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ジェイテック Research Memo(2):「技術職知財リース事業」と「一般派遣及びエンジニア派遣事業」が2本柱

注目トピックス 日本株
■事業概要と沿革

創業は1996年。以来、日本が持つ「匠」の精神を継承し、「技術商社」として取引先とパートナーシップを築きながら発展してきた。技術職知財リース専門のソリューションカンパニーであり、数多くのテクノロジスト(高度技術者)を産業界に送り込んでいる。

ジェイテック<2479>のセグメントは、「技術職知財リース事業」と、「一般派遣及びエンジニア派遣事業」の2つに分かれている。技術職知財リース事業は、同社本体(機械、電気・電子、ソフトウェア技術者派遣)と、ジェイテックアーキテクト(建設技術者派遣、旧:(株)エル・ジェイ・エンジニアリング、2015年10月1日付で社名変更)が展開し、一般派遣及びエンジニア派遣事業は、全額出資子会社のジェイテックアドバンストテクノロジ(旧:(株)ジオトレーディング、2015年10月1日付で社名変更)が行っている。

技術職知財リース事業は、新製品の開発や設計といった専門的で高度な技術を保有する人材であるテクノロジストを数年間のスパンで派遣する。一般派遣及びエンジニア派遣事業は、短期の開発案件に対応するための人材派遣や、中高年の技術者派遣、工場の製造部門への人材派遣などが中心である。また、イベント支援スタッフの請負、携帯ショップ支援作業、住宅販売・運送業などの販売支援のための人材派遣、ポスティング事業も展開している。グループ全体の売上高のうち技術職知財リース事業の割合は約95%、一般派遣及びエンジニア派遣事業は約5%だ。

■業績動向

● 2018年3月期決算
(1) 売上高及び利益の概要
5月8日に発表したジェイテック<2479>の2018年3月期の連結決算は、 売上高が前期比8.3%減の3,054百万円、営業利益が同37.4%減の77百万円、経常利益が同38.1%減の76百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同62.4%減の33百万円と減収減益を余儀なくされた。

技術職知財リース事業が、情報処理、半導体関連などの顧客企業からの取引が増加したものの、他の分野の減収をカバーできなかったほか、一般派遣及びエンジニア派遣事業も情報処理関連で一部が技術職知財リース事業にシフトしたため減収。トータルの売上高もダウンした。

一方、利益面では、売上原価は原価率をしっかりと管理し、70%台にコントロールしている。ちなみに、過去5年間の平均は76.7%となった。また、グループ全体で業務効率化による販管費の削減を図った。しかし、人材不足による利益の悪化を補うまでには至らなかった。この結果、営業利益率は前期の3.7%から2.5%に低下した。また、連結子会社ののれんの減損損失27百万円が、親会社株主に帰属する当期純利益を押し下げる要因となった。

(2) セグメント別の業績
a) 技術職知財リース事業
技術職知財リース事業は、売上高を構成する4要素(テクノロジスト数、テクノロジストの稼働率、テクノロジストの稼働時間、受注単価)を掛け算することによっておおまかに算出でき、営業損益はこれから売上原価と販管費を引けば算出できる。

セグメント売上高は前期比7.3%減の2,909百万円となった。テクノロジスト数の減少が減収要因として大きい。連結ベースのテクノロジスト数は、2018年4月1日現在で428人となっており、前年同期の451人から減少。2016年4月1日は493人だったことから、減少傾向に変化がみられず、厳しい収益環境にあることがわかる。ライバルである派遣会社だけでなく、顧客であるメーカーとの間でも優秀な技術者人材の獲得競争が激しい状態に変わりがない。

一方、新規受注件数に関しては、前期比27.0%増の683件となった。新規市場の開拓、高付加価値の業務獲得のための営業活動を推進した結果である。利益体質づくりにプラスとなる受注案件を選別し、レベルの高いテクノロジストを提供することで、優良顧客企業が増加するとともに、平均単価が上昇した。

平均単価は、2016年3月期が3,715円、2017年3月期が3,849円、そして2018年3月期は3,968円と着実に上昇。直近の5月では4,000円に近い水準に達しているという。在籍するテクノロジストの高い能力が顧客企業から評価された結果と言えるだろう。

また、稼働率は、休職者を除いた平均稼働率が98.0%と前期比で0.3ポイント上昇し、2018年3月末の稼働率は100%となっている。ところが、稼働時間は1人当たりの平均工数は前期に比べて4.3時間減の180.7時間と落ち込んでいる。

会社側では、稼働時間について、比較的落ち着いているとみている一方、政府の働き方改革の影響も無視できないという。とりわけ、残業規制はそのまま稼働時間に反映されてくるため、高い評価から平均単価が上昇しても、それがストレートに売上高増加につながらない状況だ。

セグメント利益は前期比10.0%減の385百万円に留まった。全体の利益でも説明したが、売上高の減少が減益要因である。原価管理を徹底させたほか、経費の削減に尽力しながらも、それだけでは減収による利益減をカバーしきれなかった。

b) 一般派遣及びエンジニア派遣事業
一般派遣及びエンジニア派遣事業に関しては、売上高が前期比21.1%減の152百万円となった。

前述したように、情報処理関連の分野で、一部のテクノロジストを技術職知財リース事業にシフトしたことで、事業全体として売上がダウンする結果となっている。

しかしながら、利益面では販管費の削減に努めた結果、セグメント利益は9百万円(前期は4百万円の赤字)と黒字に転換した。

(3) 財務状況
財務は良好である。総資産は前期末比で62百万円減少し、1,756百万円となった。資産の部では、売上高の減少に伴う売掛金の減少、のれん償却と減損によって無形固定資産が41百万円減少。負債の部では、長期借入金が102百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上で純資産が29百万円増加した。

この結果、2018年3月期末の自己資本比率は47.4%ととなり、前期末の44.2%から3.2ポイント改善している。

キャッシュフローに関しては、営業活動によるキャッシュフローは108百万円の収入 (前期末は122百万円の収入)となった。税金等調整前当期純利益46百万円を計上した。投資活動によるキャッシュフローは8百万円の支出(同3百万円の収入)となった。敷金及び保証金の差入による支出が14百万円あった。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済による支出が102百万円あったことで、120百万円の支出(同290百万円の収入)となった。これらの結果により、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比で21百万円減少し1,095百万円となった。

(4) 株主配当
2017年3月期は創立20周年、上場10周年を記念し1株当たり2円としたが、2018年3月期は記念配がなくなり、年1円となった。株主配当に関しては、安定配当を基本としている。2019年3月期については、業績を勘案しながら検討し、期初の段階では1株当たり1円を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)



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