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タナベ経営 Research Memo(3):コンサルティング需要の拡大を背景に18/3期は8期連続増収、経常増益を達成

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年3月期の業績概要
タナベ経営<9644>の2018年3月期の業績は、売上高が前期比4.9%増の8,797百万円、営業利益が同6.6%増の936百万円、経常利益が同5.5%増の965百万円、当期純利益が同5.8%増の675百万円といずれも期初会社計画を上回る増収増益となり、売上高、営業利益、経常利益は8期連続の増収増益となった。

国内景気の緩やかな回復基調が続くなかで、事業戦略や事業承継、人材育成といった経営コンサルティングニーズや、売上拡大、ブランディングの向上を目的としたSPコンサルティングニーズは引き続き旺盛に推移し、売上高は経営コンサルティング事業で前期比6.6%増、SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業で同2.7%増といずれも増収となった。営業利益はコンサルタント人材の採用増やIT投資・プロモーション投資等の戦略投資を実施したことによる費用増があったものの、増収効果で吸収し同6.6%増となった。2018年3月期末のコンサルタント人員は前期末比3名増の218名となっている。


経営コンサルティング事業、SPコンサルティング事業とも会社計画を上回る増収増益に
2. 事業セグメント別動向
(1) 経営コンサルティング事業
経営コンサルティング事業の売上高は前期比6.6%増の5,021百万円、セグメント利益は同5.7%増の1,336百万円となった。2018年3月期末の経営コンサルタント人員(人材育成コンサルタント含む)が、前期末比6名増の160名となり、採用費や人件費の増加によりセグメント利益率は前期比0.2ポイント低下したものの、会社計画比では売上高で4.2%、セグメント利益で5.2%上回っている。

商品・サービス別の売上動向を見ると、主力の経営コンサルティングは前期比7.3%増と好調に推移した。ポスト2020年を見据えた「中期経営計画(ビジョン)策定・推進」や、「人材採用・育成・活躍」「事業承継・次世代経営チーム(ジュニアボード)育成」等をテーマとしたコンサルティングニーズが引き続き旺盛だったほか、地域的にも三大都市圏だけでなく地方拠点も含めて全体的に売上が増加した。また、新たな取り組みとして推進している「FCCアカデミー(企業内大学)設立」についても累計約50社で導入が進み、売上増に貢献した。結果、経営コンサルティング契約数は期中平均で前期比21契約増の457契約と過去最高を更新している。

人材育成コンサルティングは前期比4.7%増となった。企業におけるリーダー育成ニーズの高まりを受け、オーダーメイド型教育(研修)が伸長したほか、提携先の金融機関、会計事務所等の職員を対象とした教育も、融資先・顧問先等の成長を実現できるコンサルティングスキルの習得ニーズの高まりを受け伸長した。

セミナーは前期比9.6%増となった。2017年4月、2018年3月に開催した新入社員向けのスタートアップセミナーや、2017年7月から9月にかけて開催したチームリーダースクールで開催会場を増やしたことにより、それぞれ受講者数が増加したことが主因となっている。また、11月から12月にかけて開催した経営戦略セミナーについても、過去最高の受講者数を記録している。セミナー参加社数で見ると、前期比354社増の4,340社に拡大した。

FCC研究会は売上規模こそ小さいものの、前期比10.8%増と引き続き2ケタ成長が続いている。戦略ドメイン&マネジメント研究会では、2017年9月より「尖端技術」「新規事業開発」「教育・学習ビジネス」、10月より「一番に選ばれる金融機関を目指す」をテーマとした研究会が加わり、既存のテーマと合わせて開催実施数が増加したことが増収要因となっている。参加社数は前期比120社増の997社に拡大し、売上増とともにコンサルティング契約への導線としても大きく貢献した。

アライアンス(提携)は前期比9.7%減と唯一、減収となった。提携先金融機関、会計事務所における勉強会「経営塾」を実施し、中堅・中小企業を支援するオリジナルプログラムやサービスの提供に取り組んだものの、地域金融機関の再編が進んだことも影響して提携先数が前期比9件減の139件となったことや、経営情報誌等の各種会員組織の会員数が減少したことが減収要因となった。

(2) SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業
SP(セールスプロモーション)コンサルティング事業の売上高は前期比2.7%増の3,776百万円、セグメント利益は同28.8%増の202百万円となった。付加価値の高いSPコンサルティングの売上が好調に推移したことで、セグメント利益率は前期比1.1ポイント上昇の5.4%と上昇傾向が続いている。また、会社計画比でも売上高で1.2%、セグメント利益で22.8%上回り、ここ数年進めている収益性向上施策が順調に進んでいると言える。なお、2018年3月期末のSPコンサルタント人員は前期末比で3名減の58名となった。SPデザインコンサルタントが所属する「SPデザインラボ」を「デザインラボ」として戦略総合研究所に移管したこと等が要因となっている(戦略総合研究所の人員は前期末比9名増の32名)。

商品・サービス別の売上動向を見ると、注力分野であるSPコンサルティングが前期比17.2%増と好調に推移し、売上構成比でも前期の約4割から約5割に上昇した。経営コンサルティング事業との連携による提案等によりコンサルティング契約数が増加したほか、同社の専門コンサルタントがデザインした独自性のある付加価値の高いプロモーション商品(SPデザイン)で、大型案件を受注したことが大幅増収につながった。また、SP領域でも関心の高いテーマについて戦略ドメイン研究会を開催し、見込み顧客の集客を実施したことも売上増に貢献している。2018年3月期は、新たに「食品販売促進戦略」「住宅マーケット集客プロモーション」をテーマとした研究会を発足し、2016年から開催している「こども・子育てファミリーマーケット成長戦略」と合わせて3つの研究会を開催した。

SPツール(定番アイテムに名入れ加工等を施すノベルティ)は前期比10.3%減となった。継続した受注はあるものの、より付加価値の高いSPデザインに注力したことで減収となっている。

ダイアリー(手帳・カレンダー)については、前期比横ばいで推移した。2019年に発行60周年を迎えるブルーダイアリーのリ・ブランディング活動を進めており、その一環としてロゴマークの変更や、ブランディングブックの製作、ホームページのリニューアルを実施したこともあり、安定した継続受注につながった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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