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城南進研 Research Memo(8):収益構造改革の一環で新規開校急拡大。先行費用増で営業利益は一時的に赤字見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年3月期の業績見通し
城南進学研究社<4720>は2019年3月期について、売上高6,961百万円(前期比0.9%減)、営業損失393百万円(前期は304百万円の利益)、経常損失361百万円(同352百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失370百万円(同141百万円の利益)を予想している。

前述のように、同社は2018年3月期−2020年3月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでいるが、そこで掲げられた業績計画は2年目にして大幅修正となった。

前述のように、2019年3月期は予備校事業モデルの再構築が本格化させる計画だ。その過程では予備校部門の売上高が大きく低下することが想定されるが、予備校以外の事業での増収で吸収し、全社ベースでは前期比0.9%減にとどめる計画となっている。2018年3月期の実績ベースでは予備校部門の売上高は2,221百万円で、依然として個別指導部門(直営・FC合計)の2,263百万円と並ぶ収益の柱となっている。これを一気に失った場合、それを他の部門で吸収するのは困難と言える。それゆえ、2019年3月期は予備校の統合・閉鎖の前に、受け皿としての城南予備校DUOやマナビスの新規開校を急ぐのではないかと弊社では想定している。

同社はDUOについては城南コベッツの7教室のリニューアルという形で目安を発表しているがマナビスについては“2020年までに倍増”としか発表していない。しかし上記の見方が正しいとするなら、新規開校予定の半分程度(7校〜8校)を2019年3月期中に開校する可能性もあると弊社では考えている。

一般的に、新規開校の教室・校舎は生徒の充足率が低く、利益的にはマイナスとならざるを得ない。不動産費用や備品費、人件費等が先行的に発生するためだ。通常であれば既存教室からの増益効果と新規開校に伴う減益影響とのバランスを取りながら計画を立てるため、新規開校の影響が全体の足を引っ張るような形で顕在化することはない。しかしながら2019年3月期は、DUOとマナビスについて積極的な新規開校を計画しており、このことが大幅赤字の業績予想につながっている。

なお、前述のように、同社は2018年3月期において、固定資産の売却益や減損損失、校舎再編成損失引当金繰入額などを計上した。これらは2019年3月期の予備校の統合・閉鎖を想定したものであり、今後は大きな特別損益の計上はないとみられる。また、固定資産の売却収入の計上もあって、同社の期末現金は1年前の1,249百万円から2018年3月期末には1,874百万円に拡大しており、期中の積極的な新規開校のための費用は十分自己資金で賄うことが可能だと弊社では考えている。


2019年3月期に想定どおりの新規開校を実現できれば、2020年3月期はV字回復の可能性が高まるとみる
2. 2020年3月期の考え方
2019年3月期の営業損失の予想は393百万円で、前期比697百万円の悪化だ。非常に衝撃的な数字であることは言うまでもないが、一方で、この数値には、収益構造改革に伴う業績の悪化は1年間で収束させ、2020年3月期にはV字回復で黒字転換を果たすことに対する、同社の強い意思が込められていると考えている。

2019年3月期中に開校した校舎・教室が多いほど、2020年3月期の増収増益インパクトは大きくなると期待される。もちろんこれは、2019年3月期中の新規開設校が、着実に生徒の充足率を引き上げ、2020年3月期に高い充足率でスタートできればという条件が付く。この点については、同社は豊富なノウハウと十分な過去の実績を有しており、懸念は小さいと弊社では考えている。

2020年3月期に対するリスク要因は、前述の収益構造改革が2019年3月期に想定どおり進まないことだと弊社では考えている。新規開校が計画どおりに進まない場合、2019年3月期の損失は想定よりも小さくなるかもしれないが、予備校の再編のずれ込みと新規開校に伴う負担の継続で、2020年3月期に収益回復を果たせない可能性が高まるためだ。また、リストラモードの長期化はブランドの毀損にもつながるリスクをはらんでいる。

2020年3月期の山の高さは2019年3月期の谷の深さにかかっていると言え、今2019年3月期の思い切った収益構造改革の進展に注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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