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EMシステムズ Research Memo(1):完全ストック型ビジネスモデルに舵を切り、永続的な発展狙う

注目トピックス 日本株
■要約

EMシステムズ<4820>は、薬局を中心とする医療機関向けに、医療業務処理用コンピュータシステムを開発・販売するITサービス企業。低い初期費用と月々の利用料支払という料金プランに基づいたストック型ビジネスモデルに業界内でいち早く転換したことで、薬局向けシステム市場において30%超の市場シェアを獲得し、リーディングカンパニーの地位を不動のものにしている。

1. 事業概要
薬局向けの医療業務処理用コンピュータシステムの開発・販売を行う調剤システム事業、診療所・クリニック向けの医療業務処理用コンピュータシステムや電子カルテシステムなどの開発・販売を行う医科システム事業、及びその他の事業。

調剤システム事業の主力製品は薬局向け医療業務処理用コンピュータシステム「Recepty NEXT」、及び「ぶんぎょうめいと」。医科システム事業の主力製品は医事会計システムの「MRNクラークスタイル」「ユニメディカル」、電子カルテシステムの「MRNカルテスタイル」「オルテア(Ortia)」。その他の事業については、介護サービス事業者支援システム「つながるケアNEXT」、薬局経営の事業、スポーツジム・保育園経営などの事業。

2. 2018年3月期業績
2018年3月期の業績は、売上高13,953百万円(前期比2.0%増)、営業利益3,063百万円(同17.9%増)、経常利益3,618百万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,369百万円(同12.0%増)となった。

調剤・医科・介護それぞれの分野のソリューションの強化、販路の拡大、情報連携の実現、製品の差別化・新規事業の発掘と拡大、社内の業務プロセス再構築(BPR)の推進によりコストダウンが進んだ。加えて2018年4月の医療・介護保険の同時報酬改定の影響が想定より少なかったことが要因となった。

3. 今後の見通し
同社は医療・介護業界の動向を見据え、永続的に発展成長する企業を目指し、2018年5月に新たに中期経営計画を発表した。2025年問題や超高齢社会に伴う薬価引き下げ、医療費全体の抑制の動きなど、同社の主要顧客である薬局については、今後より厳しい経営環境に巻き込まれる可能性が高い。このため、今までと同様の販売形態では難しいと判断し、一部ストック型ビジネスから完全ストック型ビジネスへの切替を含むビジネスモデルの大きな変更を行う。医療介護情報の連携、AIやビッグデータ活用による医療レベル向上支援、電子処方せんへの対応、健康サポート薬局の支援機能の提供など、顧客の業務負荷と費用負担を下げるため、操作の簡素化・自動化とシステム費用の大幅削減に取り組む。

このため、2019年3月期の連結業績については、売上高12,875百万円(前期比7.7%減)、営業利益1,509百万円(同50.7%減)、経常利益2,138百万円(同40.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,432百万円(同39.6%減)を見込んでいる。

一時的に業績は落ち込むものの、システム導入費用が廉価となり顧客獲得が容易となるため、シェア確保につれて業績も回復する。2023年3月期までに、医科システムのシェア10%、調剤システムのシェア50%、介護システムのシェア5%を確保し、医療・介護業界のシステムにおいてデファクト・スタンダードとなり、永続的な発展成長を狙う計画だ。

■Key Points
・2018年3月期はソリューションの強化、販路の拡大、コストダウンが進捗したこと等により増収増益
・2019年3月期は完全ストック型ビジネスへの切替で、対前期比で減収見込み
・業界動向見据え他社に先んじてビジネスモデルを変更し、永続的な発展成長を狙う

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)


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