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3Dマトリック Research Memo(1):止血材販売は前期比2倍増ペースで拡大、その他も製品化に向けて動き出す

注目トピックス 日本株
■要約

スリー・ディー・マトリックス<7777>は2004年に設立されたバイオマテリアル(医療用材料)のベンチャー企業である。米マサチューセッツ工科大学において開発された「自己組織化ペプチド技術」を使って外科医療分野の吸収性局所止血材(以下、止血材)や粘膜隆起材、再生医療分野の歯槽骨再建材のほか、医薬品分野では核酸医薬向けDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)等の開発を国内外で進めている。

1. 2018年4月期業績
2018年4月期の事業収益は前期に計上した契約一時金508百万円が無くなったため、前期比62.9%減の228百万円と減収となったが、製品売上高だけで見ると欧州、オーストラリアで止血材の販売が拡大し、同113.4%増の228百万円となった。契約一時金がなくなったことに加えて、国内での止血材の臨床試験開始に伴う研究開発費や海外での販売費用が増加したことにより、営業損失は1,874百万円と前期比で634百万円拡大した。その他のパイプラインの進捗状況では、2017年12月に欧州で後出血予防材のCEマーキング再申請を行ったほか、第3四半期より米国で耳鼻咽喉科領域における癒着防止材としての前臨床試験を開始した。また、国内で臨床試験を一時中断していた粘膜隆起材に関しても、製材の改良が進展したことにより、臨床試験再開に向けた準備を進めていく予定となっている。

2. 2019年4月期業績見通し
2019年4月期の事業収益は512〜2,562百万円、営業利益は2,217百万円の損失から203百万円の利益を計画している。事業収益の幅は契約一時金及びマイルストーン収入の有無によるもので、主に欧州市場での止血材の独占販売ライセンス契約の有無で2,000百万円を見込んでいる。また、製品売上高については引き続き欧州、オーストラリアでの販売増により、同124.0%増の512百万円を計画している。欧州では前期から販売代理店となったPENTAX向けがフル寄与するほか、前第4四半期に代理店となったUDGヘルスケアの英国販売子会社向けの売上増が期待できる。また、オーストラリアでも販売先医療施設の拡大による売上増が続く見通しだ。開発パイプラインでは、国内止血材が2018年の臨床試験終了、2019年4月期中の承認申請を目指しているほか、欧州では後出血予防材のCEマーキング取得を2018年秋頃と見込んでいる。また、米国では癒着防止材の510(k)申請※を第3四半期に行い、2019年4月期中の承認取得を目指しているほか、創傷治癒材もテストマーケティングを開始する。次世代止血材については当第3四半期以降に欧州で臨床試験の開始を予定している。同社は開発資金等の確保を目的に2018年7月に第三者割当による新株予約権を発行しており、調達額として約26億円を見込んでいる。

※510(k)申請とは市販前届出制度のこと。米国内で医療機器を販売する際に、既に販売されている類似製品があれば安全性や有効性において同等以上であることのデータをFDA(米国食品医薬品局)に提出することで、販売の許認可が得られる制度。申請後、FDAが90日以内に販売承認の可否の判断を行う(質問・追加データ要請等の時間を除く)。


3. 中期経営計画
今回新たに発表された中期3ヶ年計画では、最終年度となる2021年4月期の事業収益で5,724〜8,374百万円、営業利益で1,796〜5,218百万円を目標として掲げた。1年前の中期経営計画と比較するとほぼ1年、先送りされた数字となっている。欧州での止血材の販売が計画よりも遅れ気味となっており、関連して欧州での独占販売ライセンス契約の締結も遅れていることが要因だ。このため、同社は臨床現場でのサポート体制を厚くするなど営業体制を強化するほか、有力代理店との連携を緊密に図っていくことで欧州での売上拡大を目指し、独占販売ライセンス契約につなげていく考えだ。後出血予防材は2018年秋以降、癒着防止材は2020年4月期以降にそれぞれ売上げに貢献することが予想され、計画どおりに進捗すれば2021年4月期以降は製品売上高だけで50億円を超え、営業黒字化が見込めることになる。

■Key Points
・止血材「PuraStat®」は後出血予防材、癒着防止材として応用展開を進める
・2019年4月期は止血材販売が2倍増ペースで拡大するほか、その他パイプラインの開発も進捗する見込み
・2021年4月期には製品売上だけで売上高50億円超えを目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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