アドバネクス Research Memo(1):今期期中より新製品量産が続々と開始される
[18/07/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。市場戦略として自動車、医療、インフラ・住設を重点分野とし、さらに二次電池、航空機などに注力する。長いリードタイムを脱して、2019年3月期中より拡大期へ移行する。
1. 2018年3月期の業績概況
売上高の5割弱を占める自動車産業向けは、引合いから量産までのリードタイムが4〜6年とOA機器・家電の半年、携帯電話の2〜3ヶ月に比べ長い。サンプル納品から品質検証の期間も体制を維持するため、人件費を含め量産前から先行投資の固定費負担が始まり、ここ数年の利益圧迫要因となっている。2018年3月期は、売上高が前期比13.6%増の20,294百万円、営業利益が同5.0%増の259百万円にとどまった。経常利益が営業外費用の為替差損もあって、同31.5%減となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、買収子会社ののれん代の減損損失により、同25.9%減少した。
2. 工場別収益改善の取組み
工場の収益状況は、開設もしくは買収後の経過年数で分かれる。5年以上経過している工場は総じて黒字で、4年未満は赤字となる。2018年3月期の営業利益は259百万円であったが、利益を出している工場の営業利益の合算額は中期経営計画の2021年3月期の目標値である12億円に相当する。黒字工場は年率10%成長を目指し、赤字工場は赤字幅の圧縮や黒字化に取り組む。
最大の赤字を計上した埼玉工場は、2019年3月期上期中に自動車産業向け品質マネジメントシステム規格「ISO/IATF16949」の認証が下りる見込みのため、新製品の量産化が加速し赤字幅は縮小へ。メキシコ工場は、日本からの営業支援を強化し、2019年3月期中に新製品の量産を開始し、来期に黒字化を目論む。千葉工場は、2015年と比べて携帯関連の売上げが半減したが、2019年3月期よりコンタクトプローブ用部品の量産を開始して巻き返しを図る。アメリカ工場は、前期にあったメキシコ工場の立ち上げ支援が終了する一方、イギリス工場で手掛けている医療向け新製品の量産をアメリカでも開始することから収益が改善する。子会社化したインドネシア工場は、同社の生産技術や品質・納期管理システムを導入して業績回復を進める。新たな生産技術を習得し、2020年3月期以降に新製品の量産を狙う。
3. 高い顧客評価
自動車市場では、Tier1による同社のグローバルTier2としての存在の認知度が高まっている。グローバル供給体制が高く評価され、グローバルベースで発注窓口が一本化される傾向が出てきた。さらに、発注予定のアイテムを優先的に受注できる優先サプライヤー認定を目指す。
■Key Points
・“グローバルニッチトップ”のブルーオーシャン戦略
・収益プラス工場の営業利益合算額は12億円
・メガサプライヤーがグローバルTier2のビジネスモデルを高く評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<SF>
アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。市場戦略として自動車、医療、インフラ・住設を重点分野とし、さらに二次電池、航空機などに注力する。長いリードタイムを脱して、2019年3月期中より拡大期へ移行する。
1. 2018年3月期の業績概況
売上高の5割弱を占める自動車産業向けは、引合いから量産までのリードタイムが4〜6年とOA機器・家電の半年、携帯電話の2〜3ヶ月に比べ長い。サンプル納品から品質検証の期間も体制を維持するため、人件費を含め量産前から先行投資の固定費負担が始まり、ここ数年の利益圧迫要因となっている。2018年3月期は、売上高が前期比13.6%増の20,294百万円、営業利益が同5.0%増の259百万円にとどまった。経常利益が営業外費用の為替差損もあって、同31.5%減となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、買収子会社ののれん代の減損損失により、同25.9%減少した。
2. 工場別収益改善の取組み
工場の収益状況は、開設もしくは買収後の経過年数で分かれる。5年以上経過している工場は総じて黒字で、4年未満は赤字となる。2018年3月期の営業利益は259百万円であったが、利益を出している工場の営業利益の合算額は中期経営計画の2021年3月期の目標値である12億円に相当する。黒字工場は年率10%成長を目指し、赤字工場は赤字幅の圧縮や黒字化に取り組む。
最大の赤字を計上した埼玉工場は、2019年3月期上期中に自動車産業向け品質マネジメントシステム規格「ISO/IATF16949」の認証が下りる見込みのため、新製品の量産化が加速し赤字幅は縮小へ。メキシコ工場は、日本からの営業支援を強化し、2019年3月期中に新製品の量産を開始し、来期に黒字化を目論む。千葉工場は、2015年と比べて携帯関連の売上げが半減したが、2019年3月期よりコンタクトプローブ用部品の量産を開始して巻き返しを図る。アメリカ工場は、前期にあったメキシコ工場の立ち上げ支援が終了する一方、イギリス工場で手掛けている医療向け新製品の量産をアメリカでも開始することから収益が改善する。子会社化したインドネシア工場は、同社の生産技術や品質・納期管理システムを導入して業績回復を進める。新たな生産技術を習得し、2020年3月期以降に新製品の量産を狙う。
3. 高い顧客評価
自動車市場では、Tier1による同社のグローバルTier2としての存在の認知度が高まっている。グローバル供給体制が高く評価され、グローバルベースで発注窓口が一本化される傾向が出てきた。さらに、発注予定のアイテムを優先的に受注できる優先サプライヤー認定を目指す。
■Key Points
・“グローバルニッチトップ”のブルーオーシャン戦略
・収益プラス工場の営業利益合算額は12億円
・メガサプライヤーがグローバルTier2のビジネスモデルを高く評価
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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