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APAMAN Research Memo(3):2018年9月期第2四半期累計業績は、ほぼ想定通りに推移

注目トピックス 日本株
■APAMAN<8889>の業績動向

1. 2018年9月期第2四半期累計業績の概要
2018年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の20,771百万円、営業利益が同16.5%減の1,002百万円、経常利益が同31.9%減の682百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が441百万円(前年同期は492百万円の利益)となった。Sharing economy事業への先行投資で約3億円の費用増となったことが減益要因となったが、Platform事業やCloud technology事業はいずれも増収増益となっており、既存事業については収益力強化に向けた施策の効果が着実に出てきている。

2018年3月末の従業員数は前期末比で112名増と1割程度増加し、うち約50名をSharing economy事業に配属している。先行投資の中身としては、民泊事業の準備費用や「fabbit」の新拠点開設費用、「ecobike」の購入費用、人件費増などが含まれており、これら先行投資費用の増加分を除けば、営業利益も増益だったことになる。全体の人件費では前年同期比150百万円の増加となった。

営業外収支が前年同期比で121百万円悪化したが、主な増減項目を見ると金融収支の改善で31百万円、持分法による投資損益の悪化で64百万円(主にシステムソフト<7527>の悪化)、雑損失の増加で117百万円となっている。また、特別利益として福岡県のホテル及び商業施設「あるあるCity」の売却を実施したことに伴う固定資産売却益137百万円(売却額は約166億円)を計上したが、同物件の売却に伴う繰延税金資産の取り崩しにより、法人税等で約8億円の増加要因となったことが四半期純損失の計上につながった。


Platform、Cloud technology事業は増収増益に
2.事業セグメント別動向
(1)Sharing economy事業
Sharing economy事業の売上高は前年同期比2.2%増の616百万円、営業損失は154百万円(前年同期は140百万円の利益)となった。前述したように先行投資費用の増加分が利益減に直結した格好となった。売上高の約8割はParking事業、約2割はコワーキング事業の構成となっており、Parking事業については営業利益で1億円程度と堅調に推移し、コワーキング事業や民泊、Sharing Cycle事業の先行投資が減益要因となった。

Parking事業における2018年3月末のパーキング台数は前年同期比77台増の2,386台と着実に増加している。また、2017年11月には軒先と資本業務提携を締結しており、同社が管理する駐車場のうち、空き区画を「軒先パーキング」に登録している。今後はアパマンショップFC店で管理する賃貸物件に付帯する駐車場及び月極め駐車場の空き区画の登録についても順次、登録を進めていく予定になっている。

また、コワーキング事業については拠点の拡大、リニューアルに取り組み、2018年3月時点で国内20拠点、海外2拠点の合計22拠点(施工中・契約済み含む)に展開している。このうち、「fabbit大手町」については満室になるなど稼働状況は良好に推移しているようだ。なお、栄(名古屋)、銀座、青山(東京)は2018年4月にオープンしている。

Share Cycle事業に関しては、2018年3月にソフトバンクグループ<9984>のOpenStreet(株)と業務提携を締結し、OpenStreetが運営するシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を活用して、「ecobike」のブランド名で東京、福岡でサービスを開始した。

(2)Platform事業
Platform事業の売上高は前年同期比3.4%増の16,262百万円、営業利益は同2.7%増の1,276百万円となった。売上高の基盤となる賃貸斡旋業務を行うアパマンショップの直営店舗数は前年同期比3店舗増の108店舗となり、物件管理戸数は同4,066戸増の75,144戸とそれぞれ増加した。

管理戸数の増加に加えて、24時間駆付けサービスや家財保険、家賃保証など付帯商品の販売が好調だったことが増収要因となった。利益面では、人員体制を強化したことで人件費が増加したものの、付帯商品の内製化による粗利額の増加(前年同期比11%増の1,014百万円)や、賃貸管理業務の原価低減が進んだことが増益要因となった。

(3)Cloud technology事業
Cloud technology事業の売上高は前年同期比8.8%増の3,857百万円、営業利益は同67.4%増の346百万円となった。FC店舗数は前年同期比13店舗減少の1,036店舗となったが、紹介CLOUD(顧客獲得)や来店CLOUD(顧客分析)、査定CLOUD(適正家賃の査定)など各種クラウドサービスのFC店舗への導入が進んだことが増収増益要因となった。特に、査定CLOUDについては従来属人的に行っていた適正家賃の査定を、コンピュータで近隣の家賃データとも比較しながら自動的に算出するシステムで、不動産オーナーからの評判も良く、最も引き合いが多かったサービスとなっている。

(4)その他事業
その他の事業は売上高で前年同期比27.8%減の732百万円、営業損失で131百万円(前年同期は82百万円の営業損失)となった。2018年1月に福岡のホテル及び商業施設を約166億円で売却したことで、賃貸収入が減少したことが主因となっている。同物件の売却による営業利益の影響額は、約30百万円のマイナス要因となっている。今後も投資不動産業務については、規模を縮小していく方針だ。


保有不動産の売却により財務体質が大幅に改善
3. 財務状況と経営指標
2018年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比11,562百万円減少の32,084百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では保有不動産の売却に伴い現金及び預金が2,502百万円増加したほか、受取手形及び売掛金が413百万円、営業投資有価証券が268百万円増加した。また、固定資産では保有不動産の売却により有形固定資産が12,232百万円、のれんが3,260百万円それぞれ減少した一方で、「fabbit」の拠点拡大に伴い敷金及び保証金が368百万円増加した。

負債合計は前期末比で10,897百万円減少の26,726百万円となった。有利子負債が11,165百万円減少したことが主因となっている。また、純資産は前期末比665百万円減少の5,357百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失441百万円の計上と配当金支出212百万円が減少要因となった。

財務の健全性を占める自己資本比率は、保有不動産の売却により有利子負債の削減を進めたことで前期末の13.6%から16.4%へ上昇し、また、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)は前期末の4.48倍から2.92倍まで低下するなど財務内容は大幅に改善した。ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債)についても、まだマイナスではあるものの前期末から13,667百万円改善している。同社では今後も保有不動産の売却や収益増により有利子負債の削減を進め、財務体質をより筋肉質なものに変えていく方針としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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