原材料価格上昇の減益要因が予想を超えて拡大したが販売価格への転嫁が進み鋼材価格上昇のマイナス影響を完全に吸収した。数量増加による増益要因がそのまま残り、為替影響も貢献して、円ベースでは2ケタ増益を達成した。計画対比では数量効果が計画を上回ったことが寄与した。
(3) Novoferm(欧州事業)
Novoferm(NF)の業績は、売上高64,962百万円(前期比21.6%増)、営業利益2,886百万円(同31.9%増)と大幅増収増益となった。持分法適用関連会社だった英国事業(Novoferm UK)の全株式を取得し新規連結としたため、増収率が押し上げられた形となっている。
欧州では全域で市場が回復・拡大基調にあり、その恩恵を受けて、ヒンジドア、ガレージドア、産業用ドアの3分野がすべて増収となった。英国事業の新規連結はガレージドアの拡大が特に貢献した。
利益面では原材料価格上昇を販売価格上昇と数量増加で吸収し、前期比増益を達成した。各増減益項目はほぼ計画どおりに推移したが、数量効果が予想以上に大きくなり、それが計画対比での利益上振れにつながった。
(4) 国内子会社
国内子会社は売上高32,464百万円(前期比6.5%増)、営業利益1,161百万円(同2.1%減)と増収減益で着地した。計画対比では売上高、利益ともに未達となった。
アルミのストアフロントを手掛ける昭和フロントは店舗建設の減少で減収となったが、それ以外は増収基調を維持したほか、三和システムウォールの新規連結もあり、増収を確保した。
利益面では原材料価格の上昇を数量増加と販売価格で補ったがコストアップやその他の減益要因があり、前期比ではわずかに減益となった。計画対比では、原材料価格上昇が想定を超える一方、数量増や販売価格上昇が想定を下回ったため、未達となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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