リソル Research Memo(1):「新しいリソルスタイルの構築」を各事業において推進将来の収益基盤を拡大
[18/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
リソルホールディングス<5261>は、主に運営と不動産を事業ドメインに据えた会社で、ホテルやゴルフ場、リゾートの運営を軸に各種サービスを展開している。同社のビジネスは、単なる事業の集まりではなく、事業同士が重層的なシナジーを醸成することにより、高い付加価値を提供することが大きな目的となっている。リソルグループは「あなたのオフを、もっとスマイルに。」をコーポレートスローガンとしており、すべての事業を通じて“いきがい・絆・健康・くつろぎ”を顧客に提供し、たくさんのスマイルづくりでブランディングを進めている。その象徴が、同社のランドマーク施設である多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」だ。同社グループは、この「リソル生命の森」を幹とし、ホテル、ゴルフ、ライフサポート、リゾートライフを枝とする“ツリー型”構造で事業を展開している。
2. 業績動向
2018年3月期の連結業績は、売上高23,643百万円(前期比6.1%増)、営業利益2,103百万円(同15.7%増)となった。期初計画に対し、売上高で1,643百万円、営業利益で803百万円の超過達成となった。その理由は、ホテルの業績好調に加え、投資再生不動産としてバリューアップした販売用不動産等の売却、「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の収益である。運営面では、ホテル・ゴルフを中心に施設のリニューアル、新しいマーケットの開拓、新運営スタイルへの取組み、新商品や新サービスの提供など顧客満足度の向上を目的に、「新しいリソルスタイルの構築」に取組んだ。開発面では、上野・大阪の新築ホテルの賃貸借予約契約を締結、「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の共同経営を開始するなど収益基盤の拡大を図った。また、バリューアップした販売用不動産(ホテル1件、ゴルフ場1件、ゴルフ場内の販売用不動産1件)を売却した。そのほか、福島県において太陽光発電事業の大型開発造成工事に着手、「大学連携型CCRC」※では千葉大学及び千葉県長柄町と協力して構想案作成を進めている。
※CCRC:Continuing Care Retirement Community の略で、仕事をリタイアした人が第2の人生を心身ともに健康的に楽しむ街(コミュニティ)のこと。
2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高21,500百万円(前期比9.1%減)、営業利益1,300百万円(同38.2%減)を見込んでいる。減収減益の見通しとなっているが、これは2018年3月期に計上した一時的な収益がなくなることなどが要因である。しかしながら、2018年3月期期初における業績予想と同水準であることから、見かけの減収減益とは異なって実態は堅調と言えるだろう。
3. 長期経営目標
同社は、価値基準やテーマに加え、「人にやさしい」「社会にやさしい」「地球にやさしい」の3つの「やさしい」をすべての事業を通じて実現するという長期方針を掲げている。そのなかで、2021年3月期にはROA(総資産経常利益率)5%以上(2018年3月期実績6.1%)、自己資本比率35%以上(同37.2%)、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上(同11.4%)をKPIに、売上高250億円以上(同236億円)、経常利益24億円以上(同20億円)の達成を目指している。今後は、ホテル運営事業で客室数の大幅増加や滞在型ホテル・簡易型ホテルへの進出、ゴルフ運営事業で新しいゴルフスタイルの提案と多角化、再生可能エネルギー事業で発電容量40,000キロワット以上の実現、生命の森事業で“いきがい・絆・健康・くつろぎ”の自主開発プログラム推進、CCRC事業で「産・官・学」が協力した「大学連携型CCRC」の推進、福利厚生事業で差別化商品の開発推進。??などを進め、既に達成しているKPIを堅持しつつ、長期経営目標をグループで着実に進めていく考えである。
4. 中期的な戦略
中長期的に訪日外国人観光客が増加すると予測されているうえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催によるスポーツ熱の高まりもあり、観光・旅行需要とスポーツ需要は持続的に成長していくことが予想されている。このため、当面は、主力事業のホテル運営とゴルフ運営を軸とした成長戦略を展開する方針である。ホテル運営事業では、2017年4月の「ホテルリソル名古屋」の全館リニューアルに引き続き、2018年に京都で3ヶ所、2019年以降は秋葉原、横浜桜木町、上野・大阪で新たに“ホテルリソル”ブランドの運営を開始する計画である。ゴルフ運営事業では、2017年7月に圧倒的コストパフォーマンスを目指した「南栃木ゴルフ倶楽部」を“リ・スタイル”した一方、2018年2月よりハイグレードな「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の運営を中京テレビ放送株式会社との共同経営でスタートした。ポジションのまったく異なるゴルフ場運営で得られるノウハウの相互活用やレストランの一般利用促進により幅広い利用者を獲得、また蓄積したノウハウを活用した外部ゴルフ場へのコンサルティングなどにより業界内での差別化を図る考えである。このほか、再生可能エネルギー事業の拡大、さらには福利厚生事業の回復が中期的な成長ドライバーと期待されており、長期経営目標を達成する基盤となっていくと考える。なお、「リソル」は、事業者間では強いブランド力を誇るが、一般消費者への浸透度はやや低いと言わざるを得ない。このため、同社は現在、一般消費者へ向けて「リソル」ブランドの訴求を強化しているところであり、2018年5月の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」開催期間中に、同社で初めて『スマイル』をテーマとしたTVCMを放映した。
■Key Points
・多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」を幹とする事業構造に特徴
・“ホテルリソル”ブランドの拡大
・長期的には、再生可能エネルギー事業の拡大。CCRCも成長ドライバーに
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<MW>
1. 会社概要
リソルホールディングス<5261>は、主に運営と不動産を事業ドメインに据えた会社で、ホテルやゴルフ場、リゾートの運営を軸に各種サービスを展開している。同社のビジネスは、単なる事業の集まりではなく、事業同士が重層的なシナジーを醸成することにより、高い付加価値を提供することが大きな目的となっている。リソルグループは「あなたのオフを、もっとスマイルに。」をコーポレートスローガンとしており、すべての事業を通じて“いきがい・絆・健康・くつろぎ”を顧客に提供し、たくさんのスマイルづくりでブランディングを進めている。その象徴が、同社のランドマーク施設である多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」だ。同社グループは、この「リソル生命の森」を幹とし、ホテル、ゴルフ、ライフサポート、リゾートライフを枝とする“ツリー型”構造で事業を展開している。
2. 業績動向
2018年3月期の連結業績は、売上高23,643百万円(前期比6.1%増)、営業利益2,103百万円(同15.7%増)となった。期初計画に対し、売上高で1,643百万円、営業利益で803百万円の超過達成となった。その理由は、ホテルの業績好調に加え、投資再生不動産としてバリューアップした販売用不動産等の売却、「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の収益である。運営面では、ホテル・ゴルフを中心に施設のリニューアル、新しいマーケットの開拓、新運営スタイルへの取組み、新商品や新サービスの提供など顧客満足度の向上を目的に、「新しいリソルスタイルの構築」に取組んだ。開発面では、上野・大阪の新築ホテルの賃貸借予約契約を締結、「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の共同経営を開始するなど収益基盤の拡大を図った。また、バリューアップした販売用不動産(ホテル1件、ゴルフ場1件、ゴルフ場内の販売用不動産1件)を売却した。そのほか、福島県において太陽光発電事業の大型開発造成工事に着手、「大学連携型CCRC」※では千葉大学及び千葉県長柄町と協力して構想案作成を進めている。
※CCRC:Continuing Care Retirement Community の略で、仕事をリタイアした人が第2の人生を心身ともに健康的に楽しむ街(コミュニティ)のこと。
2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高21,500百万円(前期比9.1%減)、営業利益1,300百万円(同38.2%減)を見込んでいる。減収減益の見通しとなっているが、これは2018年3月期に計上した一時的な収益がなくなることなどが要因である。しかしながら、2018年3月期期初における業績予想と同水準であることから、見かけの減収減益とは異なって実態は堅調と言えるだろう。
3. 長期経営目標
同社は、価値基準やテーマに加え、「人にやさしい」「社会にやさしい」「地球にやさしい」の3つの「やさしい」をすべての事業を通じて実現するという長期方針を掲げている。そのなかで、2021年3月期にはROA(総資産経常利益率)5%以上(2018年3月期実績6.1%)、自己資本比率35%以上(同37.2%)、ROE(自己資本当期純利益率)10%以上(同11.4%)をKPIに、売上高250億円以上(同236億円)、経常利益24億円以上(同20億円)の達成を目指している。今後は、ホテル運営事業で客室数の大幅増加や滞在型ホテル・簡易型ホテルへの進出、ゴルフ運営事業で新しいゴルフスタイルの提案と多角化、再生可能エネルギー事業で発電容量40,000キロワット以上の実現、生命の森事業で“いきがい・絆・健康・くつろぎ”の自主開発プログラム推進、CCRC事業で「産・官・学」が協力した「大学連携型CCRC」の推進、福利厚生事業で差別化商品の開発推進。??などを進め、既に達成しているKPIを堅持しつつ、長期経営目標をグループで着実に進めていく考えである。
4. 中期的な戦略
中長期的に訪日外国人観光客が増加すると予測されているうえ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催によるスポーツ熱の高まりもあり、観光・旅行需要とスポーツ需要は持続的に成長していくことが予想されている。このため、当面は、主力事業のホテル運営とゴルフ運営を軸とした成長戦略を展開する方針である。ホテル運営事業では、2017年4月の「ホテルリソル名古屋」の全館リニューアルに引き続き、2018年に京都で3ヶ所、2019年以降は秋葉原、横浜桜木町、上野・大阪で新たに“ホテルリソル”ブランドの運営を開始する計画である。ゴルフ運営事業では、2017年7月に圧倒的コストパフォーマンスを目指した「南栃木ゴルフ倶楽部」を“リ・スタイル”した一方、2018年2月よりハイグレードな「中京ゴルフ倶楽部 石野コース」の運営を中京テレビ放送株式会社との共同経営でスタートした。ポジションのまったく異なるゴルフ場運営で得られるノウハウの相互活用やレストランの一般利用促進により幅広い利用者を獲得、また蓄積したノウハウを活用した外部ゴルフ場へのコンサルティングなどにより業界内での差別化を図る考えである。このほか、再生可能エネルギー事業の拡大、さらには福利厚生事業の回復が中期的な成長ドライバーと期待されており、長期経営目標を達成する基盤となっていくと考える。なお、「リソル」は、事業者間では強いブランド力を誇るが、一般消費者への浸透度はやや低いと言わざるを得ない。このため、同社は現在、一般消費者へ向けて「リソル」ブランドの訴求を強化しているところであり、2018年5月の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」開催期間中に、同社で初めて『スマイル』をテーマとしたTVCMを放映した。
■Key Points
・多世代交流型リゾートコミュニティ「リソル生命の森」を幹とする事業構造に特徴
・“ホテルリソル”ブランドの拡大
・長期的には、再生可能エネルギー事業の拡大。CCRCも成長ドライバーに
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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