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レカム Research Memo(5):情報通信機器販売会社から日本発の【グローバル専門商社】へ

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

レカム<3323>は「レカムグループ経営ビジョン」として、以下の行動指針と2017年9月期から2019年9月期までの中期経営計画主要指標を公表している。それによると、「2019年度に中期経営計画主要指標を達成することにより、A&A111+を実現する」としている。2018年9月期第2四半期でちょうど3年間の中期経営計画の半分の期間を終え、進捗状況が順調であることを受け、同社は新たに中期経営計画達成のカギとも言える事業成長のための資金調達の計画と、中期経営計画以降の成長戦略について公表した。

1. 中期経営計画
(1) 経営ビジョン
A&A111+(Action & Achievement「行動、そして以下のNo.1とBest1を達成するというもの」):株主にとって投資リターン「No.1」、顧客にとって「オンリー1」、業界で質量共に「No.1」、従業員にとって最も魅力的な「Best1」企業グループ。

(2) 中期経営計画主要指標
2019年9月期での売上高100億円、営業利益10億円、当期純利益6.8億円、営業利益率10.0%を目標としている。また、オフィスインフラ商材導入率100%の達成、営業マン1人当たり売上で業界No.1の達成なども掲げている。

(3) 資金調達計画
同社は、上記の中期経営計画主要指標を達成するために総額31億円の資金調達を行うことを発表した。内訳は、新株式発行で約5億円、上方修正価額条項(行使価額は1株当たり289円)付き新株予約権約26億円となっている。また、新株予約権が行使されることで調達する資金は、中期経営計画以上の成?を目指すためのM&Aや新規事業展開に充当予定としている。

2. 中期経営計画以降の成長戦略
同社は2019年3月期までの中期経営計画主要指標の達成を見据えて、中期経営計画以降の成長戦略を発表した。具体的な達成目標数値や対象期間については未開示であるが、前記の資金調達を進めるに当たり、長期的な成長戦略を投資家に訴求する目的があるものと考えられる。それによると、基本方針は「情報通信機器販売会社から日本発の【グローバル専門商社】へ」シフトしていくことを標榜している。創業以来続く中核事業の情報通信機器販売事業は、国内においては今後競争激化が予想される。今後は、同社の強みである営業力やM&Aを活用して、海外の日系企業、さらには欧米企業やローカル企業向けにITや環境関連ソリューション、新規事業展開も含めた「グローバル専門商社」に発展するという構想である。成長のコアコンピタンスとして下記の4点の個別戦略を掲げており、M&Aを含めた積極的な成長戦略を取っていくもようである。

(1) 営業社員の育成・戦力化ノウハウ
同社の最大の強みとも言える営業力だが、今回は商品販売力とコンサルティング力という2軸で各事業別の営業力を表現している。それによると、今後は新卒社員の初任配属部門を、比較的売りやすい商材(LED照明や電力コスト削減ソリューションなど)と定め、そこで基本的な営業ノウハウを経験させた上で、他の事業へチャレンジさせ、商品販売力・コンサルティング力を伸ばすという戦略である。従来より早期に営業社員の育成を行い、事業拡大に貢献させる体制を整備したものと考えられる。

(2) 高収益ビジネスの展開
今後効果を発揮することが期待される高収益ビジネスの展開の例として、ここでは環境関連事業と海外法人事業におけるケースを挙げている。

a) レカムIEパートナーを連結子会社化して、その得意とするLED照明の代理店網を獲得したことにより、売上規模が格段に大きくなり、これにより仕入価格を大幅に低減することができ、環境関連事業の競争力向上、ひいては収益向上を実現させることができる。
b) 既に10数年前から中国を始めとした海外拠点を設立し、蓄積した海外経営ノウハウから、海外展開を非常にスピーディーに進めることができており、まずは日系製造業向けにニーズが大きい電力コスト削減などを切り口とした営業を展開し、海外法人事業の収益向上に貢献している。

(3) 中国子会社上場による事業成長の加速化
中国大連子会社であるレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司は、LED照明販売やBPOサービス、デジタル複合機等の販売などを行っている。現在、同子会社の中国での上場申請中であり、上場後はその信用力を活用した中国企業向けのBPO事業や環境関連商材の販売事業の立ち上げ、中国市場向けAI関連事業への進出、株式交換を活用した中国企業のM&Aなどを図り、中国事業の拡大をさらに加速させる予定である。

(4) M&Aの成功パターン化
同社が中期経営計画の目標達成、さらにはそれを上回る事業成長を進めるためには、今後ともM&Aの活用が大きなカギとなると思われる。同社のM&Aの基本ポリシーは、1)直接的なシナジーが見込めること、2)既存事業と同業であること、3)経営手法の親和性の3つの条件を満たすこととしている。また、直近の5年間のM&Aの実績は6件あり、このポリシーに沿った実行により、ほぼ成功しているとしている。単純に事業規模のみの追求でなく、「2020年以降も倍々ゲームの利益成長を目指す」としており、収益性の面でも十分効果を生めるような体制づくりを進めており、積極性と堅実性の両方を兼ねた戦略ということが言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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