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EMシステムズ Research Memo(6):19年3月期はストック型ビジネスへ切換の影響で、一時的に落ち込む見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

EMシステムズ<4820>の2019年3月期の連結業績については、売上高12,875百万円(前期比7.7%減)、営業利益1,509百万円(同50.7%減)、経常利益2,138百万円(同40.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,432百万円(同39.6%減)を見込んでいる。後述する新中期経営計画に沿って、今期中に完全ストック型ビジネスへの切替を行うことで、初期導入の売上低下が見込まれるため、このように減収減益の計画としている。


■中長期の成長戦略
業界動向見据え他社に先んじてビジネスモデルを変更し、永続的な発展成長を狙う
同社は医療介護業界の動向を見すえ、永続する企業を目指し、2018年5月に新中期経営計画を発表した。2025年問題や超高齢社会を踏まえ、同社の主要販売先である薬局に対する調剤報酬改定の中身を詳しく見ると、大手薬局チェーンには厳しい内容となっている。加えて今後は、薬価引き下げの影響が徐々に出てくることが想定されるなど、国の財政から医療費全体の抑制に向けた動きが加速する見通しである。

このため、同社の顧客の業界においては、引き続き厳しい状況が続くと見込まれ、医療・介護業界の再編が加速することも予想される。また、さらに政府は、医療等分野におけるICT化の徹底的な推進を行う方針を示しており、介護を含めた他職種での情報連携に対するニーズが今まで以上に高まることが予想される。これら、2025年に向けて待ったなしの状況であること、そして業績好調で企業体力があることを踏まえ、ビジネスモデルの変更という大きな改革を含めた、新中期経営計画を発表した。

基本戦略としては、医療介護情報連携の実現、先進テクノロジーを活用した高付加価値製品の提供、操作の簡素化・自動化とシステム費用の大幅削減といった3本を柱としている。2019年3月期の期中に、初期料金+課金型の一部ストック型ビジネスであるが、これを完全ストック型のビジネスに切替えるというビジネスモデルの変更を行う。

システム導入の費用が格段に低下し、初期投資+5年間ランニングコストで計算すると、従来比で半減するため、顧客には大きなコストメリットが発生する。加えて、NECとの協業により、患者との問診におけるAI技術の活用、処方せんの解析に用いる画像解析技術の組込みや、医療・介護の情報連携の推進など製品サービスの差別化を図り、機能面でも大きなメリットを受けることが可能になる。

これらにより、顧客数の拡大を図り、2023年3月までに、医科システムは10,000件(シェア10%)、調剤システムは25,000件(シェア50%)、介護システムは10,000件(シェア5%)の確保を図る。

また、これは同社のシェア拡大だけを図っているだけではない。医療介護業界で共通的に必要となる計算ロジックを持つ共通エンジンを他社にも供給するなど、自社だけでなく業界全体の低コスト化、品質向上を図る。これらにより利用者を増やし、同社のシステムが医療・介護業界におけるデファクト・スタンダードとなり、技術面・価格面などにより業界のリーダーシップを取っていく考えである。

この過程で一時的に業績が低下するが、ユーザー数の増加に伴う課金売上の増加で、2021年3月期には2018年3月期比増収、2022年3月期には営業利益が2018年3月期比増益となる計画である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)


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