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ロックオン Research Memo(1):18/9期2Qは増収減益。マーケティングPF事業が20%を超える伸び

注目トピックス 日本株
■要約

株式会社ロックオン<3690>は、現代表取締役社長の岩田進氏が大学時代の2000年に創業した関西発のITベンチャーである。広告効果測定システム「アドエビス」、ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」をヒットさせ、いずれも国内シェアNo.1の地位を築き、事業が成長軌道に乗った。クラウド型広告効果測定システムの「アドエビス」は、年々機能を拡張し、2015年にはマーケティングプラットフォーム「アドエビス」として進化し、その利便性が高く評価される。2014年に東証マザーズ市場に上場を果たした。

1. 事業概要
同社の主力事業は、マーケティングPF事業であり、顧客のマーケティング活動を支援する数々の商品・サービスをクラウドベースで提供している。主力の「アドエビス」は、デジタル広告の効果測定・運用に関するツールであり、広告への接触から購入に至るまでの一気通貫で顧客行動やマーケティング施策の効果を把握できる。アクティブな顧客数は年々増加しており、1,479件(2018年9月期第2四半期末、前年同期末比194件増)に達し、大企業から中堅中小企業まで様々な業種で利用されている。顧客の平均単価は75,846円(前年同期比1,927円増)であり、ミドルエンド顧客を対象とし、他社とは棲み分けをしている。インターネット広告市場の成長に伴い、広告効果測定の市場も追い風を受ける。同社は、民間調査会社の発行する市場調査レポートの広告効果測定市場において、ベンダー別売上金額推移およびシェアで3年連続No.1を獲得した。

2. 業績動向
2018年9月期第2四半期の売上高は877百万円(前年同期比3.7%増)、営業損失70百万円(前年同期は102百万円の利益)、経常損失81百万円(前年同期は118百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失58百万円(前年同期は83百万円の利益)となり増収減益となった。売上高に関しては、主力のマーケティングPF事業が前年同期比21.6%増と成長し、全社の成長をけん引した。営業利益に関しては、マーケティングPF事業への積極投資を行い赤字決算とした。弊社試算では、同社の生涯顧客価値(LTV)は約2.7百万円、それに対して実際の1顧客獲得コスト(CAC)は約0.9百万円となっており、結果としてコストは3分の1程度であり、経済的に十分正当化できる投資水準と言えるだろう。

2018年9月期通期の売上高は1,800百万円(前期比4.7%増)、営業損失150百万円(前期は92百万円の利益)を予想する。売上面では、マーケティングPF事業が前期比21.9%増、商流PF事業(EC-CUBE)が前期比20.3%増と好調に推移する見込み。一方で商流PF事業(ソリューション)を移管したために前期比92.2%減と大幅に減少する。全体としては、前期比4.7%増と小幅な増加を予想する。主力のマーケティングPF事業では、マーケティング・セールス強化施策及び新規サービス開発投資の効果が顕在化する。同社の事業はストック型ビジネスであり、上期に獲得した顧客の売上げがそのまま下期に継続して計上されるため、売上予想の精度は高いと考えられる。利益面では、今期は投資フェーズの位置付けであり、成長を重視して投資を継続する。本来10〜20%程度の営業利益率を上げる実力がある同社であるが、開発及びマーケティング&セールスのコストをしっかり使い、成長を優先する方針である。

3. 成長戦略
マーケティングロボットとは、「企業と顧客のコミュニケーション円滑化(自動化・効率化)」を意味する造語であり、同社の登録商標である。マーケティングロボットの開発・進化は同社の中長期的な最重要テーマである。マーケティングロボットは、計測、分析、活用の3層に分かれ、自社開発する分野と他社連携して機能を充実する分野がある。2018年9月期は期初に30社と新規連携を行う計画を立てた。2018年4月時点で、20社と連携を完了しており、目標達成に向けて順調に進捗する。

同社の先行投資の主な対象は人員増強である。ソフトウェア開発のための開発人員が、現在70名(2018年3月末、前年同期比10名増)、セールス・マーケティング人員が27名(同4名増)、全社で133名(同23名増)とここ1年に増加した。2018年9月末にはさらに16名増えて149名を計画する。同社が売り手市場のなかで、採用を加速できる要因としては、関西のITベンチャーでトップランナーであること、ベトナムに開発拠点を持つこと、2018年「働きがいのある会社」ベストカンパニーに6年連続で選出されたことなどが挙げられる。

■Key Points
・マーケティング効果測定のクラウド市場で国内シェアNo.1。着実に顧客数が積み上がるストック型ビジネスモデルが特徴
・2018年9月期第2四半期は増収減益。マーケティングPF事業が積極投資により20%を超える伸び、事業損益赤字も投資は適性水準
・マーケティングロボット開発加速、30社連携は20社まで到達、人員増強も順調

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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