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千葉銀行 Research Memo(5):戦略的アライアンス推進や更なる営業基盤拡充、地域とともに持続的な成長へ(2)

注目トピックス 日本株
■中期経営計画の概要と進捗

(9) 国際業務
千葉銀行<8331>は地銀最大級の拠点網や現地金融機関との提携等により、貿易取引の支援や海外の最新情報の提供、販路拡大を目的とした商談会の実施など、顧客の海外ビジネス拡大を積極的にサポートしているが、今後も資金調達の多様化を図りながら国際業務の拡大を目指す。また、武蔵野銀行やTSUBASAアライアンス加盟行からのトレーニー受入れも行っており、アライアンス各行の取引先企業のファイナンスニーズにも積極的に対応することで収益機会の拡大を図る。2018年3月期の海外支店における日系企業向け貸出件数は93件(前期比13件増)、残高は1,311百万ドル(同21.8%増)と順調に伸びている。

(10) 働き方改革・業務改革
急速なデジタル化の進展やライフワークバランスへの意識の高まり、将来的な労働力不足等を見据え、前中期経営計画での取り組み※を引き継ぎ、働き方改革による長時間労働時間の是正や業務効率化を推進する。店頭・店内業務や融資・ローン業務などの効率化を進め、総人員を維持しながら業務改革等により捻出した人員を成長分野・部門へ再配置する方針であり、最終的には880人程度の捻出を目標(中期的には600人程度の再配置)に掲げている。

※2016年9月に「次世代営業店モデル」の実証実験を開始。タブレット端末等を活用することで、顧客の利便性を高めると同時に、店頭及び後方の事務量削減を目指している。また、「環境」「業務」「制度」「意識」の4つの改革を柱に、ITを活用した業務の抜本的な見直しやワークスタイル変革を進めている。


(11) FinTech
TSUBASAアライアンス加盟行やT&Iイノベーションセンター※1との連携により、FinTechを活用した新たなサービスの開発やデジタルバンキングの推進に取り組む。2018年4月にはシステム自由度の高いAPI※2共通基盤を構築し、新たなサービスを開始※3。今後もニーズの変化に対応しながら様々な可能性を検討していく方針である。

※1 FinTechの調査・研究のための共同出資会社T&Iイノベーションセンター(2016年7月設立)。出資比率は同行40%のほか、第四銀行・中国銀行・伊予銀行・東邦銀行・北洋銀行・日本IBMが各10%となっている。
※2 Application Programing Interfaceの略。外部事業者等が銀行のシステムに接続し、サービスを利用できるようにするためのプログラム。
※3 まずは本人口座間の振替などのサービスを開始。今後は、デジタル通帳の開発のほか、決済関連の外部事業者や会計ソフトとの連携などによる利便性向上に加え、営業ツール(ロボアドバイザーによる運用シミュレーション等)としての活用も検討していく。


(12) 戦略的アライアンス
3年目を迎える「千葉・武蔵野アライアンス」の更なる強化を目指す。引き続き、アセットマネジメント業務における提携のほか、シンジケートローンの共同組成・顧客紹介、相続関連業務や証券業務における提携など、トップライン収益の拡大を図るとともに、ATMの共同購入や、サブシステム及びバックオフィス、コールセンター共同化などによりコスト削減を目指す。また、今期は店舗の共同設置(秋葉原支店浜松町法人営業所やシンガポール駐在員事務所)やAPIなどでも連携を図っている。一方、「TSUBASAアライアンス」についても、引き続き、IT・FinTech分野を始め、幅広い分野で地域の枠を超えたパートナーシップを深めていく。

弊社では、中期経営計画初年度の前期業績は順調な滑り出しとなったものの、厳しい収益環境が続くなかで、計数目標達成に向けたハードルは決して低い水準ではないとみている。ただ、同行の場合には、1)地盤に恵まれていること、2)他行にはない強みを持っていること、3)新たな収益ドライバーが軌道に乗ってきたことから、持続的な成長を実現することは可能であると評価している。特に、3)については、戦略的アライアンスにおけるシナジー創出とポテンシャルの大きい戦略的営業地域への展開、手数料収入の積み上げ等による収益力の強化がカギを握るものと捉えている。戦略的アライアンスが加速してくれば、さらに加盟行の参加を促すネットワーク外部性が働く上、同行には専門性を持った人材やノウハウが集まってくる好循環も期待できる。当中計期間中には、同行の将来像はもちろん、業界再編の方向性もある程度見えてくることが想定され、その動向にも注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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