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ミロク情報 Research Memo(5):2019年3月期は2ケタ増収増益、8期連続最高益を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年3月期業績の見通し
ミロク情報サービス<9928>の2019年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.9%増の30,600百万円、営業利益で同12.6%増の5,050百万円、経常利益で同13.0%増の5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同14.3%増の3,290百万円と2ケタ増収増益となる見通し。

前期からの期ずれ案件も含めて企業向けERPシステムが伸張し、ソフトウェアの販売増を見込んでいるほか、ストック型ビジネスであるサービス収入も顧客数増加により増収が続く見通し。また、ビズオーシャンやmmapの一段の成長も見込んでいる。売上総利益率はファイナンス・ネット関連の新規事業領域の取り組みを強化していくため前期比0.4ポイント低下するが、販管費率が増収効果によって同0.7ポイント改善し、営業利益率では同0.2ポイント上昇する見通し。また、システム導入契約売上高の受注残についても、さらに上積みすることを目指している。

2019年3月期は、「2020年3月期の2ケタ増収増益」を実現可能なものとするための事業基盤構築に取り組んでいく。主な施策は以下のとおり。

(1) 新規顧客の開拓、システム導入における生産性向上
ERPシステムを活用した業務コンサルティング力向上のための人財育成に注力するほか、パートナー販売体制の強化及びパートナー企業の育成に取り組み、新規顧客の開拓を進めていく。また、ERPシステムの導入工数削減によって導入期間を短縮し、生産性の向上を図っていく。

(2) bizskyプラットフォーム事業の加速とクラウド製品の機能拡充
中小企業向けの金融・ビジネスプラットフォームである「bizsky」の基盤拡充と金融機関との連携に注力していく。「bizsky」上では2016年以降、「楽たす振込」や「楽たす給与振込」、「Edge Tracke(エッジトラッカー)」※1、「MJSお金の管理」※2等を順次スタートしている。2018年4月には従来の「記帳くんCloud」の代替サービスとして「かんたんクラウド」シリーズの提供を開始したほか、同年11月には「Edge Tracker」に経費精算サービスを強化する等、今後も様々な追加機能を拡充していく予定だ。そのほか、FinTech及びAI利活用動向の調査研究のための体制強化を進め、次世代製品の開発に生かしていく。

※1 中堅・中小企業の従業員向けクラウドサービスで、2017年10月にリリース。ERPシステムとの連携により、勤怠管理、給与明細参照等の管理業務の「リアルタイム・時短・見える化」を実現し、従業員の業務効率化と同時に、スピーディーな経営情報の活用を可能とした。マルチデバイスに対応している。
※2 複数の金融機関口座の入出金データ等の取引情報データを自動収集し、お金の流れをPCやスマートフォンで簡単に記録できるスマート通帳型サービス。2018年3月に提供開始した。同社が会計事務所向けに提供する「ACELINK NX-Pro」と連携しており、会計事務所は同サービスを活用する顧問先企業の収支状況を迅速に把握することが可能となる。会計事務所にとっては、顧問先企業へのタイムリーな経営指導や決算業務の早期化等、サービス向上につながることになり、会計事務所向けの支援サービスとも言える。このため、利用料は無料で提供している。


(3) 事業承継支援サービス事業・保険事業の推進
mmapとの協業により事業承継支援サービスの拡大を推進していくほか、会計事務所向けサービス拡充のための保険代理店事業への取り組みを進める計画で、両事業拡大のため会計事務所との提携・連携をより一層強化していく方針となっている。

mmapに関してはM&A市場における国内トップのセルサイド(売り手側)プラットフォームの構築を目指している。同社の顧客ネットワークを活用し、2018年3月期末で3,264事務所と提携を結んでいるが、2019年3月期において3,830事務所まで提携先を拡大し、相談件数並びに成約件数の拡大によって、前期比約2倍増の売上成長を目指していく。事業拡大のカギを握るのはM&Aアドバイザリーの増員と、相談から成約に至るまでの期間短縮(生産性向上)である。アドバイザリーについては2018年3月期末時点で約10名だが、更なる増員を目指していく。また、生産性向上への取り組みとしては、2018年3月期にマッチングサイトを立ち上げたほか、パートナーの会計事務所に対して「企業評価システム」を無償提供し、実現性の高い相談案件を抽出する等の取り組みを進めている。また、金融機関34行とも提携し、事業承継案件の情報交換を進めており、今後もネットワークを広げていく考えだ。営業利益に関しては2018年3月期に黒字転換しており、今後も事業規模の拡大によって収益貢献が期待される。


2019年3月期は企業向けERPシステムとbizocean、事業承継支援サービスの高成長を見込む
2. 売上高見通し
システム導入契約売上高については、前期比8.1%増の18,291百万円となる見通し。内訳を見ると、一般企業向けが同12.1%増の10,006百万円、会計事務所向けが同4.8%減の5,309百万円、その他が同23.2%増の2,976百万円となる。

一般企業向けに関しては既存顧客のリプレース時期がピークを迎えるため、当期は既存顧客のリプレース需要を確実に取り込んでいくことに注力する方針だ。このため、新規顧客向けに関しては保守的に見ている。一方、会計事務所向けに関しては、単年度ライセンス契約への移行が段階的に進んでいくことを前提に減収を見込んでいる。その他についてはパートナー向け売上で前期比2ケタ伸張を目指す。前期から取り組んでいるサポート体制強化の効果が顕在化することが期待される。

一方、サービス収入については、前期比2.0%増の9,659百万円となる見通し。企業向けのソフトウェア運用支援サービスについては新規顧客開拓を保守的に見ていることもあり、同0.8%増と微増にとどまるが、会計事務所の顧問先企業向けクラウドサービスの拡充により、ソフト使用料が同8.4%増と順調な拡大が見込まれる。会計事務所向けの保守サービスとなるTVSについても同1.7%増と堅調に推移する見通しだ。

その他売上高については、前期比122.3%増の2,650百万円と大幅増収となる見通し。このうち、子会社のビズオーシャンの売上高は前期の940百万円から1,200百万円に、mmapで展開する事業承継支援サービスについては前述したとおり、前期の170百万円から360百万円にそれぞれ増加する見通し。その他にも新規サービスの投入を計画していると見られる。

ビズオーシャンについては、ビジネス情報サイト「bizocean」の登録会員数が前期末の232万人から250万人と順調に拡大することによる広告収入の増加や有料課金サービスの増収を見込んでいる。また、2017年10月より提供を開始した「SPALO(スパロ)」の売上貢献も期待される。

「SPALO」はLINE BOTやIBMのWatsonのAI技術を活用して、スマートフォン内でExcelに自動音声入力できるドキュメント作成サービスとなる。主に、営業報告書や業務日報等の作成での利用を想定している。従来もチャットボットによる音声テキスト入力システムはあったが、「SPALO」の特徴は音声入力された文章をWatsonが解析・分類することで、ドキュメント(報告書・帳票等)内の正しい項目を選び出し自動入力できることにある。サービスプラン※としては個人向けプランと法人向けプランに分かれており、現在は数社から受注し導入を進めている段階だ。

※個人向けプランは初期導入費用、月額基本利用料が無料で、ファイル保存料が11回以上で従量課金制となる。また、法人向けプランは初期導入費用が30万円〜(帳票サイズや項目数により変動)、月額基本利用料はBtoEプラン(従業員向け)で5,900円〜、BtoCプラン(店舗等の不特定多数利用を想定)で25,000円、ファイル保存料はBtoEプランで26回以上から従量課金制、BtoCプランで1,001回以上から従量課金制となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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